ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

北海道コンサドーレ札幌戦のマッチプレビュー的なもの

 いよいよ開幕が迫ってまいりました。

 ということで、今回はマッチプレビュー的なものを書こうかなと。

 

 各紙、各局が報じているように今年のベガルタ仙台はシステムを「343」にし、大きく変わろうとしている年です。

 各メディアが趣向を凝らして343について解説をしています。仙台は地元メディアがあるので、こういう詳しいこともテレビでやってくれる素晴らしい環境です。

 今回、自分はそんなメディアとは少し違う点で見てみようと思います。

 サッカーは相手の状況によって変化していくスポーツです。いかに相手のしたいようにさせないか、またいかに自分たちの土俵で試合ができるかが大切になってきます。今回は「vs札幌」を意識して、試合で起こりうるであろうシーンを想定して、いくつか書いていきます。

 

■予想スタメンf:id:khigu:20171115124558p:plain

 仙台のスタメンはTM・甲府戦の1,2本目のメンバーを配置した。

 一方の札幌は情報収集不足でスタメンは表記せず。しかし昨年ベースにしていた352を予想した。

 

■ポイント

 最初のポイントは「自分たちがボールを保持しているとき」つまりビルドアップについて。f:id:khigu:20171115124635p:plain

 今年は3バック+ダブルボランチがビルドアップ隊。ウイングバックが横幅を取るような形がテンプレートになってくると思われる。

 

 ここに相手の状況を加えていく。f:id:khigu:20171115124703p:plain

 札幌は352ゆえに、トップ下を一枚上げて343にすることができる。こうすると仙台と札幌にシステムが噛み合うようになり、いわゆるミラーゲームの状況が生み出される。

 仙台としてはビルドアップで数的有利な状況を作り出し、スムーズにボールを前進させたいが、こうするとスムーズにボールを運ぶことはできない。そこをどうするかがポイントの1つ目である。

 

 解決策は2つ考えられる。f:id:khigu:20171115124816p:plain

 まず1つはウイングバックが下がってくるケース。

 ウイングバックが下りてきてパスを受けて、ボランチに渡して展開という方法と、ウイングバックが下りてくることで札幌のウイングバックを引き付けてできたサイドの裏のスペースにシャドーがランニングして、自陣を回復する方法ができる。

 これは自陣に人を集めて相手を引き付けることで相手陣にスペースを作ることができる。しかし圧力をかけられてボールを奪われる可能性もあるよというお話。

 

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 2つ目は、ボランチが1枚下りてきて4-1という形にすることで、後方で数的有利を作り出すという方法。いわゆる広島や浦和が採用しているミシャ式と呼ばれるものである。

 ミシャ式だとウイングバックを高い位置に置くことができ、自然と相手を押し込むことに成功する。

 しかし、前線と後方で距離が離れているため、取られ方が悪ければ一気にピンチになることになる。

 

 この2つが考えられる解決策である。もちろん逆もまたしかりで「相手がボールを保持しているとき」には、同様にミラーゲームを生み出し、素早いプレスでボールを奪うこともできる。守備はそこがポイントになってくるだろう。

 

■ポイント

 ポイントの2つ目は「攻撃から守備に切り替わったとき」である。

 昨年の年末に書いたテクニカルレポートでも述べたが、昨年の仙台が最も成長した部分が、この「攻撃から守備に切り替わったとき」である。いわゆるネガティブトランジション

 昨シーズンは、ボールを奪われても素早い切り替えで、ボールを奪い返し二次三次攻撃へとつなげて、自分たちの時間を増やすことに成功した。

 今シーズンも間違えなくそこはベースとしてあるだろう。343のメリットとして攻撃に多くの人数を掛けられることが挙げられるが、それはイコール奪われたときに多くの人数で前からプレッシャーを掛けられるということにもつながる。このシステムした1つの理由はこの部分にあるのではないだろうか。

 

 ただ、問題もある。それは同様に昨シーズンの課題に挙げた。カウンターに対する守備である。昨シーズンはカウンターで失点するケースが多く、今シーズンの課題であると思っている。

 3バックの場合、多くの人を掛けられるが、後方にスペースを作ることになり、カウンターを食らったならば、危ない場面を作ってしまう危険性をはらんでいる。

 なので、3バック+ダブルボランチがしっかりリスクマネジメントをすることがポイントになってくるだろう。モデルとしているチェルシーにはボランチにカンテとマティッチがいるので、カウンターを受けても個人の力でなんとかなるが、仙台には残念ながらそういう選手はいない。よっていかに組織としてカウンターに対応できるかが大切になってくる。

 

■ポイント

 3つ目は反対に「守備から攻撃に切り替わったとき」である。いわゆるポジティブトランジション

 ここでポイントになるのは、特に後半にスタミナが落ちてきたときである。スタミナが落ちてきたときに自陣に下がって「541」を形成して守ることになるだろうが、奪ったボールをそこからしっかり前線に勢いを持って運べるかということである。

 ボールを奪ってもスタミナが落ちて、前線に運べず相手にすぐに渡すようになってしまっては悪循環になってしまう。

 昨シーズンはハモンロペスが1人でボールを運べたので、この問題は解決されたが、もうハモンはいない。

 よって誰がもしくはチームとしていかにボールを素早く運べるかが重要になってくる。もちろん90分通して自分たちがボールを持つことが理想ではあるが、そうはいかない。

 辛い時間でも前に持っていける力があるかは非常に重要になってくる。

 

■最後に・・・

 簡単ではあるが札幌戦のポイントを3つ挙げた。②,③に関して1年通しての課題になってくるだろうが、開幕戦ではとくに重要になってくるだろう。

 ポイントに関しては、札幌の出方にもよってくる。もし、前線からプレスを掛けてこなければ楽にゲームを進めることになるだろうが、前から掛けてきたら仙台にとっては少し厄介なことになると考えている。

 このシステムで重要になってくるのはウイングバックボランチだと思っている。この2つのポジションが機能しないとチームとして343は機能しないだろう。個人的には菅井直樹が楽しみである。このシステムの恩恵を受ける選手の1人なので、点を取ってほしい。

 

 「343」という新しいチャレンジをすることはとても楽しみである。もちろん最初はうまくいかない部分が多くなるだろうし、それは相手があることなのでしょうがないことである。昇格組である札幌だが、決して簡単な相手ではない。金園もミンテもいるし、モチベーションは高いだろう。

 

 新しいチャレンジの船出となる一戦。たくさんの期待と少しの不安を抱きながら、ユアテックスタジアム仙台へと向かいたい。