ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

らしさ~J1第27節 ベガルタ仙台vsFC東京~

 泥沼の5連敗で迎えた前節の川崎戦で11で引き分け、なんとか連敗は脱した仙台。しかし依然6戦勝ちなしと苦しい状況が続いている。

そんな仙台は今節、14戦負けなしのFC東京をホームで迎えることとなった。

 結果は1-0で7戦ぶりに勝ち点3を獲得した。今節の勝利はまさしく仙台「らしさ」が戻ってきたようなゲーム内容であった。

 

f:id:khigu:20190502122907p:plain

 仙台は、前節の川崎戦からCBに入っていた角田が体調不良で欠場。代わりにケガから戻ってきた鎌田が起用された。それ以外は変更点なし。

 一方の東京は前節からメンバーに変更はなく、ここ3試合クリーンシートが続いている。

 

 前半は、互いに守り合う展開で知的なゲーム内容だった。開始からすぐに菅井が惜しいシュートを放つところからゲームがスタートした。その後は互いに決定的な場面と言えば、東京がカウンターから太田が無理くり上げたクロスを上本が処理を誤り、武藤に通り1対1を迎えた場面(関が見事にセーブする)くらいだった。それだけ互いに守りに比重を置く展開だった。特に仙台は、今週の練習の中でしっかり東京対策を練ってきていた。まずは、2トップ+河野に対してやらせないこと、特に東京の攻撃はエドゥーにボールを収めるところから始まることが多く、そこを上本中心に体を張ってやらせていなかった。またそれ以外でも仙台は局面局面で数的有利を作り守備をしていたのが印象的だった。そして攻撃では、河野とトリプルボランチの間が空くので、そこのスペースに仙台のドイスボランチであるリャンと富田が、入って前を向いてプレーすることで攻撃にスムーズに切り替えられることが出来た。それに、ドイスボランチに呼応して両サイドバックがタイミングよく上がれるので、東京の両サイドバックを押し込むことに成功することになった。また相手のトリプルボランチを揺さぶるためにサイドの幅をうまく使いながら攻めようとしていたが、思っていたよりも揺さぶることが出来なかった。それでもサイドに人数をかけることで、2次、3次攻撃へとつなげることが仙台はできていた。一方の東京は仙台のハードな守備に苦労していた印象で、攻撃が単発に終わっていた。それでも持ち前の守備では、最後のところをしっかりクローズしていたので、そう前半から慌ててた印象ではなかった。ということで前半は0‐0で折り返す。

 

 後半は、守る仙台、攻める東京という時間が多かった。東京が前半よりも焦らず攻めてきた印象であった。しかし仙台も前節同様、しぶとい守備で東京の攻撃をしのいでいた。前半から継続して前線にはほとんど仕事をさせていなかったように思える。前節が川崎相手であれだけパスで揺さぶられていたにも関わらずしぶとく守れていたことが自信につながっていたのかもしれない。そして仙台もチャンスと見るやカウンターからなんどか東京ゴールを襲う。

 そして75分に仙台にゴールが生まれる。それまでしぶとく守っていた仙台だったが、関のゴールキックを赤嶺が収め、野沢、リャン、石川で保持し、もう一度中に入ったリャンが石川から受けて、きれいに米本を抜くと、右から感覚的に走り込んできた菅井へ横パス、菅井はウイルソンへダイレクトで縦に入れるとウイルソンがトラップからすぐに強いシュートを放つ。一度は権田に阻まれるが最後に詰めてた赤嶺がプッシュしついに仙台が先制する。これだけ多くの人数が絡む得点は仙台ではなかなかないが、1人1人のアイデアとリスクチャレンジが得点へと結びついた。

 その後はエドゥーが退場となり幸運にも恵まれた仙台が、最後に交代枠をうまく使いながら時間を使い、タイムアップ。仙台が7戦ぶりに勝ち点3をもぎ取ることが出来た。

 

 今節はまさしく仙台「らしい」戦いぶりだった。高い位置からもプレスをかけながら、時間によってはラインを浅くし、焦れずに粘り強い守備で応戦。そして機を逃さず点を決め、最後はクローズする。見事な展開ぶりだった。前節から復調の兆しが見えていたが、守備を再整備して2試合目で結果を出せたことは何よりだった。

 残りは7試合となる。こういう戦いをまずは継続して行うことが今後はまず大事になってくる。丹念にしぶとく守れば、そうは失点しないと思うし、その自信がこの2試合でついてきたと思う。そしてなにより攻撃に目を向ければ、赤嶺もウイルソンもこの2試合で点を取り、調子が上向きで、なおかつ2人がいい距離感でプレーできている。そこに野沢なり絡んでいければ、攻撃もさらに活性化されるだろう。

 次節は、首位・浦和。相手が首位ではあるが、この2試合で得た自信と粘り強い守備を持ってすればそれなりに対抗ができるはず。次の試合まで2週間の間があるのでスカウティングなりコンディション調整が入念にできる。ここで浦和を倒せば、優勝争いだって面白くできるわけだし、そういった意味でも浦和を倒したいところ。次も仙台らしい戦いに期待したい。

 

 最後に余談ではあるが、この東京戦での菅井のプレーに感じるものがあった。菅井はどちらかというとクールで静かに闘志を燃やす選手だが、今節のプレーぶりにはいつも以上の気合いを感じた。これは自分自身の勝手な憶測だが、このチームでプレーするプライドであったり、チーム最古参であるが故の仙台への想いがあったのだと思う。菅井の気持ちと覚悟を裏切らぬように自分もいちサポーターとして今シーズンを最後まで全力で応援しようと心に誓った今節の勝利でした。