ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

ボール保持に対する2つの対抗策~明治安田生命J1第14節 ベガルタ仙台vs名古屋グランパス~

 さて、今回は名古屋グランパス戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

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 ベガルタ仙台は、前節敗れた清水戦から5人変更した。センターバックが平岡とシマオ・マテのコンビ。トゥーロンで不在の椎橋に代わり富田。サイドハーフには道渕と関口が名を連ねた。システムも4-1-4-1へ変更。この狙いについては後程考えていきたい。

 一方の名古屋グランパスは、前節・松本戦から2人の変更。右サイドハーフに前田、2トップの一角にマテウスが起用されている。今シーズンホーム初黒星を喫しただけに連敗だけは避けたい一戦だ。

 

前半

(1)この試合における仙台の守備テーマと狙い

 まずは、変更したシステムの狙いについて考えていきたい。

 

 前節・清水戦では、守備の拙さや脆さを露呈し、4失点。特に対峙する相手に対する寄せの甘さが目立った。

 この名古屋戦では、まずは守備の基準点を明確にするところから始める。

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 ボール保持に命を掛ける名古屋においてキーマンとなるのが、ダブルボランチだ。この2人がボールに触ることで攻撃のリズムを作り出す。そのダブルボランチに対して、仙台はインサイドハーフに入った松下と海夏が見る形となる。

 また相手の2トップに対しては、センターバックの2人が前を向かせない、背中を取らせない守備で潰しに掛かった。対人に強い平岡とシマオを起用したのは、前節の反省に加えて、前を向かせない、背中を取らせない守備がしっかりできるからだ。

 彼ら2人は、常田やジョンヤのようにボールを繋ぐ能力は劣るものの、この試合で「守備の激しさとタフさ」をテーマとしていることが起用の理由として大きかった。

 そして名古屋のサイドハーフは基本的にサイドバックが見る。名古屋は仙台が4-1-4-1であることが分かると、サイドハーフがアンカー脇に立ち、横幅をサイドバックに任すようになる。

 それに対して仙台は、そのままサイドバックサイドハーフに付いていき、サイドハーフがそのスペースをカバーする仕組みとなっていた(上図の左サイドのような形)。特に試合序盤の左サイドでは、関口がディフェンスラインまで落ちて5バックのような振る舞いを見せることがあった。

 

 余談ではあるが、名古屋が4-4-2ならミラーゲームでもいいじゃないか!という話にもなるが、ダブルボランチがダブルボランチを見る形を取ると、ボランチセンターバックの間にスペースができ、そこを使われる可能性があるので仙台としては旨くない。

 4-1-4-1にしアンカーを置くことで、インサイドハーフが背中を気にせずに高い位置までボランチへプレスを掛けることができるので、4-4-2よりも高い位置から守備が行える。加えてハードワークできる長沢が1トップであったことも、このシステムを採用した(できた)理由の1つだろう。

 

 そんな1トップの長沢であるが、守備時にセンターバックへプレスを掛けるだけではなく、ビルドアップの逃げ場として、ロングボールの的になることが求められた。仙台はそのロングボールに対して、「長沢vs中谷」という構図を極力作るようにしていた。競り合いで勝利できる可能性がある中谷を狙い撃ちすることで、ロングボールに競り勝ち、セカンドボールを回収することで、仙台は陣地回復を狙った。このバトルは90分間愚直に行われた。

 6分の先制点のシーンも地上戦ではあったが、長沢は中谷に競り勝ち、海夏のゴールをお膳立てしている。

 

 試合序盤は、守備がしっかり機能したことで仙台がゲームの主導権を握り、加えて先制点を奪うことにも成功できた。

 

(2)攻撃ルートを変更する名古屋

 15分を過ぎたあたりで、名古屋も攻撃のルートを変更する。

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 それまでアンカー脇にポジショニングしていたサイドハーフが中から外の動きで、サイドに登場することが多くなる。

 このことでサイドバックボランチからボールを受けて、前進するケースが増えていく。

 特に右サイドでは、前田がサイドで受けて永戸に対して仕掛けるシーンが増えていった。永戸としては非常に苦労したと思うが、関口や平岡などと協力しながら耐え凌ぐことができた。

 

 しかし、名古屋がこれを機に押し込むようになり、徐々に名古屋のペースでゲームが進むようになる。

 仙台もボールを奪って、そこからクリアするのではなく、繋いでカウンターを発動させたいのだが、名古屋の切り替えの早さ、自らのパスミスでなかなか自陣から脱出することができなかった。

 そして27分に名古屋の波状攻撃からマテウスの鋭利なミドルシュートで名古屋が追いつく。

 仙台としては、奪ったボールをなかなか繋げられず、我慢の展開となったところでの同点ゴールだった。状況が悪ければハッキリしたプレーも必要だが、この時間帯の仙台はしなかった。そのようなハッキリしたプレーをして、一度相手陣内から守備をスタートさせても良かったと思う。この辺りはプレーしている選手たちの判断だ。

 

 その後も、押し込む名古屋に対して、仙台がセンターバックを中心に耐え凌ぐ展開が続いた。しかし得点を生まれず1-1で折り返す。

 

後半

(1)ボールを保持することで、相手から攻撃の機会を減らす

 前半は開始早々に仙台が先制し、その後はボールを保持する名古屋とそれをタフな守備で対抗する仙台という展開でゲームが進んだ。

 

 ボール保持に命を掛けるチームへの対抗策として、前半のような守備で対抗する手段もあれば、相手からボールを取り上げる手段もある。

 前半の仙台が選んだ手段が前者ならば、後半の仙台が選んだ手段は後者であった。

 

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 後半の仙台は、ボールを奪うと前を探すのではなく、まずはボールを落ち着かせ、ボール保持の局面を作り出す。

 そのときの配置が上図のような形となった。アンカーの富田がセンターバック間に落ち、インサイドハーフも落ちてビルドアップ隊に加わる。

 サイドバックは高い位置を取り、名古屋のサイドハーフサイドバックの中間ポジションを取る。

 前線では、サイドハーフが名古屋のセンターバックサイドバックの間にポジショニングし、相手サイドバックをピン止めすることで、仙台のサイドバックへプレスを行きづらくさせていた。また、長沢は前半同様に中谷を狙い撃ちしていた。

 名古屋はボール非保持の局面が得意そうではなかった。移動する仙台の配置に対して、守備の基準点が狂ってしまい、誰がどこまで行くのかが曖昧になっていた。

 よって仙台はボール保持から前進し、51分や53分のように相手ペナルティエリアへと侵入することに成功していった。

 

 仙台の前進は右サイドからが多かったが、おそらくそれは相手の問題というよりも、道渕と蜂須賀の立ち位置や距離感が良かったことが理由だと思われる。道渕はカウンターの起点にもなっており、この試合では90分間通して非常に効果的なプレーをしていた。

 

(2)質で押し返す名古屋

 名古屋は前進させられていた左サイドの問題を解決するため、58分に和泉からシャビエルへスイッチする。

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 この交代の狙いは、仙台の右サイドの前進を抑えることだが、守備で抑えるのではなく、シャビエルを投入し、攻撃の強度を上げることで仙台の右サイドを押し下げることが狙いだった。風間監督らしい采配といえば采配だった。

 この交代を機に再び名古屋が押し込むようになり、前半のリピートのような展開へとなっていく。

 しかし、中央をしっかり固める仙台に対して、名古屋はゴールを奪うことができなかった。

 中を固める仙台に対して、最後の質のところが足りない。つまりジョーが不在だったことは少なからず影響があったというのが個人的な見解だ。この試合ではアタッカーは揃っていても、フィニッシャーがいない。そんな名古屋の攻撃だった。

 そして72分のマテウスミドルシュートはダンがセーブし、ここで名古屋のターンが終わる。

 

(3)「諦めない奴の前には必ずボールが転がってくる」 

 72分にマテウスのシュートをダンがセーブし、名古屋のターンが終了した直後に仙台が勝ち越しに成功する。まさに我慢が報われた。

 セーブしたダンから再びボール保持攻撃へと移行する仙台。平岡から途中交代で入った崇兆がボランチ脇でボールを引き出すと、攻撃のスイッチが入る。中央で道渕と兵藤のコンビネーションで突破を図るも阻まれるが、そのこぼれを松下がミドルシュート。ランゲラックが弾いたボールを長沢が押し込み、仙台が勝ち越しに成功する。

 この試合、試合開始から相手センターバックにプレス、時には味方が空けたサイドのスペースを埋めるべく下がり、ロングボールでは中谷への狙い撃ちを愚直にこなし、先制点ではポストプレーで潰れ役となった。そんな多岐にわたるタスクをこなした長沢へのご褒美のような得点。

 「諦めない奴の前には必ずボールが転がってくる」とはETU・堺良則の言葉だが、そんな言葉がぴったりの長沢の活躍と得点だった。

 そんな長沢は82分にもランゲラックのパスをカットすると、冷静に流し込み追加点を奪い、勝利をグッと手繰り寄せた。

 

 そして最後に大岩を投入し、ゲームを締めにかかる。近距離のフリーキックも壁にぶつかり、その後は丁寧に時計の針を進めた。

 そして、アディショナルタイム4分もしっかりやり過ごしてタイムアップ。名古屋を相手に3-1で連敗脱出となった。

 

最後に・・・

 前節・清水戦の反省もあり、守備では激しさとタフさを取り戻すことができた。その中で、シマオと平岡のセンターバックや富田がしっかり期待に応えてくれたのは、とても良かった。

 またボール保持に命を掛けるチームに対して、その激しくタフな守備と、後半にはボールを取り上げることで攻撃の機会を減少させるという2つの対抗策を見出した。そもそものゲームプランなのか、ハーフタイムの修正なのかは定かではないが、素晴らしいゲーム運びだったと思う。

 

 大事なのは、これを継続することである。激しくタフな守備と丹念な攻撃を持続させ、今シーズン初連勝を狙いたい。

 次節の松本は名古屋とは対照的なチームだ。名古屋戦では、ボールを保持するチームに対してどう立ち向かうかがテーマだったが、次節は「松本のブロックをどう攻略するか」、「松本のカウンターをしっかり食い止められるか」、「研究してくるであろうセットプレーでしっかり守ることができるか」などがテーマになってきそう。

 この勝利と内容をベースに次節も勝利し、今シーズン初の連勝を期待したい!!

渡邉監督と篠田監督の駆け引き~明治安田生命J1第13節 清水エスパルスvsベガルタ仙台~

 さて、今回は清水エスパルス戦を振り返ります。静岡連戦の二発目。

↓前節のレビューはこちら

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スタメン

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 ベガルタ仙台のスタメンは、前節から2人の変更。磐田戦で負傷交代したジョンヤから大岩、そして2トップの一角には長沢が名を連ねた。

 一方の清水エスパルスは、右サイドバックエウシーニョを起用。それ以外は変更点なし。

 下位に沈む両者、直接対決を制し、この状況を打破したい一戦だ。

 

前半

(1)自らのボール保持を安定させることを目指した仙台

 前半は仙台がエンドを変えてキックオフする。

 試合は早々に動く。開始2分の仙台の左コーナーキック。サインプレーで、永戸はグラウンダーのボールを入れると松下が決めて先制する。準備していたであろう形で先制点を奪った。

 しかしその3分後に、清水のサイドチェンジから金子のクロスにドウグラスが合わせて、すぐさま同点に追いつく。このゴールに関しては、清水の狙い通りの形となった。その狙いについては後程見ていくこととしたい。

 そして17分にはコーナーキックの混戦から大岩が相手を引っ張ったとしてPKの判定。これを北川が決めて清水が逆転する。

 

 そんなゲームが動きやすい展開のなかで、徐々に仙台がボール保持、それに対して清水が前プレを掛けていく構図へと落ち着く。

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 開始間もない仙台のビルドアップは、ダンとセンターバック、椎橋の4人でスクエアを形成する形にし、松下がフリーマンのような役割で自由な位置取りでボールを引き出していた。

 しかし清水もドウグラスと北川、それにサイドに流れたときにはサイドハーフも加勢しながら、仙台もビルドアップを妨害していった。よって仙台としては安定したボール保持とはならなかった。

 

 ということで15分を過ぎたあたりから仙台が動き出す。

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 椎橋がセンターバックの列まで降りて、その代わりに松下が椎橋が担っていた役割になり、ダンを逃げ場とする形を取った。椎橋の位置が右に落ちたり、また松下が落ちたりと動き方は様々だったが、形としては上図のような形を取るようになった。

 それに対して、清水はドウグラスと北川が縦関係になる。北川としてはアンカーを浮かせたくないという心情だったと思う。

 その代わり、大岩や常田にボールが入ったら、サイドハーフが縦スライドで対応するというのが狙いだったと思われる。

 

 しかし仙台も、サイドハーフ(海夏と崇兆)が相手ボランチサイドハーフの間に、またサイドバック(蜂須賀と永戸)も大岩と常田をフォローするポジションを確保していたことで、清水のサイドハーフが容易に大岩と常田へアタックできるシーンを作らせなかった。

 このことで仙台はボール保持を安定させ、26分や30分、32分のように地上戦でボールを前進させながら、清水陣内へと入り込めるシーンを増やすことができた。

 また、清水は仙台と同様に人への意識が強い守備なので、相手の前プレを抑えることで、ボール保持を安定させることができたし、前線でも長沢とハモンが縦関係になり、相手センターバックにギャップを作ることで前進できていた(26分のプレーとか)。

 もちろん、ビルドアップ時にイージーなミスで相手に決定機を多く作られてしまったのは反省しなければならない。しかし前半の途中で自分たちなりに修正し、悪い状況を打破しようと試みたところは悪くなかったと思うし、そのチャレンジはしていくべきだと個人的には思う。

 

(2)相手の守備基準点を狂わせるサイドバックの振る舞い

 次に清水の攻撃について見ていきたい。

 清水は前半のうちに3点奪っているのだが、そのうち2点(1点目と3点目)は同じような形で、かつ再現性のある形での得点だった。

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 清水の攻撃で特徴的だったのは、サイドバックだった。サイドバックはボールを受けると外に加えて、中にドリブルするという選択肢を持っている。

 中へドリブルすることで、仙台のサイドハーフボランチにマークの受け渡しを行わせるかを選択させる。

 またこのドリブルに対して、前線の選手も状況によるが、臨機応変に中から外へランニングし、中央のスペースを空けたり、反対に自らが落ちることでサイドバックを引き出したりする。加えて、六平は3列目からハーフスペースをランニングすることで椎橋や松下を引っ張り出していた。

 このようにレーンチェンジをしたり、縦へランニングすることで、人への意識が強い仙台の守備を攪乱させていった。その結果が1点目や3点目に繋がっている。

 

 仙台としては、このような清水の攻撃によって守備の脆さを暴かれた形となった。

 3点目は、松原と中村に対して蜂須賀と海夏の受け渡しが曖昧になり、中央ではボランチの寄せが甘く、永戸は落ちた金子に対して付いていき自身の背後を取られる。といったように各ポジションで守備の拙さを露呈してしまった。

 攻撃では狙いを持てているものの、ひとたびボールを持たれるとその脆さが現れる。そんな今シーズンを象徴する内容が前半だったように思える。

 ということで前半は2-3。打ち合いの様相を呈し後半へと向かう。

 

後半

(1)相手の背中を取る仙台

 前半終了間際にリードを許した仙台は、得点を取りに行くことがテーマとなる。

 そんな仙台の後半の攻撃は、前半と打って変わって縦に早いものとなった。そんな縦に早くなった理由や狙いをまずは見ていきたい。

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 前半はボール保持を安定させ、相手を押し込むことでゴールを目指したが、後半は、「相手の背中」を取るパスが増えるようになる。

 前半でも書いたが清水も人への意識が強い。仙台としては、それを逆利用して攻撃を仕掛けていった。

 上図は53分のプレーだが、仙台はボールを持ったときにダブルボランチが落ちなくなる。このことで相手のダブルボランチがマークの基準点がハッキリするわけだが、そのことで清水のボランチが前へ出てくるようになる。

 仙台はその背中を2トップが利用する。よって永戸や大岩などが相手ボランチセンターバックの間にロングフィードを送り、それを2トップがポストプレーすることで前進することが多くなった。

 また仙台は収めた先として、サイドバックの裏のスペースを狙っていた。特に後半開始からはエウシーニョサイドを狙い撃ちすることで、相手の深い陣地まで潜り込み、クロスを上げるシーンが増える。ここもハーフタイムで整理した部分だと思われる。

 そして徐々にゴールへと近づき始めた58分。左から右の展開、そして蜂須賀のクロスに長沢が合わせて同点に追いつく。自分たちのペースのなかで決められたことは非常にポジティブだった。

 

(2)システム変更し、ペースを自分たちのものにする清水

 同点に追いつかれた清水は、62分にシステムを4-1-4-1へ変更する。

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 清水は上図の布陣へと変更する。スムーズに変更していたところを見ると、準備していたものかもしれない。

 

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 このシステムに変更した狙いは主に3つだった。

 1つ目は仙台の前プレに対して、センターバック+アンカーにすることで、3vs2を形成し、前プレを牽制させる。

 2つ目は、左サイドで局地的な数的優位を作り出し、仙台を押し込むこと。

 3つ目は、右サイドハーフに入った北川は中ではなくサイドで待ち、永戸との質的優位を作り出す。

 2つ目と3つ目はセット。左で作って右で仕留める狙いを持っていた。

 

 このシステム変更で再びペースは清水になる。セカンドボールの回収率も清水の方が高くなり、仙台をゴール前に貼り付けにすることができた。

 清水が中からサイドからと仙台を揺さぶり、それに対して必死に耐える仙台という時間が続いた。

 

(3)再び地上戦へと回帰する仙台

 清水がシステムを変更したことで、再び耐える時間が長くなった仙台。道渕、シマオ、ジャーメインを投入し、なんとか攻撃の糸口を見出そうとした。

 そして78分のコーナーキックの辺りから、相手のシステム変更を理解し、攻撃の糸口を見出せるようになる。

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 仙台は4-1-4-1のシステムの構造を突く形で、サイドハーフがアンカー脇でポジショニング。後半開始から行っていたロングフィードから再び地上戦に戻し、ボールをアンカー脇にいるサイドハーフへと届けることで、攻撃のスイッチを入れた。

 これで耐える時間を越えて、仙台も清水ゴールへと向かうシーンを作ることができた。

 

(4)斬るか、斬られるか。待っていた最悪の結末。

 仙台が攻めの糸口を見出したことで、お互いが攻め合う展開に。

 仙台も終盤に決定機がなかった訳ではない。あと一歩のシーンもあった。

 しかし最後に決めたのは清水だった。

 左サイドからのクロスをクリアするも、右サイドで北川が回収。丁寧に挙げたアーリークロスドウグラスが合わせて清水が勝ち越しに成功。システム変更をした狙いが見事に出たゴールとなった。

 斬るか、斬られるかのなかで最後に斬ったのは、清水だった。

 

 仙台は、最後の最後にハモンの退場というおまけもついて、ゲームオーバー。

 最後に待っていた最悪の結末。仙台は静岡連戦で連敗を喫してしまった。

 

最後に・・・

 この試合の内容だけを振り返れば、両監督の駆け引きが非常に面白い試合だった。

 ただ、その中で勝敗を分けたのは、守備の拙さ、脆さだった。お互いに褒められた守備ではないが、よりまずい守備をしていたのは仙台だったということだ。

 やはり4バックで守るのと5バックで守るのとでは違うもので、今は4バックなんだけど、まだ5バックの守備のイメージでやっているところがあって、その象徴が3失点目なのかなと思う。

 クロスを上げさせるシーンも多いし、守備についてはやることが多い。そしてこの問題を解決できなければ、なかなか勝点を拾っていくことは難しいだろう。

 

 前節のレビューで、仙台はボールを保持すること、相手を押し込むことが目指すスタイルと書いたが、サッカーは相手がいる以上、そうではない局面も多々ある。その自分たちが苦手としている局面をいかに克服できるかがポイントかなと。

 この試合でも3ゴール奪えたことや、狙いを持って攻撃できているところはあるので、やはり攻撃ではなく守備の局面を修正しないとなと思う。

 

 次節はホームでの名古屋グランパス戦。自分たちのホームで息を吹き返してほしい!!

己のスタイルを貫けるか?~明治安田生命J1第12節 ジュビロ磐田vsベガルタ仙台~

 さて、今回はジュビロ磐田戦を取り上げます。静岡連戦の一発目。

↓前節のレビューはこちら

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スタメン

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 前節・サンフレッチェ広島戦で勝利したベガルタ仙台。前節と同じスタメンでこの試合へ臨んだ。なお、ベンチには兵藤ではなく道渕が入った。

 一方のジュビロ磐田は、シャドーのポジションに荒木を起用。それ以外は変更点なし。一時帰国していたロドリゲスもベンチに戻ってきた。

 

前半

(1)守れてないようで守れている磐田の守備

 前半は、ジュビロ磐田が攻守において狙い通りにゲームを進めたことで、主導権を握り、2点リードすることに成功できた。

 では、そんな磐田がどんな狙いでやっていたのかを、この前半では見ていきたい。

 まずは守備から。

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 磐田は、仙台のボール保持に対して前から積極的にプレッシングを行うことで、仙台のボール保持を阻害した。

 磐田も仙台と同様に人を基準に守備をしている。守備のセットは5-2-3。前線3枚は、仙台の4バックに対してプレッシングを掛け、ダブルボランチに対しては、そのままダブルボランチが対応する。

 後方の5枚は仙台のサイドハーフと2トップに対して迎撃守備で構える。仙台が前線4枚に縦パスを入れたところを厳しくチェックし、ボールを奪うことを目指す。

 

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 前述したように、磐田は人を基準に前から積極的なプレッシングを行うので、5-3-2の3ラインが間延びすることがある。

 よって、仙台も縦パスを入れることができていたのは事実としてあった。

 しかし、これは結果的に罠となった。相手3ラインが間延びしているということは、仙台の選手間の距離も遠い。よって、仙台もコンパクトな陣形を保てているわけではないので、縦パスを入れても迎撃守備で対応され、ボールを奪われると即時奪回ができずに、磐田にカウンターの浴びることとなった。磐田があえて距離感を遠くさせたという狙いがあったようには思えないが、結果としてそれが仙台を苦しめ、磐田がペースを握る要因となった。

 そして、これが仙台がうまくボール保持でリズムを掴めなかった1つの理由である。

  

 仙台のボール保持からの攻撃でポイントになるのは、相手を押し込めているかどうかだ。前節・広島戦は広島が撤退守備をするチームということもあったが、相手を押し込んでプレーする機会が多く、そのことでコンパクトな陣形を高い位置で保つことができ、ボールを奪われても素早い切り替えから即時奪回を行うことができた。

 この試合では、磐田の前プレを回避することができずに、そのことを解決せずに間延びした状態で縦パスを入れていたので、選手間の距離が遠く、切り替わったときにすぐにプレスに行けなかったので、カウンターを浴びる形となった。

 このような相手のときは、いかに前プレを回避し、相手を撤退守備へと移行させるかがカギとなる。そのようなプレーをしっかりできるかが重要だと考えている。

 

(2)仙台のサイドバックセンターバックの間を突く磐田の攻撃

 続いて磐田の攻撃を見ていきたい。ここで見るのは主にボール保持からの攻撃である。

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 磐田の攻撃で一貫していたのは、仙台のサイドバックセンターバックの間を突くことだった。

 磐田のボール保持の形は、決まりがあるようでない。割と選手のアドリブを尊重している。

 そんななかで特徴的だったのが、上図のような形だった。

 特に右サイド多かった形だが、磐田はビルドアップ時にボランチが一枚降りることを合図に高橋がサイドバック化し、アダイウトンも大外に張ることで相手サイドバックをピン止めする。そしてウイングバックの松本はハーフスペースでプレー。松本はサイドバックセンターバックの間をランニングすることでチャンスを作り出していった。6分のシーンがその最たる例である。

 ついでに左サイドでも同様な形が見られたが、数多くはなく、基本的にはオリジナルポジションに従ってプレーしていたイメージだった。

 

 話をもとに戻すと、磐田の2点目のシーンも仙台のサイドバックセンターバックの間を突くことができた得点だった。

 このシーンでは、荒木とアダイウトンが同サイドにいることで局面で数的優位な状況、かつ仙台としては誰が誰を見るのかがハッキリしない状況が作られた。最終的にジョンヤがアダイウトンに対応するために出ているが、このことで後方にスペースが生まれ、荒木がサイドバックセンターバックの間から通したスルーパスを中山に決められる形になってしまった。

 磐田としては自分たちの狙い(サイドバックセンターバックの間を突くこと)、そして仙台の人を基準に守る守備を逆手にとって得点することができたと言えよう。

 

 攻守ともに狙い通りに進められた磐田が2点リードで折り返す。

 

後半

(1)ウイングバックの裏へ潜り込む仙台の攻撃

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 後半開始に伴い、仙台はジョンヤから大岩へ選手交代。監督コメントによると、ジョンヤの負傷による交代だった。また55分には海夏に代えて道渕を投入している。

 

 前半は磐田に攻守ともに主導権を握られ、2点リードされた。

 攻撃では、相手の前プレを回避できずに相手を押し込むことができず、加えてラインの高い相手ディフェンスの裏を狙う淡白な攻撃に終始し、非常に反省点の多い前半だった。

 

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 そんな前半を過ごしてしまった仙台だが、後半は攻撃のルートを修正して挑んだ。

 2点リードしている磐田は、前半のような前からのプレッシングを止め、仙台のボール保持に対して構えるようになることで、仙台が自然とボール保持から相手を押し込んで攻め入れるようになる。

 また、カウンターの起点だった中山を、途中投入の大岩がしっかり抑えることに成功できたことで、磐田のカウンターの機会をぐっと減らすことができた。このことでより仙台はボールを保持する時間が長くなる。

 

 後半の仙台は、主にウイングバックの裏を狙って攻撃を仕掛けていった。イメージは、広島戦の同点ゴールのようなイメージだ。

 左サイドでは、松下、永戸、崇兆、それにジャーメインも加わって4人の関係で、攻略を図る。

 右サイドでは、蜂須賀が自らの立ち位置でウイングバックを引き出し、その裏を途中投入された道渕やハモンがランニングするケースが多かった。

 特に右サイドでは、道渕がいいランニングから裏を突くことで、前半は数少なかった相手陣地の深いエリアまで侵入することができ、あと一歩のところまで迫ることができた。

 しかし磐田も大井を中心とする守備陣が、しっかり跳ね返し、簡単にはシュートを許してくれない展開が続いていった。

 仙台としては狙い通りに攻撃ができているものの、最後のところを攻略できない展開だった。前半の2点リードが、時間の経過とともに重くのしかかってくるようになる。

 

(2)5バックの守備強化と戦術兵器・ロドリゲスの登場

 磐田の深いエリアに侵入できていた仙台だったが、次第に磐田も対応していくようになる。

 70分過ぎになると、磐田の5バックも必要以上に出てこなくなり、特にウイングバックは裏をケアしながら守備をしていくようになったので、仙台が狙いとしていたスペースがなくなり、攻撃が停滞していった。よって道渕や崇兆は磐田のダブルボランチ付近でのプレーが多くなるが、磐田に前半のように迎撃守備でしっかり対応され、結果的に前半のリピートのような形となってしまった。

 

 そして77分にアダイウトンに代わってロドリゲスが投入される。ロドリゲスは自陣から敵陣へと1人カウンターをすることで、磐田のラインを押し上げ、仙台のラインを押し下げていた。なんならチャンスも作る作る。まさに戦術兵器といった選手だった。

 

 ゲームはこのまま0-2で終了。前半の戦いが最後まで重くのしかかった仙台。静岡連戦の一発目は黒星となった。

 

最後に・・・

 順位が近い相手であり、内容と結果ともに非常に頂けないものとなってしまった。

 特に前半の内容は、とても勿体ないものだったが、その中でも攻撃については反省すべきところが多かったと思う。

 前半のところでも書いたが、仙台はいかに相手を押し込んでサッカーができるかがポイントだと思っている。勝利したガンバ戦や広島戦のように、相手を押し込んで自分たちがボールを保持し、奪われたら素早い切り替えから即時奪回を目指す。仙台の目指すスタイルはそこなのかなと思っている。

 なので、いかにそのような状況や時間を多く作り出せるか。この磐田戦は、特に前半にはそのような展開を作り出せていなかったことが反省点だった。

 次節も、この辺りがとてもポイントになるのではないかと思う。

 

 静岡連戦の二発目は、清水エスパルス。なかなか勝てないアウェイだが、まずは自分たちのスタイルをピッチ上で表現し、そして今シーズン初のアウェイ戦勝利をもぎ取って欲しい!!