ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

あとがき2020

 さて、今年も最後の記事となりました。

 新型コロナウイルスの流行により、世界がガラッと変わった年でしたね。Jリーグも一時はどうなるかと思いましたが、すべての試合を開催することができました。本当にJリーグに関わったすべての方々に感謝申し上げます。

 ということで、今年もぬるっと振り返りたいと思います。よろしくお願いします。

 

木山ベガルタを振り返って

 6年間率いた渡邉晋監督に代わり、今シーズンからモンテディオ山形を率いていた木山隆之新監督を迎え、気持ちを新たに迎えた2020年シーズンでした。キーワードは「アグレッシブ」。攻守ともに自らアクションをしていくサッカーを標榜し、木山ベガルタはスタートしました。

 オフでは、昨年の主力だったメンバーがほとんど残留をし、そこへ吉野恭平やゲデス、赤﨑秀平、そしてクエンカといったメンバーを加えてシーズンをスタートしました。

 

 しかし、キャンプからケガ人が続出し、満足できる準備ができないままシーズンを迎えることとなりました。

 リーグ開幕前に行われたルヴァンカップ浦和レッズ戦では2-5の大敗。続くリーグ開幕戦・名古屋グランパス戦では1-1で引き分けだったものの、苦しい展開を強いられた内容となりました。

 

 そこからコロナウイルスの拡大によりリーグ戦は4か月もの中断に入ります。

 中断中にはロシアやポルトガルでプレーした西村拓真が2年ぶりの復帰を果たします。また4か月の中断期間でケガ人が帰ってきたことで、再びチームを作り直す時間を得られたことは唯一ポジティブなことでした。

 再開明けの湘南ベルマーレ戦からはシステムを4-3-3にし、アグレッシブに前から行くサッカーを展開。湘南を1-0で退け、再開初戦を勝利することが出来ました。

 その後も内容は悪くない試合が続きましたが、なかなか勝点3を得られませんでした。北海道コンサドーレ札幌戦、川崎フロンターレ戦は2点のリードを奪いながらも勝利することができずに、もどかしい試合が続きました。

 

 その後、柏レイソル戦で1-5で大敗を喫すると、木山監督は次の横浜Fマリノス戦からは中盤をダブルボランチにし、4-2-1-3のシステムで戦うようになります。これは、ここまでの試合でカウンターからの失点が増えていたことで、木山監督が決断したことでした。

 そのマリノス戦では勝利できなかったものの、次のヴィッセル神戸戦では2-1で勝利を収め、結果を出すことが出来ました。

 しかし、この先から暗いトンネルに入ることとなります。過密日程になったことで、連戦が続いたことでケガ人が続出。また中盤をダブルボランチにしたことで前線からのプレッシャーがハマらなくなり、前線では個々人が頑張っていくことで、連動性のないプレッシングになってしまい、結果的に自陣で引きこもる試合展開が多くなりました。

 次第にプレッシングに行けなくなると、試合開始から自陣で引くことが多くなりました。またボール保持の局面でも、キーパーから繋ぐ姿勢は見せるのものの、設計図がなく、個々人任せになるので、前進できないことが多くなりました。

 9月のアウェイ連戦は3バックをやってみたり、4-4-2のシステムにしてみたりと、木山監督なりに模索をしたもののなかなか勝利することできずに、結果的に17試合勝ちなしという形になりました。気が付けば順位も最下位となり、まさしく苦しいシーズンとなりました。

 

 それでも27節・ガンバ大阪戦で久々に4-3-3のシステムを採用すると、選手が躍動。長沢のハットトリックもあり、4-0で快勝。ついに待望の勝利を挙げることが出来ました。

 しかし、その後も苦しい試合は続きました。特にホームでは勝てない。アウェイでは、現実的な戦い方を選び、3バックを採用するなどして終盤にはアウェイ4連勝を飾ることが出来ましたが、ホームでは理想を追い求めていたことで、結果に結びつくことが出来ませんでした。気が付けば今シーズンはホームでの勝利はなし。悔しい結果に終わりました。

 今シーズンは、6勝10分18敗、勝点28の17位でシーズンを終えました。もちろんJ1昇格後最悪の成績。コロナの影響で降格のないシーズンでしたが、これが通常のレギュレーションだったらと考えると、ゾッとする成績でした。

 

 最終的に木山監督は今シーズン限りでの退任となりました。就任1年目にして、コロナ禍のなかの未曽有のシーズン。加えてクラブ経営は思わしくないし、所属選手は不祥事は起こすしで、非常に苦労されたシーズンだったと思います。

 しかし、年間通しての結果を鑑みれば退任もやむなしかなと思います。

 この1年、木山監督のサッカーを振り返ったときに、属人的なタイプの監督だなという印象でした。選手の特徴を見つつシステムを変化させることで、最適解を見つけたり、相手にとって嫌なサッカーを展開するタイプかなと今シーズンの戦いを見て感じたところです。なので、「戦術家」だった渡邉監督に比べれば、どちらかというと「戦略家」かなと思います。

 またもともとボールを保持することに特段のこだわりがないなかで、おそらくクラブのリクエストであろうボールを保持することにも、苦手になりにトライしたと思います。なので、そこをチャレンジしたことで崩したバランスが結構あったなという印象でした。

 11月以降で成績を取り戻せましたが、それは苦手なボール保持を諦めたことで、チームとして、または木山監督してやりやすい形にできたことで、勝点を上積みできるようになったと思います。

 象徴的だったのはラストの2試合。清水戦では3バックにし現実的に勝点3を目指すサッカーで勝利することが出来ましたが、最終節の湘南戦では再び4-3-3に戻し、理想を目指す中で勝点3を目指しましたが、結果的にドローに終わりました。

 現実と理想の狭間があそこにはあったのかなと。そんなことを思ったラスト2試合でした。

 

 ただ、成績はどうであれ、ベガルタのために尽力いただいたことは変わりません。まさに未曽有のシーズンとなった中で、戦ってくれて本当に感謝しかありません。また、どこかのチームで木山監督らしいサッカーを目指していってほしいです。1年間、ありがとうございました!

 

天に導かれし男の帰還

 木山監督と別れを告げた仙台。もともと悪かったクラブの経営状況はこのコロナの影響でさらに悪化。さらに選手の不祥事があり、チームの信頼度は低いものとなりました。

 来シーズンは、まさにマイナスからのスタート。そんな中で、来シーズンからは手倉森誠監督が再就任します。このタイミングで手倉森監督が長崎を退任し、仙台に帰ってくるなんて悪運が強いなと思います(笑)

 ただ、このクラブの状況を考えたときに、目指すサッカーは別としても、手倉森監督は適任だったと思います。

 手倉森監督に任せられたミッションは多岐に渡ると思いますが、まずは4クラブ降格となるシーズンでの残留が最大のミッションとなります。そこに向けて、どういうスタイルのサッカーをしていくか。手倉森監督が仙台を離れてからの経験も踏まえてとても楽しみな部分としています。

 来シーズン、マイナスのスタートとなる中で、反骨心を持って、這い上がっていくところを期待したい、応援していきたいと思います!

 

 

自分のことについて

 今シーズンもこの拙文にお付き合いいただきありがとうございました。

 コロナの影響で過密日程となった今シーズンは、30試合を執筆しました。本業の方も忙しくなる中で、個人的にはよく頑張ったなという数字です。

 

 今年は、年初めに「フットボール批評」にて、戦術藩の一味としてインタビューさせていただきました。書店に並んでいる雑誌に自分の名前が載ることはとても不思議な気分でした(笑)長く続ければ、こんな良いことも訪れるんですね。継続は力なりです。

 

 しかし、そのあとはご存知の通り、コロナの影響で試合がない日々が続きました。幸いなことに本業にはほとんど打撃がなく、変わらない生活を送ることが出来ています。しかし、やはり自分を占める主成分はサッカーであることを痛感させられる日々でした。

 だからこそ、再開後の試合はテレビの前で見守る形でしたが、嬉しかったですし、ようやく日常が帰ってきたなという気持ちでした。

 ただ、スタジアムに通えど、声援を送れないことにもどかしさを感じるシーズンでした。手拍子でしか選手に伝えられないもどかしさ。自分たちの熱量で選手を後押しできないもどかしさは、今でもないと言ったら嘘です。

 日常が戻ったら、でかい声で選手をサポートしたい。それが一番の目標です。

 

 来シーズンも、しばらくこの状況は続きそうです。我慢することが続きますが、日常を取り戻すためにやれることは協力していきたいと思います。

 来年で8年目になります。久々の手倉森仙台。今は楽しみな方が強いです。ここから這い上がっていく姿を、来年のベガルタ仙台には期待したいです。

 今シーズンもありがとうございました。では、よいお年を!