ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

【オフ企画】仙台の堅守とは何だったのか?#4(完)~2012年12節ベガルタ仙台vs名古屋グランパス~

 みなさん、こんにちは。雪がすごいですね。みなさんの地域は大丈夫でしょうか。

 僕の大学は、授業がなくなりました(笑)ということで、最後のオフ企画です。

 今日は、2012年12節、名古屋グランパス戦を取り上げます。

 この試合の仙台のスタメンは左サイドバックが田村である以外はベストメンバー。リャンも帰ってきている。

 名古屋は、監督がピクシー。スタメンは優勝をした2010年の時とスタメンはほとんど変わっていない。タレント軍団。特にセンターラインは強烈、そしてデカい。

■個人負担の大きい名古屋に対して

 開始から挨拶代わりの猛攻を仕掛けたのは名古屋。前から来る仙台に対して名古屋はロングボールをケネディへだったり、右サイドに藤本を起点にして仕掛けたりだったりとか。名古屋は序盤からペースを奪おうと果敢に仕掛けていた。

 仙台はそんな名古屋の圧力に、受け身になりながらも跳ね返して、自分たちのターンになることを待っていた。次第に仙台がボールを持ち始めたのは10分以降であった。後ろで落ち着く時間が次第に出来る。

 こうやって見えてくる名古屋の守備陣形。名古屋は4141でセット。けど1列目のケネディは、いるだけでほぼ守備はしていなかった。よって自由にボールを運べる鎌田と上本、そして角田と富田。名古屋のインサイドハーフボランチに食い付くので、ダニルソンの脇はガラガラ、そこにリャン、関口時々、ウイルソン、赤嶺が顔を出すことで、攻撃を前進させる。のちのち、名古屋もそこをケアするようにはなっていたけど。

 名古屋の守備は組織的ではなく、個人頼りの面が大きい。特にアンカーのダニルソンセンターバック闘莉王、増川あたりで何とかしてみたいな。攻撃も個人頼みだけど。。

 ということで20分にダニルソンがケガでいなくなってからは、さらに仙台は攻勢を強めることができた。そして名古屋のミスを逃さずにリャンが先制、アディショナルタイムにはコーナーからオウンゴールで追加点。相手のミスがらみではあるけど2点取れた前半であった。

 

 後半、名古屋は金崎を入れて442。前から出てくる名古屋。その攻撃を防いで、空いた相手のスペースをうまく利用してカウンターを発動する仙台という内容。後半は、これのリピートだった。後半途中からいつの時代も変わらない闘莉王を上げて、パワープレーの連続。仙台は松下、太田を入れて、守備の強度を保ちながら、カウンターを続ける。殴り続けたカウンターが実を結ぶのは最後の方だった。鎌田のスーパークリアから、その流れでウイルソンが3点目。戦意喪失の名古屋にアディショナルタイムに、コーナーから菅井が決めてフルボッコ。40で名古屋に勝った。

 当時の名古屋は強烈な個がいる一方で、組織としてなっていない。ケネディを使うためのサイド攻撃の仕組みだったりが、全くできてなかった。仙台は、前半のように高い位置からの守備と、相手の状況を見ながらの攻撃の連続。後半は、相手の攻撃に踏ん張りながら、しっかりカウンターで終わらせる完結力を発揮したメリハリのついた試合を展開できていた。前回の記事にも書いたように、共通認識をピッチに立つ選手たちが出来ているからこその内容だったと思う。

■最後に~これからの仙台に必要なものとは?~

 オフ企画ということで書いてきたが、最後にまとめとして、今現在の仙台に何が必要か、上位に食い込むために大事になってくるものとはということである。

 今回取り上げた2年間(2011,12年)は、試合を振り返ってみると、ピッチでやることがハッキリしていたなと。先ほども書いたように共通認識があるから、守りでも攻めでも迷いがなかった印象であった。もちろん、この時代は「守備」というテーマで一貫してやれていたことがあってのことであるし、守備の細部の部分が整理されていて完成度が高かった。その後の仙台はご存知の通り低迷している。本当であれば手倉森氏は2013年あたりから、「攻撃」にフォーカスしてやっていこうと思ったのだが、道半ばでの監督交代となった。

 今は渡邉監督であり、テーマである「堅守賢攻」を目指している。昨年は堅守という部分を取り戻すことが、出来なかった。もちろん仙台というチームがスクラップ&ビルドを行っている中で、1年で失点数を減少させることは容易ではない。ましてや攻撃にも手に掛けるとなおさらである。ただ、堅守を取り戻したいならもう少し、細かいディテールの部分をこだわってやらないといけないのかもしれない。どこから守備のスイッチを入れるのかや、ラインの高さ、3ラインのコンパクトさ、縦横の距離感などなど。ブロックを敷くだけではなく、ブロックを敷いて、そしてどうボールを奪いに行くか、守備をするかということは考えていくことが必要になってくると思う。成功例・ヒントは、過去にあるわけだし。

 ただ、渡邉監督はどちらかというと、攻撃志向の人なので、あまりこだわらないかもしれないけど(笑)けど、Jリーグというリーグを戦い抜くためには、守備というテーマは非常に重要になってくる。実際に守備の堅いチームが上位にいるわけだし。そう考えていた時に仙台はもう一回「守備」というテーマを見つめ直す必要があるかなと思う。それが個人的な考えである。

 新体制発表も終わり、いよいよシーズンが始まる。今年の仙台が、昨年よりもいいサッカー、いい結果になるよう期待したい。

 次回は1stステージ順位予想でお会いしましょう(‘ω’)ノ

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