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重くのしかかった3失点~明治安田生命J2第31節 ベガルタ仙台vs大宮アルディージャ~

 さて、今回は大宮アルディージャ戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

↓前回対戦のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

 ベガルタ仙台は、前節・ツエーゲン金沢に4-1の勝利。しかし4ゴールを奪えた一方で、試合の進め方や締め方にやや課題を残す格好となった。

自動昇格に向けて勝たなければならない試合は続く。今節の相手は横浜FCに勝利して勢いづく大宮アルディージャとの対戦。大宮も残留を目指すなかで必死に戦ってくるだけに一筋縄ではいかない。大宮の勢いを殺しながら自分たちのゲームをできるかがポイントとなった。

 仙台は中山が欠場。代わりにカルドーゾが先発起用された。ベンチには加藤と遠藤が帰ってきている。

 一方の大宮アルディージャ。前述したように前節は横浜FCに勝利して、残留に向けて大きな1勝となった。今節も昇格を目指すチームとの対戦。横浜FC戦で得た自信をアウェイの地で遺憾なく発揮したい試合となった。

 大宮は前節と同じメンバーがスタメンとなった。ベンチには中野が前節と代わってメンバー入りを果たしている。

 

前半

(1)ミス絡みで与えてしまった2連続失点

 仙台の試合の入り自体は悪いものではなかった。

 この試合も金沢戦同様に、ボールサイドでコンパクトに守る大宮に対して、人を寄せてから中島や佐藤の大きなサイドチェンジを活用して、フリーになったサイドバックサイドハーフがクロスなどで仕掛けていくのが狙いだった。

 開始3分には蜂須賀のクロスを内田が、6分にはセカンドボールを回収した流れから中島のパスに氣田が抜け出すチャンスを作り出した。

 

 しかし、2トップがシンプルに背後を狙ったり、サイドで人数を掛けて攻め込む大宮のターンになると、仕掛けたところからセットプレーを与えるようになる。

 そしてそこから試合が動くこととなった。

 またしてもコーナーキックからの失点。このシーンでは頭上に上がったボールをカルドーゾがクリアし切れなかったことと、内田もラインを上げ損なったことでオフサイドを奪えなかったことが原因となった。

 また、続く12分にも仙台は連続で得点を許すことになる。

 仙台キックオフで再開した流れからセカンドボールを回収され、シンプルに背後を奥抜に抜け出されると矢島のクロスに河田が合わせる。

 失点直後で集中力が切れていたのか、稚拙な判断によって簡単に失点を与えてしまった。

 

(2)飲水タイム後の修正で流れを取り戻す大宮

 序盤に2失点を喫した仙台。だが、仙台の得点力を考えれば1つずつ取り返せば追いつける可能性は十分に残っていた。

 仙台はもう一度大宮の守備に対して、前述したサイドチェンジを活用しながら押し込む形を作っていく。

 20分には平岡の対角フィードから蜂須賀が収めて、最後は名倉がカットインしてシュートを放つも志村にセーブされる。

 続く22分には、中島の対角フィードに抜け出した蜂須賀が折り返して、最後はカルドーゾがヘディングで合わせるも、ゴール右へ外れる。前半の最大の決定機だった。

 

 そして、飲水タイムに入ると大宮はすかさず守備の修正を施す。

 仙台はここまで中島がある程度自由にボールを持てたことで、中島を起点に攻撃できていた。

 大宮としてもまずは中島を抑えたいので、2トップを縦関係にして基本的には河田を中島番にして起点を潰す作戦に出た。

 また、この試合は仙台の2トップがロングボールをほとんど収められるシーンが少なく、起点が中島しかいなかった。

 よって中島を潰された仙台は、攻撃の起点ができずに飲水タイム後の約10分間は再び大宮に押し込まれる時間帯が続く。

 そして、この展開から大宮がさらに仙台を突き放す。

 右サイドの見事な崩しから、河田のパスを受けたフリーの矢島が冷静に流し込んで3点目を奪う。

 相馬監督の飲水タイムでの修正が功を奏して、大宮は前半だけで3点差にすることができた。

 

 一方の仙台は、チャンスは作れど決めきれず、逆にミス絡みでの連続失点と押し込まれた流れから守り切れずに追加点を許す格好となった。

 前半は、大宮が3点リードで折り返す。

 

後半

(1)3人交代によって役割が整理された仙台

 3点を追う仙台は、後半開始から真瀬、加藤、遠藤と一気に3人を交代する。

 

 3人を交代した仙台は、各選手の役割が整理されたことで大宮を押し込むことに成功する。

 前半は、2トップで起点ができずに中島も封じられたことで攻撃の起点を失った仙台。後半は遠藤が入ったことで前線での起点ができるようになる。

 遠藤は以前みたいに必要以上に中盤に下がることなく、富樫の近くでかつ中盤の選手との距離が近くに立ち位置を取ることでボールを引き出す。

 遠藤が収めることで、2列目の加藤や名倉は積極的に前線に飛び込む回数が増えていった。

 また遠藤が起点を作ることで、大宮の守備が遠藤に集中する。よって前半よりも中島が前を向いてプレーする回数を増やすこともできた。

 加えてポジションチェンジも少ないので、トランジションの局面でも素早い切り替えからボールを奪い切り、仙台のターンを続けることができた。

 

 後半開始の大宮は、前線からプレッシングを行っていたが、ボールを握られ押し込まれる展開になると、次第にスタミナが消耗し自陣に撤退する時間が長くなった。

 そして仙台は、64分にクロスボールのこぼれを回収すると中島のミドルシュートで、まず1点を返す。

 

(2)5バックで逃げ切りを図る大宮

 大宮は失点直後に矢島と河田に代えて泉澤と富山を投入。一方の仙台は足を痛めた名倉に代えて吉野を投入し、左サイドハーフに中島、右サイドハーフに加藤という配置にする。

 

 その後も基本的には仙台が押し込む形でゲームが進むが、大宮もサイドから崩してチャンスを作る。2つのチャンスがあったものの杉本のセーブで難を逃れる。

 

 大宮はスタミナの消耗が激しく自陣に張り付きの状態が続くと相馬監督は早いタイミングで5バックに変更し、逃げ切り体制へシフトチェンジする。

 79分に足を攣った栗本と奥抜に代えて、5バックの中央に田代と左ウイングバックに茂木を投入する。左サイドバックだった小野がボランチとなった。

 

 これで残り10分間は仙台が大宮陣内で攻め込む時間となった。仙台は焦らずにボールを動かしながら、大宮の守備網のなかへボールを入れていき、ペナルティエリアへの侵入を試みる。

 特に本職ではない左ウイングバックに投入された茂木はポジションが怪しく、真瀬と加藤、そこに遠藤やフォギーニョが加わりながらバリエーション豊富に崩していった。

 そして89分に右サイドから加藤のファーサイドへのクロスを中島が折り返して、遠藤が押し込み1点差まで詰め寄る。

 

 アディショナルタイムは6分あり、チャンスがあるかに思えたが残留に向けて是が非でも勝ちたい大宮の集中力の高い守備の前になかなかシュートを打たせてもらずに時間が過ぎていった。

 そしてタイムアップ。後半は攻勢を強めて1点差まで詰め寄ったものの、追いつくことができず2-3で敗れた。

 

最後に・・・

 前半の3失点が重くのしかかった試合となった。その3失点も中にはミス絡みのものもあり、非常に悔やまれる。1つでも防ぐことができて、後半の内容で戦えていたら追いつき、逆転まで持って行けたかもしれない。

 

 ゴールを奪いに行くという面においては、中山が不在でも多くの選手がバリエーション豊富な攻撃を見せて戦うことができているし、押し込んだところから2ゴール奪えたことはポジティブだった。

 ただ、それを支える守備において、まだまだ失点が減らないので、そのパワーを十二分に発揮できない試合が、今節のように出てきてしまう。

 そういうムラを無くして、より攻撃に時間とパワーを注ぐためにも、ラスト11試合でいかに失点を減らすか、失点に直結するミスを減らすかはポイントになってくると思う。それは守備陣だけの問題ではなく、チーム全体で解決していかなければならないだろう。今節のような試合をこれ以上してはならない。

 

 次節はアウェイでのザスパクサツ群馬戦。群馬も大宮同様に残留に向けて勝たなければいけない状況にある。まずは守備におけるミスを減らしながら、攻撃にパワーを持たせることで自分たちが押し込んでいく時間を増やしていきたい。次節こそ相手を圧倒して、前半から仙台らしい攻撃的なサッカーを展開して欲しい!!

 

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