ヒグのサッカー分析ブログ

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【自信を深める逆転劇】明治安田J2第5節 湘南ベルマーレvsベガルタ仙台

さて、今回は湘南ベルマーレ戦を振り返ります。

☆前節のレビュー

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スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・テゲバジャーロ宮崎に4-2で勝利。森山ベガルタらしい全員がハードワークする戦いを体現し、帰ってきた中島と新戦力・浅倉にゴールが生まれて大量4ゴールでの勝利となった。

 この勢いをさらに加速させたい今節は、湘南ベルマーレとの今シーズン初の6ポインター。湘南とはJ2・J3百年構想リーグではEAST-Aで対戦し1勝1PK勝ちとなっているが、湘南のシステムの変更や新戦力が加わったことで、百年構想リーグでの対戦時から代わっている部分がある。

 お互いにハードワークと高い強度を信条としているだけに、そこで負けずにより数多くゴールに迫っていきたい一戦となった。

 仙台は、前節からスタメン、ベンチともに同じ20人で挑むこととなった。百年構想リーグでは毎試合メンバーを入れ替えていたため、2025年シーズン以来の連続起用となっている。

 

 一方の湘南ベルマーレは、前節・RB大宮アルディージャと2-2のドロー。前半からハイプレスを仕掛けて2点を先行したものの、後半は個人能力の高い大宮に押し込まれ1点差に迫られると、小野瀬が一発退場となり、その後同点に追いつかれ悔しい勝点1となった。

 2試合連続で引き分けているだけに、これ以上の足踏みは許されない。湘南としてはホームで3試合ぶりの勝利と百年構想リーグのリベンジを果たしたい一戦となった。

 湘南も前節と同じ11人をスタメンに起用している。ベンチには出場停止の小野瀬に代わって加入後初ベンチ入りとなった上月らが控えている。

 

前半

(1)1本目のコーナーキック

 仙台は試合開始から梅木、岩渕をターゲットにしたロングボールによって湘南陣地の奥深いところを目指す。2トップが精力的に背後へランニングすることで、試合開始から敵陣に入り込める場面を作り出すことができた。

 また、この試合ではコーナーキックにも工夫がなされていた。1本目のコーナーキックでは、キッカーの中島がグランダーのボールでマイナスに出して松井がミドルシュートを狙うも大きく枠を超えていく。いつもならペナルティエリア内へボールを送り込むことが多かったが、1本目からデザインした形を見せてきた。

 

 序盤から押し込めていた仙台だったが、先に均衡を破ったのは湘南だった。

 湘南の1本目のコーナーキック。ショートで始め、田村を経由して武田将平へ。武田のアーリークロスにファーで山田が合わせて先制点を決める。

 湘南も1本目のコーナーキックからデザインした形を見せてきた。

 このシーンの仙台は、武田将平にボールが渡ったときにラインを上げてオフサイドトラップを狙っていた。ゆえに山田をマークしていた武田英寿はマークを捨ててラインを上げている。

 しかしながら、中央でラインを上げようとした井上が袴田にブロックされており、これでラインを上げきれず、ファーサイドの山田はオンサイドかつフリーでヘディングシュートを打つことができた。これは湘南のセットプレーの準備が上回ったと言える得点だっただろう。

 

(2)サイドチェンジと左右バックの効果的な働き

 先制を許した仙台は、その後も勢いに乗る湘南の攻撃を受けてゴール前に侵入されることもあったが、水際で耐えながら自分たちの時間が訪れることを待つ。

 自分たちの時間や局面を作るには、広いエリアにボールを解放させて、相手のプレッシングが来ない場所で落ち着かせる必要がある。

 湘南は4-4-2で全体がボールサイドに寄る圧縮守備をするチームなため、仙台は奪ったボールを逆サイドへ展開し、解放することで徐々に自分たちがボールを保持する局面を作り出していった。

 

 ボール保持の局面ではマテウス・モラエス、髙田の左右バックが存在感を発揮していた。

 左サイドではマテウス・モラエスがボールを受けると、自身でボールを運び出しながら、中間ポジションに立つ中島へ縦パスを差し込んだり、サイドにいる石井にシンプルにボールを渡すことで前進する。

 15分にはマテウス・モラエスが自身でボールを運んで2人を剥がし石井に出すと、石井の鋭いアーリークロスに梅木が合わせようとするが惜しくも合わないという場面を作る。

 これ以外にもマテウス・モラエスの得意としているロングフィードなどからもチャンスを演出。守備だけではなく攻撃での貢献度も非常に高かった。

 

 右サイドの髙田は自身の持ち場を離れて前線に駆け上がることでマーカーである田村を連れ出す。このことで湘南2トップ脇にスペースができて、井上から武田がフリーでボールを受けて、ボランチから展開することができた。

 湘南は髙田や石井に渡ったところで、サイドハーフがプレッシングのスイッチを入れる仕組みとなっていたが、髙田が上手くポジションを移動することで湘南の狙いを有耶無耶していた。

 髙田はそれだけではなく、石井への大きなサイドチェンジなど攻撃の起点になるプレーを数多くしていた。マテウス・モラエス同様にこの試合での攻守における貢献度はとても高かった。

 

 押し込めるようになった仙台は、湘南の守備ブロック内に積極的に縦パスを差し込んでいく。

 湘南の4-4-2の守備ブロックは、中間ポジションに立つ選手に対して、あまり厳しく寄せてこないため、ここぞのときには前を向いてシュートが打てていた。

 また、湘南の最終ラインは選手間に立つ仙台の選手の管理も甘く、そこを突いて岩渕や梅木がラインブレイクするシーンも見られ、付け入る隙があった。

 18分には左サイドから押し込んだところを起点に、中島の縦パスを中間ポジションで受けた武田が前を向いてミドルシュートを放つ。アルトゥール・シルバに当たったボールは辛うじて真田がコーナーキックに逃れるも、これで得たコーナーキックから同点ゴールを決める。

 今度は武田がショートコーナーで始める。ペナ角にいた岩渕とのパス交換から武田が強烈な左足のシュートを放つと、田村に当たってコースが変わりゴールへと突き刺さった。ここでも工夫を凝らしたコーナーキックで仙台は同点に追い付く。

 

(3)梅木翼の脳震盪。期待に応えた小林心。

 同点に追いついた仙台は、その後もチャンスを作り逆転を目指していく。

 しかしアクシデントが発生。ゴール前に飛び込んだ梅木が袴田との接触で頭部を負傷。一度はピッチに戻ったが、脳震盪の疑いがあり小林との交代を余儀なくされる。

 2試合連続ゴール中で、この試合でも積極的なプレッシングと背後へのランニングなど精力的に戦っていただけに痛い交代となった。

 

 しかしながら、急遽投入された小林が期待に応える。

 華麗なターンから前を向いた岩渕からボールを受けた小林はドリブルを開始。自身でゴール前まで仕掛けると松村に倒されてPKを獲得。このPKを小林が自ら沈めて逆転に成功した。

 岩渕がセンターバックの一角である袴田に対してターンで抜き去ったことで、小林は堂鼻との1対1に持ち込み、スピードを活かしたドリブル突破でペナルティエリアに侵入したことでファウルを誘発できた。

 恐らく小林が優位なポジションを取っており、松村との接触がなければシュートを打てた可能性が高いために、軽い接触でもPKのジャッジになったのではないかと思う。

 百年構想リーグでのPK戦でもすべて決めていたのもあり、小林のキックは自信に満ち溢れていた。PKではあるが、今シーズン初ゴールを奪えたことも大きかった。

 

 前半は、序盤こそセットプレーから失点を許したものの、その後は横の揺さぶりと縦の差し込みからチャンスを作り出し、前半のうちに逆転に成功。梅木のアクシデントがあったものの、途中投入された小林が結果を残した。2-1で後半へと折り返す。

 

後半

(1)湘南のオーバーロードと仙台のカウンター

 後半は1点を追う湘南が序盤から押し込む展開。

 前半もだったが、湘南の攻撃は基本的に同サイドに密集地帯を作ってコンビネーションで崩していくオーバーロードアタック。特に湘南は右サイドでオーバーロードを作り出して攻撃を仕掛けていくことが多かった。

 また、前半はダブルボランチが縦関係になることが多かったが、後半では武田が左斜めに落ちて、アルトゥール・シルバがアンカーのような立ち位置に変わっている。

 湘南はサイドバックを起点に斜めに差し込んで、バイタルエリアへ侵入しシュートまで持ち込もうとしていた。

 しかしながら、仙台も集中した守備を見せており、斜めから差し込まれても3バックを中心に跳ね返し、湘南がサイドを抉っていこうものなら石井がしっかり蓋をしてクロスを上げさせなかった。

 

 仙台は押し込まれる展開ではあったものの、前に人を掛けるようになった湘南に対してカウンターを発動できており、守備一辺倒になることはなかった。

 50分には左サイドから石井の右足クロスがファーサイドへ流れ杉山が合わせるもゴール左へ逸れる。続く51分には井上から岩渕の縦パスを起点に、後方から駆け上がった髙田へスルーパスを送るとシュートまで持ち込む。

 

 時には4-4-2のミドルブロックで湘南のビルドアップに睨みを利かせながら、自陣に侵入された5-3-2で守備ブロックを組んで耐える仙台。

 61分には1枚イエローカードを貰っていた松井と岩渕に代わって鎌田と荒木を投入。この試合でも荒木は左シャドーで起用され、中島が一列前へポジションを変える。鎌田は中盤で武田とともにボールを落ち着ける役割を求められ、荒木は攻め込まれている左サイドの守備をケアしながら前へ出て行くことが求められた。

 一方の湘南も63分に3枚替え。鈴木、田村、加瀬に代わって下口、上月、小田が投入され、攻撃の火力を上げていこうとした。

 

(2)飲水タイム後の前プレ再開と中島元彦のフリーキック

 攻め込まれながらも守備陣が跳ね返して耐えていた仙台は、サポーターの大きな声援に応えるかのように、飲水タイム後から再び前線からのプレッシングを仕掛ける。

 そして72分に袴田のミスパスを誘発させると、武田が中島へ鋭い縦パスを通し、中島はゴール前でアルトゥール・シルバに倒されフリーキックを獲得する。

 絶好の位置で獲得したフリーキック。ボール前に武田、中島が立つなかで、ファウルを受けた中島が見事な縦回転で壁を越えるフリーキックを決めて、仙台が勝ち越しに成功する。

 相手ゴールキーパーにとってはキックの名手である武田と中島の両者に立たれると、どっちの可能性もあり読むのは難しいだろう。そして中島のキックを言わずもがな。距離があまりないなかで、見事な縦回転でジャンプする壁を越えていった。

 

 終盤に差し掛かる時間帯に2点リードを得た仙台は、ここから選手交代を上手く使ってゲームをクローズしていく。

 得点直後に杉山から菅田に代え、髙田を右ウイングバック、井上を右バックにそれぞれスライドさせ、守備の強度を高める。

 湘南も交代選手を投入し攻撃力を上げるなかで耐える時間もありながら、中盤で鎌田や武田のキープからボールを動かすことも徐々にしていく。

 86分には武田と中島に代わって浅倉と宮崎を投入。この交代でシステムを5-4-1とし逃げ切り体制を構築。

 この試合でも鎌田と荒木がダブルボランチを組んで、相手の攻撃に応戦。

 しっかり構えて跳ね返すことで、湘南にシュートを打たれることも少なく、アディショナルタイムの5分間もしっかり戦い切った。

 

 試合は3-1で終了。今シーズン初の逆転勝利で3連勝を達成した。

 

最後に・・・

 まずは、脳震盪によって交代した梅木が大事に至らないことを願うばかりだ。百年構想リーグのプレーオフ決勝でも脳震盪を起こしており、短期間で複数回の脳震盪はダメージが大きいはず。長期離脱の可能性もあるが、まずは回復させることを最優先にして復帰に向けて頑張って欲しい。

 

 試合内容は、先制を許しながらも前半のうちに逆転できたのは大きかった。百年構想リーグでも先制を許しながらも逆転した経験が活きた試合だったと思う。

 攻撃でも守備でも状況に応じて形を変えながら戦うことが徐々にスムーズになってきた印象だ。これをメンバーが変わってもできるかが次の目標となるだろう。

 加えて直近3試合で9ゴールを決めた。シュート意識を高く持つことでゴール数も増えている。やはり打ち続けなければゴールにも繋がらないので、この意識は今後も継続していきたいところだ。

 

 次はミッドウィークのルヴァンカップ・福島ユナイテッドFC戦。2週間前の天皇杯では悔しい想いをしているだけに同じ仇を踏みたくないところ。ルヴァンカップでもメンバーを大きく入れ替える可能性が高いだけに、ここでのチャンスを活かしてリーグ戦のメンバー入りにアピールして欲しい。

 そして、リーグ戦はホームに戻って北海道コンサドーレ札幌戦。札幌は開幕戦に勝利したものの、その後は4連敗とスタートダッシュに失敗。今節も栃木シティに4失点を喫しており、守備に課題を残している。前線には個人で打開できるタレントがいるだけに決して侮れない相手だが、序盤から集中した試合の入りをして、札幌を押し込むような展開に持ち込めれば勝機は見出せるはずだ。

 

 札幌戦の勝利するためにも、カップ戦での勝利でさらに勢いづけたいところ。そういう意味でもミッドウィークの福島戦は重要な試合になってくる。まずはカップ戦の勝利を目指し、そしてリーグ戦でも勝てるようチームにはハードワークとパッションに期待したい!!

 

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