ヒグのサッカー分析ブログ

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スタートライン~明治安田生命J1第28節 ガンバ大阪vsベガルタ仙台~

 さて、今回はガンバ大阪戦を振り返ります。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

↓前回対戦のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

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 代表ウィーク明けの試合。ベガルタ仙台は、前節・サガン鳥栖に敗れ、11戦勝ちなしの状況が続いている。鳥栖戦では、ボール保持を主体とする相手に3バックで対策を練ったがエドゥアルドの直接フリーキックで沈んだ格好となった。残りは11試合。ここからはいよいよ残留に向けて1試合1試合が重要となってくる。

 前節は3バックを採用したが、今節は4バックへと戻した。蜂須賀、加藤が前節に代わってスタメンに。両者ともに久々のスタメン起用となった。

 ガンバ大阪は15連戦を終え、ようやく通常のスケジュールでの戦いとなる。第24節・清水エスパルス戦以降勝ちはなく、ルヴァンカップでもセレッソ大阪に敗れ敗退。浮上のきっかけが欲しい一戦となった。

 今節は3-4-2-1のシステムを採用。代表帰りの昌子とキム・ヨングォンが3バックに名を連ね、ボランチは倉田と井手口、右ウイングバックに小野瀬、パトリックを頂点に宇佐美と小野がシャドーを務める布陣となった。

 

前半

(1)宇佐美サイドから崩しにかかる仙台

 前回対戦でのガンバは、仙台のボール保持に対して前から積極的にプレッシャーを掛けてボールを奪いに行く姿勢を見せた。

 しかし、今節はボールを奪いに行くことよりも5-4-1にないしは5-2-3で守備ブロックを組んで、リトリートすることがほとんどだった。

 よって仙台は、ビルドアップから攻撃を開始するシーンを多く作ることができていた。

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 撤退守備を選択したガンバに対して、仙台は徹底して右サイドからの攻撃を繰り返していく。

 仙台の狙いは明白で、守備が得意ではない宇佐美サイドから攻めることだった。

 宇佐美は基本的にオリジナルポジションにいても、ボールホルダーへプレスを掛けたり、相手のパスコースを限定するようなことはしない。要はアリバイ守備の状況だ。

 

 仙台は、アピアタウィアやダブルボランチから攻撃をスタートさせる。前線では加藤が高い位置を取ることで藤春をピン止め。このことで蜂須賀をフリーにする。

 ガンバの守備は、人への意識が強い。よって仙台のボランチにボールが入りそうになると、すかさずガンバのボランチ(特に倉田)が食いつく。この時にアピアタウィアが1つ飛ばして加藤や赤﨑へ楔のボールを入れる。

 そしてバイタルエリアに侵入できた仙台は、2トップとサイドハーフのコンビネーションを中心にガンバの最終ラインを崩しにかかる。

 また、状況に応じては楔のボールだけではなく、富樫や赤﨑、加藤らが裏へ抜け出して、ディフェンスラインの裏でボールを引き出す動きを行っていた。

 

 仙台の攻撃のほとんどが、この相手が食いついた背後を突くパターンだった。中断期間に攻撃の連携を向上できたこと、またガンバの守備の特徴をしっかり研究したことで、効果的な攻撃を再現性高く行うことができた。

 

 37分の先制点もやはり右サイドからの攻撃だった。きっかけはセンターサークル付近で、上原が宇佐美からボール奪取したところからだった。

 宇佐美が戻る前にすかさず右へ展開。そこから時間を掛けて押し上げ、最後はフリーだった蜂須賀のクロスに富樫が合わせた。

 このときにペナルティエリアに仙台の選手が4人いる。それだけ時間が作れた証拠だ。加藤と赤﨑がキムと昌子を引き付けたことで、富樫はフリーでヘディングシュートをすることができた。

 

(2)取られて取り返して。不安定だったラスト10分間。

 しかし、その直後に追いつかれる。

 右サイドを崩されて、最後は藤春のクロスに途中投入の矢島が合わせた。クロスが蜂須賀の足に当たるアンラッキーはあったものの、直後の失点は勿体なかった。

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 反省すべきとしたら、ガンバがキムから藤春へパスを出したときの立ち位置だろう。

 加藤が曖昧なポジショニングをした結果、背後の藤春へ通され、列を越えられてしまった。

 プレッシングに行くか、藤春のパスコースを消すか(カバーシャドウ)、藤春の位置まで下がるか判断をハッキリしたかったところ。

 得点直後で前から行くのか、後ろで構えるか迷いが出てしまった。この辺りはチームマネジメントを含めて、今後の課題だろう。

 

 しかし、決して焦らなかった仙台。ガンバがペースを上げなかったことも相まって、すぐに落ち着いてボール保持攻撃からリズムを取り戻すことができた。

 そして42分に、右サイドの高い位置で加藤が仕掛けてフリーキックを獲得する。

 そのフリーキックを富樫が再び決めて、すぐさま勝ち越しに成功する。

 取り返された後にすぐに取り返せたことは何よりも良かった。

 37分以降、得点が動いた試合となったが、2-1でリードして折り返すことができた。

 

後半

(1)システム変更によって自由度が増したガンバ

 後半開始からは両者ともに、メンバーもシステムも変更なしで始まったが、10分経ったところでガンバが動く。

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 ガンバはシステムを4-4-2へと変更する。

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 このシステム変更によって、ガンバは各選手の自由度が増し、またサイドバックが高い位置を取り、井手口も3列目から絡んでいくことで、前半よりも人数を掛けて攻めに出るようになる。

 そして、システム変更した直後の57分に中央から侵入して左へ展開。矢島のダイレクトのクロスが蜂須賀のハンドを誘い、PKを獲得する。

 これをパトリックが決めて、ガンバは同点に追いつく。

 

(2)押し下げるカルドーゾとバイタルを突く西村

 同点に追いつかれた仙台は、64分の飲水タイムに3人の選手交代を行う。

 中原、西村、カルドーゾを投入する。

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 4バックになったことで自由度が増し、前への人数を増やしたガンバ。それに対して仙台は2トップの役割を明確にすることで、再度ペースを戻そうと試みた。

 カルドーゾは、相手センターバックと対峙し、ボールを収めたり自らが運んだりして、全体を押し上げる役割。

 西村は、カルドーゾよりも低い位置、相手ボランチ付近でボールを受けることで、前線と中盤の中継点の役割を担った。

 また彼らと一緒に投入された中原は、サイドでボールを落ち着かせ、そしてカウンター発動時には、2トップに絡んでいくことを求められた。

 

 そしてそれが実を結んだのが79分だった。

 縦パスをカットした崇兆から中原へパス。ここでカウンターが発動。中原はすかさず西村へスルーパスを送り、そのまま西村はドリブルから自身の得意な形でゴール右隅へ決め、三度勝ち越しに成功する。

 前に人数掛けたガンバに対して狙い通りのゴール。カルドーゾの斜めのランニングによってセンターバックを引き付けることができた。交代で入った3人が絡んだ得点だった。

 

 その後、仙台は81分に真瀬、89分には福森を投入し、5バックで逃げ切りを図る。

 ガンバは、アディショナルタイムに入るとパトリックや昌子を目掛けたパワープレーへに打って出るも、集中力を保った仙台がしっかり跳ね返した。

 アディショナルタイム7分という長い時間をしっかり抑えた仙台が3-2で勝利。12戦ぶりの勝点3をゲットした。

 

最後に・・・

 12戦ぶりの勝利。ようやく勝利を手にすることができた。

 勝因は主に2つあると思う。1つは中断期間に向上できた攻撃とコンビネーション。この試合では特にガンバの守備をしっかりと研究して、ウィークポイントを突いた攻撃で得点に結びつけることができた。

 もう1つは、攻守において属人的なガンバの戦い方に対して、しっかり組織として戦えたこと。選手交代も含めて、うまくゲームを勝ち筋へと持ち込むことができた。

 

 まず1つ勝てたことで、ようやく残留争いのスタートラインに立てたかなと。あくまでここからが始まりで、本当の戦いはここからのラスト10試合だと思う。

 次節はアウェイで清水エスパルス戦。ガンバに比べれば守備組織がしっかりしており、また前線にはチアゴサンタナという強烈な選手がいる。ガンバ戦のようにはいかないだろうし、真価が問われる一戦だ。

 まずは1つ勝てたことを自信にして清水へと乗り込みたい。連勝してホームに帰ってきましょう!!