ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

積み重ねJ1 1stステージ最終節 ベガルタ仙台vs名古屋グランパス

 1stステージも残り1試合。勝てば1桁順位でフィニッシュできる仙台は、今節、ホームに1つ順位が上の8位・名古屋との一戦となった。

スタメン

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 仙台はケガのハモンに代わって、奥埜。それ以外は変更点なし。名古屋は戦前の予想では4-2-3-1の予想であったが、実際は3-4-2-1でのスタート。ノヴァコビッチの下に永井と小屋松のスピードスター。ベンチにはケガから帰ってきた川又が控える。

 

前半~準備と変化と~

 開始から敵陣に入り込むことができたのは名古屋。サイドからの突撃で、まずはチャンスを作っていく。仙台はこの一週間、おそらく相手が3バックで来ることは想定していなかったかもしれない。だから、どこで奪いに行くのか、だれがだれを見ればよいのかの判断がはっきりしていなかった。ただ、名古屋もそれほどのビックチャンスはなかったので事なき終えた。

 15分過ぎになると、名古屋の攻めも落ち着き、仙台もボールを持てるようになる。ここで名古屋の守備の陣形と特徴が見えてくる。

 名古屋は守備時は原則5-4-1のブロックを作る。ただ、原則といったのはシャドーの永井、小屋松がCBまでプレスを掛けにいく場面もあったので、ハッキリとした5-4-1のブロックではなかった。それに永井が攻め残りたいためか、結構守備をサボって下がっていない場面があった。そのためリャンがボランチの脇で自由にボールを受ける場面が増え、右からの攻撃が増えていった。

 この永井の守備の被害を一番食らったのは本多。リャンに行きたいのだが、行ったら行ったで、菅井や奥埜がもらいに来るので曖昧なポジショニングをとることになってしまった。

 仙台はセカンドボールも拾えるようになり、2次、3次攻撃へと繋げられることが増えていった。選手同士の距離感もいいため、テンポの良いパス回しが可能になった。

 また守備でも永井にスピードに乗らせないために早目のチェックを意識していた。

 名古屋はカウンターで、チャンスを作りだしたかったが、肝心のところでパスが合わず、カウンターが台無しになる場面が幾多となくあった。ケガ人が多く、なかなかベストな状態で戦えない厳しさが垣間見えるところだった。

 点が動いたのは39分。仙台が前プレを掛け、名古屋にロングボールを蹴らせたところを菅井が競り勝ち、裏へ流れた奥埜へ、奥埜はタメを作って二人のDFを切り替えして、折り返し、中にいた野沢が左隅に流し込んで先制。いい流れのまましっかり先制点をとることに成功した。

 1-0で折り返し。相手がシステムを変え、変化してきた中でも準備したことを忘れず、なおかつ柔軟に対応できた、そんな前半だった。

 

後半~賢実~

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 後半、名古屋は川又を投入する。狙いは3つ。

 ノヴァコビッチ、川又を中央に置き、両サイドに永井、小屋松を置くことでサイドからのクロスを増やす。

 ミラーゲームにしたことで、曖昧だった守備をハッキリさせること。

 永井を菅井に対峙させることで、菅井の上がりを牽制させると同時に名古屋の左サイドの守備を立て直すこと。

 名古屋はまず、選手にやることを明確にさせることで、攻撃に迫力を持たせようとした。しかし肝心の守備はそのままであった。なので開始10分は仙台に押し込まれる展開になる。

 だけど、名古屋的にはこれでもOK。なぜならスペースが生まれるから。名古屋はスピードスターを両サイドに張らせたことで、カウンターが打ちやすくなった。

 仙台は、隙あらばと開始から名古屋を押し込んでいたが、徐々に間延びしてくる。そして永井と小屋松の登場。広くなったスペースにより、前半にはなかったスピード感のあるカウンター、そしてサイド攻撃が可能になった。そして名古屋はサイド攻撃から決定的な場面を作っていった。

 仙台もリードしているので、いい加減修正。15分くらい経過したところで一時撤退し、ブロックを形成する。こうすれば怖くない仙台。再度、守備からリズムを作りなおす。

 名古屋の攻撃をうまく跳ね返しながら、チャンスをうかがう。そして69分に、左サイドで奥埜がタメて、富田へ。富田は逆サイドの菅井へサイドチェンジ。菅井はダイレクトでリャンへ。リャンのファーへのシュートのこぼれを奥埜がプッシュし追加点。一度はバランスを崩した仙台だが、再度守備から立て直すことで、追加点を決めることに成功した。

 その後は金久保や山本を投入しながら名古屋の攻撃をしっかり押さえ、カウンターへという流れが続いた。危ない場面もなかったわけではないが、しっかり守り切り2-0で勝利し1stステージを7位で終えた。

 

最後に・・・

 名古屋の守備はラインにズレが生じていれば、球際も激しくなく、またスライドが遅かった。そんな問題アリの名古屋の守備であった。ケガ人が多く、台所事情が厳しいので、西野氏も大変だろうなとつくづく思う。ケガ人が戻ってきてからが勝負なのかもしれない。

 

 一方の仙台は下馬評を上回る7位で1stステージを折り返すことができた。今節は賢いゲームコントロールが出来ていて、仙台らしい戦いが出来ていた。新加入選手や復帰組が多くいる中で、これだけの質のサッカーが前半戦でできたならば上出来であろう。

 半分だけでいろいろあったが、それもこれも成長のためである。1stステージの総括はまた後日改めて書くとして、とりあえず新しいベガルタがしっかりと進歩していることを実感できた、そんな1stステージだった。