ヒグのサッカー分析ブログ

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W杯グループB第1節 スペインvsオランダ

 今ブログのW杯1発目の感想はスペインvsオランダ。前回大会の決勝と同カードだけあって世界の注目を集めた一戦だったが、まさかこんな結果になるとは・・・。

 

 ということで、スタメン。

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  スペインは前回大会のメンバーとさほど変わっていないのが特徴的で、反対にオランダは大幅にメンバーが変わった。また、ファンデルファールトやストロートマンのケガによりベストのメンバーが組めず、さらに守備に不安を残すということで、5バックを敷いて望むこととなった。

 

1. 前半

 前半は下馬評通りスペインがボールを保持する形になる。スペインは守備時は4-2-3-1だが、攻撃になるとシャビが下がってきて、4-3-3の形になる。オランダは、戦い方としてゾーンで守るのではなく、マンツーマンのような形で守っていた。中盤から激しくプレスをかけに行き、スペインに簡単にボールを回させないことを狙った。序盤はそれが機能し、いくらかボールが奪えるもののスペインの高速トランディションにより、すぐに取り返されてしまう。しかし、スペインはスペインでボールは回るもののなかなかバイタルに侵入できず、どんどんFWと中盤の距離が広がって行ってしまった。それでも次第にオランダのプレッシングに慣れ始めると、いつものテンポに戻り、29分にイニエスタ、シャビ、シルバの連携から最後はシャビの絶妙なスルーパスに反応したD・コスタがPA内で倒されPKをゲットする。それをX・アロンソが決め先制する。その後もスペインはテンポのよいパス回しからPA内に侵入し始める。

 一方のオランダは押上げが足らず、前線の3人が孤立してしまい、チャンスを作ることができなかった。しかし、左に張っていたロッベンが自由に動くことでボールが入るようになり、次第に両SBも高い位置をとれるようになる。徐々に形を作り始めたオランダは44分にブリントからのアーリークロスを、スペインのラインが乱れたところを見逃さなかったファン・ペルシーが抜け出し、ヘディングで決め同点とし、前半を折り返した。

 

2.後半

 後半は交代がなかったものの、オランダがやや戦い方を変えたような気がした。前半は、中盤から激しいプレスをかけていたが、後半はあまり中盤ではプレスをかけず、どっちかというとコースを切りながらじっくり守っていたイメージだった。それもあってかスペインは相手があまり食いついてこないし、5バックのため間に侵入できなかった。そうすると、リズムはオランダがつかみ始め、スペインの両SBをブリントとヤンマートが押し込むようになり、53分にブリントからロッベンが巧みなトラップから決め、ついに逆転に成功する。こうなると完全にオランダのペースになる。相手の攻撃をうまくハメ、手薄になったスペインDF陣に強力な前線3人のカウンターで一気に畳みかける。そしてセットプレーから3点目を取り、カシージャスのまさかのミスをつきファン・ペルシーが決め、最後はロッベンの高速1人カウンターで勝負アリとなった。最終スコアは5-1でオランダがスペインに歴史的大勝をすることとなった。

 

3.最後に・・・

 オランダのファン・ハール氏は、自分たちのウィークポイントを埋めることで、スペイン攻略にもつなげた。自らのスタイルまでも捨て、勝ちに行ったのは監督の本性が垣間見えるところだった。おそらく残りの試合もこの戦い方をするだろう。今回はよかったけど決勝トーナメントで結果出るかといえば、微妙かもしれない。

 一方のスペインは自らのスタイルを崩さずにオランダに打ちのめされた。もっと相手のDFラインの幅を広げさせたり、DFを引っ張り出したりできたのにやらなかったのは残念。スタイルが研究されているのだから、もっとパスが回るように変える必要があると思う。それも1つの問題だが、スペインは明らかに全盛期から遠ざかっている気がしてならない。このサッカーはバルセロナのサッカーとほぼ同じであるが、肝心のバルサが今シーズン不調だったため、このサッカーの軸となるシャビとイニエスタがいつものシャビとイニエスタではなかった気がする。それにD・コスタも周りと合っていなかった。

 しかし、そんなことを言っても次のゲームがすぐに来る。次はチリ戦、負ければ終わりの無敵艦隊だが、ぜひ意地を見せてもらいたい。