代表ウィーク明けの初戦。今回はセレッソ大阪戦を振り返ります。
っと、いつも通り淡々と振り返りをしようと思って見直していたのですが、ポジティブな内容もなく、非常に頭を悩ませる厳しい試合だなと改めて痛感しました。
なので、今回は趣向を変え、開幕から勝てていないという現状に対して、まずは自分なりに面と向き合ってみようというのが今回の記事です。
何が悪くて、何ができていないのか、何を忘れているのか。今節のセレッソ大阪戦をもとに考えていきたいと思います。
あとは開幕直前に書いた、この記事ともリンクさせながらお話を進められればと思います。
両チームのメンバー、布陣はこのような形。いわゆるミラーゲームですね。
テーマ①:「人」への意識が強いボール非保持
まずはボール非保持、守備についてである。開幕から強化のポイントとして挙げていたが、開幕戦のスコアレスドロー以外は失点を重ねてしまっている状況にある。
仙台のボール非保持時は「人」への意識が強い。自分の近くにいる相手をまずは意識するといったところだろうか。
今節は、ミラーゲームということもあり、より人への意識が強い守備が見て取れることとなった。特に象徴的だったのが、相手のウイングバックが高い位置を取ったときに、仙台のウイングバックがそれに引っ張られるケースが多かったことだろう。
人への意識が強い仙台のボール非保持において、ボールを奪えた局面は共通して守備の基準、マークがハッキリしたときであった。
上図のように長沢がヨニッチへプレスを掛け、その間に同サイドの海夏や崇兆が人を掴まえてボールを奪うというシーンは、割と前半に見られたケースだったし、非常に良かったシーンだと思う。
これを持続することができれば仙台だって守備で困らないし、攻撃へと繋げられる。しかし、サッカーは「相手のいるスポーツ」である。ゆえに相手だって対応・変化していくのは当然である。
セレッソが25分過ぎから奥埜とソウザを長沢の両脇にポジションすることが明確になっていった。これによって長沢はヨニッチへのプレスに行きたくても行けない。シャドーもボランチに行くべきか、3バックへ行くべきか判断に迷う。ダブルボランチは柿谷と清武の登場で前3人を援護できない。みたいに少しずつ前から限定できなくなった。
このときにしっかりやられたくないスペースを埋めながら対応したり、前から限定できるように誘導していくとかができればいいのだが、その対応が今の仙台はできない。
加えて人への意識が強いために、先制点のようなローテーション攻撃をされると簡単に裏へ突破されてしまう(埋めるべきスペースを埋められていないから)ことになる。
これは1日2日でどうなるものではないが、トレーニングのなかでしっかり仕込んでいかなければならないものだろう。
またもう1つボール非保持において問題がある。
それは先ほどの話ともリンクするのだが、中央の大岩が、真ん中から動かない(動けない)ために左右バックが出ていった後ろのスペースが生まれやすいということである。
これは今に始まった訳ではないし、昨シーズンから見られていた光景ではある。
今シーズンの仙台は守るときの横幅と3ラインのコンパクトさは昨シーズンからだいぶ改善されているが、肝心のブロック内の構造に変化ないために、昨シーズンと似たような攻められ方をされている。
理想なのは、やはりしっかりスライドしてチャレンジ&カバーのポジションを確保できることである。またそのときに逆サイドはある程度捨てて、ボールが移動している間にスライドすることが理想だろう。
このようなこまめな移動と意識を心掛けなければ、本当の意味での守備の強化にはつながらないと思っている。耳の痛い話だが、できていないことが事実なのだ。
ここからはおまけ。セレッソはどう守っていたかというお話である。
セレッソは「人」の前に「スペース」という意識を持っている。特に前からプレスに行くときは、プレスを開始するスタート地を重要視している。しっかりとプレスを掛けられる立ち位置を取る。セレッソはそこが明確であった。
そして都倉からプレスをスタートするわけだが、その時に後ろのシャドー2人が、次にどこへ行くのかを予測しながらプレスを掛けることができている。3人が連動して動けているわけだ。
ビルドアップ時には仙台は人数的にはセレッソよりも多いが、セレッソはしっかり予測し、パスコースを限定しながらプレスを掛けているために、局地的に同数を作り出すことができ、仙台のボール保持を妨害することに成功していた。
仙台と一番違うところは前3人がプレスを掛けるときに、3人が連動性を持ってできているかどうかというところで、セレッソから学ぶことが多かった内容だった。
テーマ②:前プレ隊を超えて行け!
続いてはボール保持に関してである。このチームが2年の歳月を掛けて育ててきた部分である。
しかし、昨シーズン終盤から今シーズンまでなかなかそのボール保持で脅威を発揮できていない。その最たる理由は、相手の研究にあると思っていて、今節のセレッソのように相手が前プレを仕掛けてくると、それに正面から衝突してしまって、ボールを前進できない状況にある。
そして、それへの対策のために行っていたのが、ボランチが最終ラインに落ちて4枚で前進する形だった。しかし個人的には、これが本来仙台が持っていた「いい立ち位置を取る」ということを自ら無くしてしまったように考えている。
というのも4枚にしたのはいいものの、前線3枚とウイングバックが前線に張り出してしまい、前方と後方で分断することになり、よってパスコースも少なく、前プレを最終的に食らってしまう形となってしまっている。
それ故に、決してビルドアップ能力が高いとは言えない大岩や平岡がミスをする回数も多くなり、ビルドアップ隊によりボールを繋げられるような選手が欲しくなっているというのが個人的な見解である。
もちろん後方にボールを繋げられる、運べる選手がいてほしいのは確かである。しかし仙台はそもそも、個人に頼るチームではなく、チーム全体で押し上げていくチームだったはずだ。
各選手がいい立ち位置を取りながら、相手のプレッシャーを剥がしていき、そしてゴールへと向かっていくチームだったはず。今このチームに足りないのは、そういう部分だと思っていて、チーム全体で、相手の前プレを超えていく意識を思い出す必要がある。
後方が3枚でも4枚でもいいのだが、形に応じて後方から前方までがリンクして立ち位置を取ることが大事だ。そこにこのチームの魅力があったわけだし。まずはそこを思い出してほしいし、できているときはできているので、あとは意識的に、意図的に実行していくことだろう。
また、ボールを前進していくときは、相手全体を意識するのではなく、まずは前プレ隊を超えていくことが必要だ。相手の前プレ隊を超えていけば自然と相手は下がるし、そこから相手を押し込んで攻撃を仕掛けられることができる。
だからボールを保持することのなかでも、相手の前プレ隊を超えるようにチームが命懸けで取り組んでいく必要がある。そこから光が見出せると思う。
テーマ③:シンプルさも求められるラスト30m
最後にゴール前、ラスト30ⅿについてである。
今節においては、特に左サイドからの攻撃回数が多かった。湘南戦でもそうだったが、兵藤や崇兆、海夏やこの試合は出場しなかったが阿部など、レーンを跨ぐプレーヤーが複数いることで、旋回攻撃、ユニットでの崩しができるようになっている。
しかし、この試合に限って言えば、そのユニットで崩そうという意識が高いあまりに攻撃をやり切る場面は少なかった。
ユニットで崩そうという意識はとてもいいことだと思う。しかしゴールは真ん中である。そこに向かっていかなければ意味がない。
この試合では長沢、ハモンが出場していたし、左からの攻撃時は中で2人が待っている状態だった。なので、そこへシンプルにクロスを上げるシーンも作るべきだっただろう。
特にこの試合ではペナルティエリアの角、通称「ペナ角」でボールを回すことも多く、そこからアーリークロスを上げることができたら守備も嫌だったはずだ。
そこで崩すだけではなく、時にはシンプルなプレーも心掛ける。この2つをうまく使い分けられると、シュートまでやり切れるシーンも増えるだろうし、何よりもペナルティエリアにボールを入れることができる。そこの意識をより持ってほしい。ゴールは真ん中である。
最後に・・・
今回は試合の内容を淡々と読み解いていくのではなく、自分の思っていることを中心に書いた。なので我の強い文章だったかと思う。
今シーズンは多くの主力も抜け、メンバーが大きく変わったシーズンで、それ故にそこが勝てない理由にしてしまいそうになるのだが、この記事を書くに当たって見直してみて思ったのは、昨年から続く課題や問題をなかなか解決できてなかったり、今まで積み上げてきたものを忘れてしまったり、そこから離れてしまったりしているところが原因なのかなと感じている。
なので、課題や問題に真摯に向き合うことや今までやってきたこともう1回思い出すことが重要なのだろうなと考えている。特に後者の部分はとても強く感じる。
現状を投げ出さないこと、逃げないこと、真摯に向き合うことがこの長いトンネルを抜け出す方法なんだと思う。苦しいことから目を背けないで生きていけるか。
次節のサガン鳥栖戦は、背水の陣である。勝つことを期待したいではなく、勝つしかない。覚悟の一戦である。