ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

初志貫徹だった松本山雅~明治安田生命J1第28節 ベガルタ仙台vs松本山雅FC~

 さて、今回は松本山雅FCとの試合を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

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 ベガルタ仙台は前節・横浜FM戦で価値ある勝ち点1を得た。ホーム連戦となる今節は、順位的にも勝星が欲しい一戦となった。

 前節のマリノス戦でカードをもらったシマオが出場停止。代わりにジョンヤがスタメンになった。また右サイドバックも蜂須賀へと戻し、お馴染の4-4-2のシステムで松本へ挑む。

 一方の松本山雅が、前節・FC東京戦でこちらも価値あるドロー。降格圏にいることには変わらないがゲーム内容が向上しているようだった。上の対戦相手を叩くことで、残留圏へと近づきたい一戦だ。

 メンバー、システムともに前節と同じ陣容で揃えた松本。反町監督は、仙台に対してどのような策を準備してきたのだろうか。

 

前半

(1)最悪の幕開け

 松本がエンドを変えてスタートした試合は、開始2分で動く。松本の攻撃に対して寄せきれない仙台。左斜め45度の角度からセルジーニョに前を向かれると、スーパーシュートがネットを揺らして先制する。

 シマオが出場停止のなかで、どのように試合に入っていくかというのは1つポイントだったが、そこで上手くゲームに入ることができなかった。 浮足立ってしまった立ち上がりとなった。

 ということで、最悪の幕開けを切ってしまった仙台は、いかにして先制した松本の守備から得点を決めるか、というテーマで戦うこととなった。 

 

(2)3センターと2トップをいかに越えていくか

 松本が先制後は、試合前に想定していたように、ボールを保持する仙台、それに対して構えて対抗する松本という構図で試合が進んでいく。

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 開始から10分間の間によくあった現象が蜂須賀のIH化、偽SBのようなポジションを取る形だった。

 この試合の仙台は、ビルドアップのポイントとして、相手2トップ脇を狙いとしていた。ここからボールを運ぶことで、相手の3センターをスライドさせ、空いた逆サイドへと展開し、永戸や道渕(蜂須賀)がウイングバックとの勝負を挑むような構図を描いていた。

 そういう意味では、右から左サイドへと展開し、永戸や関口が勝負するないしはクロスを上げるシーンを作り出すことには成功していた。

 

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 時間の経過とともに変化する仙台。10分を過ぎたあたりから、ボランチが2トップ脇に登場することが多くなる。この辺は監督の指示というより、中の選手たちの判断だったのかもしれない。

 多くのシーンで松下が2トップ脇に登場していた。先ほどと同様に、3センターをスライドさせてからのサイドチェンジ。それから右サイドでの蜂須賀、道渕、松下のトライアングル形成からの崩しがメインとなっていく。

 その一方でこの形で問題だったのが、富田の立ち位置が定まっていなかったことだ。富田はセンターバックがボールを受けると下がってきたり、斜めに落ちたり、2トップをピン止めするように2トップ間に立ったりと、さまざまなところに動き回っていた。なかなかビルドアップ時の富田の立ち位置が定まらないために、ネガティブトランジション(攻撃から守備への切り替え)時に、正しい立ち位置で準備ができておらず、カウンターを食らうシーンも頻発していた。そんなところもこの試合で、松本にカウンターの場面を許していた原因なのかなと感じる。

 

 最後の崩し、シュートまでシーンは、そのほとんどがサイドからのクロスだった。5バックが中を固める松本の守備に対して、なかなかペナルティエリア幅で勝負ができないのが本音だった。もっともっとウイングバックの位置から剥がして、ペナルティエリアに侵入する回数を増やしたかったと思うが、勇気を持ってチャレンジする回数はとても少なかった。そこの勇気とチャレンジが足りなかったのが、この試合における仙台の最大の問題だったように思える。

 

 前半は開始早々に先制した松本のリードで折り返す。

 

後半

(1)ビルドアップの軸を明確にする仙台

 後半も前半同様のテーマで戦う仙台と松本だった。

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 後半開始からボールを保持する展開となる仙台。前半は富田の立ち位置があっち行ったり、こっち行ったりと、明確にされていなかった。

 しかし後半に入ると、富田が2トップの間に立ち位置を取って、2トップの動きを牽制させながら、センターバック2人にボールを持たせる形になった。

 また前線では、大外にサイドバック、ハーフスペースにサイドハーフを位置させ、サイドハーフが縦にランニングすることで、ウイングバックの裏を取ることを目指した。

 この立ち位置の修正によって、仙台は攻撃が整理されて、押し込めるようになっていく。クロスのファーサイドを意識したクロスで、相手の視野外からの飛び込みを狙うクロスが多くなる。

 また、富田の立ち位置が明確になったことで、松本のクリアを拾えるようになり、仙台が二次三次攻撃を行えるようになった。

 できれば、この時間たちに追いつきたかったところだが、ハモンのシュートが枠に飛ばなかったりと切ないシーンが続く。この日のハモンはnot his dayだった。

 

(2)松本の修正。動き出す藤田。

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 今度は、後半開始から10分間の戦いぶりを見た松本が動き出す。

 松本は、松下にボールが入ると藤田が飛び出してプレスを掛けるようになる。ビルドアップ隊に加わらずに、フリーマンとしてあらゆるエリアに顔を出し、中央への縦パス、サイドへの展開など行っていた松下。そんなキーとなる松下に対して、藤田がしっかり寄せることで、仙台の攻撃ルートを制限させ、自分たちが守りやすいように守備をセットすることが狙いだった。

 この狙いはうまくハマり、松下へのチェックが激しくなったあたりから仙台の攻撃は前半のようにサイドからの展開が増えるようになり、再び松本の土俵にゲームが動いていった。また、攻撃のバランスが不安定になったことで、被カウンターへの対応も悪くなり、再び松本にカウンターから危ないシーンを作られてしまうようになっていった。

 

(3)5-4-1で畳みかける松本。

 松本は町田に代えて田中隼磨を投入する。

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 これでお馴染の5-4-1でセットする松本。藤田の役割は変わらずに松下を厳しく監視する役割。また中盤を4枚にしたことで、より中央を固め、仙台が利用したかったディフェンスと中盤のライン間及び、ハーフスペースを封鎖する。

 このことで、仙台の攻撃ルートを完全にサイドへと誘導し、自分たちの守りやすい守備を強化させていきながら、自分たちの土俵へと引きづり込んでいく。

 

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 また、仙台は75分にジャーメインを右サイドハーフに投入し、右サイドから得点を狙いに行くが、そこに対しては同じく途中投入されたパウリ―ニョがスライドしてしっかりマンツーマンで見る形となっていた。

 ウイングバックの裏は3バックの選手がカバーするのではなく、ボランチなどの選手がしっかりカバーすることが徹底されていた。

 

 ということで、最後まで松本の牙城を崩せなかった仙台。前半早々の失点は、あまりにも重くのしかかった。ウノゼロで勝利した松本。まさに松本らしいゲームだった。

 

最後に・・・

 最後まで重くのしかかった1点だった。またしても下位に勝ち点を落とすこととなった。攻撃では、松本の守備ブロックを崩すための準備をしてきたと思うのだが、最終的にサイドからのクロスが多くなり、徐々に松本の守りやすい攻撃になってしまったように思う。

 

 前節・マリノス戦では終盤に追いつき、まさに劇場と化したユアスタだったが、この試合のスタジアムの雰囲気はどこか焦燥感があり、雰囲気が悪かった。そういうところからも松本のゲームだったのだろうなと感じる一戦だった。

 

 ただ、ずっとショックばかりを受けてはいられない。松本戦以降は直接対決がずっと続くのだ。這い上がるチャンスはいくらでもある。

 泣いても笑っても残り6試合。まず来年もJ1に生き残るには、チームが死に物狂いで戦うことが必要だ。この一戦を糧に、まずは中断明け初戦の名古屋戦で勝ちたい。

 シマオも帰ってくる次節。泥臭く、粘り強く、そして勇気を持った戦いを期待したい!!

成長の勝点1~明治安田生命J1第27節 ベガルタ仙台vs横浜Fマリノス~

 さて、今回は横浜Fマリノス戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

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スタメンf:id:khigu:20190929162006p:plain

 ベガルタ仙台は、前節の札幌戦で3-1の勝利を収めた。スタメンはその札幌戦から右サイドバックを蜂須賀から大岩へ変更した以外はなし。

 マリノスに対してはポステコグルー体制になってからは苦汁をなめてきている。今節こそは今までの自分たちとは違うところを証明したい一戦だ。

 横浜Fマリノスも、前節・広島戦で快勝し、優勝戦線に残っている。FC東京、鹿島を追随するためにも負けられない一戦だ。

 今節はティーラトンと喜田が出場停止。代わりにケガ明けの高野と渡辺が起用された。またゴールキーパーもケガから帰ってきた朴がスタメンに名を連ねている。

 

前半

(1)守備基準点と自分のゾーンを明確化する

 まずは、マリノスと戦うに当たって仙台が準備してきたことを見ていきたい。

 

 仙台としては、札幌戦同様に対戦相手がボール保持を得意とするチームとの対戦となった。マリノスの特徴は、札幌と違ってさまざまな選手が入れ代わり立ち代わりポジションチェンジを繰り返し、相手の守備を狂わせ、そこから崩していくことである。

 そして昨年、今年の第2節でも、その攻撃を抑えることができずに敗戦を喫している。

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 ただ、この試合では約2週間の準備期間があったことで、用意周到な準備をすることができた。

 仙台のボール非保持のシステムは、いつもと変わらず4-4-2でセットする。

 前節・札幌戦は2トップがボランチセンターバックへプレスを掛けることで、サイドへと誘導し、守備で主導権を握った。

 この試合の2トップの立ち位置は、相手のボランチの前に立つところからスタートしている。11人全体の立ち位置を見ても、全員が中央を締めて守備をスタートさせることを意識していた。

 マリノスのビルドアップはセンターバックサイドバックボランチそれから時々マルコスが、仙台の2トップ周辺を出入りしながら前進していく。

 それに対して仙台は、自分の守るエリアを意識しながら、ポジションを崩さないようにマークを受け渡していく。

 サイド、特にウイングに対しては、ボールが入ったらサイドバックが対応し、遅らせたところでサイドハーフが協力して守備をする状態を作っていた。そして、このウイングに1対1で負けないように起用したのが大岩。大岩はマテウスの対応を卒なくこなしていたし、しっかり与えらたタスクを遂行することができていたと思う。

 正直言えば、序盤の守り方は、マリノスのボール保持を許容しながら、相手にオープンな状況を作らせないような守り方を優先していたし、ある程度スペースをなくして、中央を締めることで、シマオと平岡が跳ね返しやすいシチュエーションを自分たちで作りだせていた。

 だからこそ、20分の失点シーンのような場面は悔いが残る。前半、相手にオープンな状態を与えてしまったのは、あのシーンだけだった。

 

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 先制点を奪われ、引いてばかりもいられないので動き出す。24分のマリノスゴールキックから前プレをし始める。

 ポイントはチアゴとキーパーの朴のところだった。仙台は、畠中からチアゴにボールが渡ると、そこから長沢がプレスのスイッチを入れ、前プレをスタートさせる。

 そして、そのままサイドに流れたら、サイドバックサイドハーフが対応。キーパーにボールを下げたら、長沢がセンターバックへのパスコースを切りながらプレスを掛けて、マリノスのボール保持を限定させていった。

 おそらく、このように狙いを持ったプレッシングを行えていたのは、トレーニングから準備してきたからだったのだろう。また時間帯は分からないが、どこかでこのやり方に変化することはプランの中にあったと思われる。

 このようなプレッシングをするようになってから、仙台がマリノスのロングボールを回収して、押し込む時間帯を作れるようになり、防戦一方ではなくなっていった。

 

(2)カウンターを発動できるようになった理由はなにか

 また、仙台は30分過ぎになるとロングカウンターを発動できるようになる。

 それは仙台が良くなったというよりかは、マリノスの方に理由があったように感じた。

 マリノスは、仙台を押し込むと、中盤がある程度自由に動く傾向にある。それはボールサイドに数的優位を形成したいからだと思うのだが、そのことでネガティブトランジション(攻撃から守備への切り替え)時に、中央にフィルター役の選手がいなくなることがあり、そのことで仙台の2トップにボールが入るとカウンターを発動することができていた。

 ここら辺を仙台がスカウティングしていたかは不明だが、30分過ぎから決定機を作り出すことで、ゲームのバランスを徐々に変えることに成功した仙台だった。

 

 前半は松原のゴールで先制したマリノスがリードして、後半へと向かう。

 

後半

(1)守備の再整理。前から襲い掛かる仙台。

 前半は、序盤から低い位置で構えながらも、失点を許し、途中から前プレを仕掛けることで試合のバランスを変えていった仙台。後半もマリノスの攻撃をいかに抑えながら隙を突くかがテーマとなる試合となった。

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 後半の立ち上がりも、前半途中同様に前から仕掛けに行く。チアゴにボールが渡ったらプレスを開始。ハモンと長沢の位置は変わったもののタスクに変更はなかった。

 そして、その先でも松原にボールが渡れば関口がプレッシングを掛けるようになっていた。ゆえにマリノスのボール保持を前線で引っ掛ける回数も増えていったし、うまくはめ込むシーンが徐々に多くなっていった。

 

 ただ、マリノスも仙台の守備のやり方を理解し出すと、今度はチアゴを経由せずに、左サイドからの攻撃をメインにしてくる。

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 マリノスは左サイドの背後を取るような攻め方をするようになるが、それに対して仙台は、シマオが大岩の背後をカバーするような形を取った。

 そのシマオの空けたスペースには富田がカバーする。なかなかリスクのあるやり方だではあったが、シマオのところでボールを奪いきることが多かったので、大きな破綻を起こすことはなかった。

 

(2)マリノスの前プレによって変化する試合

 選手の交代、時間の経過とともにゲームは徐々にオープンな展開へと変わっていった。

 その要因はマリノスの前プレにあった。マリノスは基本的に仲川を中心に前プレを掛けて、仙台のビルドアップ隊に時間を与えず、ロングボールを蹴らせるシーンを作らせ、そのセカンドボールを回収することを狙いとしていた。

 後半になっても仲川のプレッシングは衰えを知らず、前からガンガン行くのだが、後ろ、特に中盤が疲弊してきたことで、前半よりもセカンドボールの回収率が悪くなり、オープンな展開や仙台が回収して攻撃するシーンが増えていった。

 よって徐々にマリノスの土俵から仙台の土俵にゲームの流れが変化していったように思う。

 

 マリノス疲労が見え始めたマルコスとマテウスを下げて、大津と遠藤を投入する。大津は仲川とともに前プレ部隊として、仙台のビルドアップ隊へプレッシングを行う。

 一方の仙台もジャーメインと蜂須賀を投入する。ジャーメインは背後へのランニングとカットインからのシュートを、蜂須賀はクロスを期待されての投入だった。またこの2人を右サイドにおいて、より攻めるサイドを明確化することも狙いとしてあったと思う。

 

 マリノスが結果的にオープンな展開へと持ち込んだことで、仙台は徐々にチャンスシーンを作りだし始める。

 そして89分に、富田からのフィードを受けた永戸がジャーメインへ通し、ハモンへ。ハモンのミドルシュートはポストに弾かれるも、詰めた永戸が決めて仙台が追いつく。

 アディショナルタイムはお互いが殴り合い、そしてクバのビッグセーブが飛び出す。そんな最後の最後まで白熱したゲームはドローで終了。仙台は、終盤に勝ち点をもぎ取ることができた。

 

最後に・・・

 ここまで苦汁を味わい続けたポステコグルーマリノスから初めての勝ち点をもぎ取った。これはこれで進歩だと思う。そしてしっかり2週間の準備期間を生かして、相手をスカウティングした結果だと思う。渡邉監督の言葉通り、ベストではないがベターな結果は得られたのではないだろうか。。

 

 気になったのは後半のマリノスの戦い方で、前プレを仕掛けるけど、それが結果的にオープンな展開を招いてしまったことだ。おかげで仙台にもチャンスが訪れ、同点に追いつくことができたのだが、やはり逃げ切るスタイルではないチームが、あのようなシチュエーションでどう振る舞うかはとても難しいなと思った次第だ。

 

 次節は再びホームで松本を迎える。次は守備の要であるシマオが出場停止だ。仙台としてはここを乗り切ることで、さらに成長した自分たちを見せたいところ。

 次節も決して簡単な相手ではない。粘り強く戦って、次節こそベストな結果を得られることを期待したい!!