ヒグのサッカー分析ブログ

ヒグのサッカー観戦日記からのお引越しです。ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

巧みな修正から逆転劇 J1第23節 アルビレックス新潟vsベガルタ仙台

 さて、今回はアルビレックス新潟戦を取り上げます。f:id:khigu:20171113145117p:plain

 仙台は平岡が出場停止明け。前節良かった大岩を中央に配置し、平岡を右、椎橋を左のセンターバックに起用した。それ以外は変更点なし。ベンチには新加入の野津田が入った。

 呂比須ワグナー就任初陣以降、勝利がない新潟。勝ち点は未だに9で、かなりまずい状況である。この夏には大武、磯村、タンキ、小川、富山と多くの選手を補強した。前節からスタメンには変更ないが、新加入の小川と富山がベンチ入りを果たした。

 

■前半

 前半は、仙台がエンドを変えてキックオフとなった。

(1)新潟が押し込めたいくつかの理由

 前半は、新潟が終始ゲームを押し込む展開が続いた。なぜ、新潟は仙台を押し込めることに成功したのか、まずはここから書いていきたいと思う。

 まず1つ目は、仙台に対するサイド攻略である。新潟は主に2つの攻略法を準備してきた。f:id:khigu:20171113145151p:plain

 その1は、シャドーを引っ張り出し、その後ろで新潟の2列目がボール受けるという仕組み。これは主に左サイドで見られた。ボランチからサイドバックの堀米、そして中の山崎へ。中外中の展開で山崎がボールを受けて、前を向く、もしくはオーバーラップした堀米へ出すという仕組みがあった。f:id:khigu:20171113145220p:plain

 その2は、ウイングバックを引っ張り出し、その裏をサイドハーフが抜け出してクロスまで持っていくという仕組み。これは両サイドで行われていた。

 どちらかというと、新潟としてはその2が狙いだったのではないだろうか。ウイングバックの裏のポジションを取ることで、3バックを引き出し仙台に後手を踏ませたかったのではないか。ついでにこの攻撃からコーナーキックを得ることで二次攻撃へと繋げられた新潟であった。

 仙台の右サイド(平岡と古林)はお互いの距離感が非常に悪かったために、新潟は左サイドから多くのチャンスを作ることができていた。

 

 2つ目の理由は前線からのプレスと切り替えの早さである。

 新潟はとにかく前からガンガンプレスを掛けてきた。ボールと人を捕まえ、仙台に自由を与えない姿勢を見せる。そして仙台が苦し紛れにクリアしたボールを回収し、二次三次攻撃へとつないでいった。また石原にボールが入ったときはセンターバックボランチが協力して2人でボールを奪い取ることで仙台に押し上げさせないようにしていた。

 そして中盤でのボールの奪い合いでは、新潟のほうが負けていなかった。特に仙台のダブルボランチのところで新潟は幾度となくボールを拾い、カウンターを発動させていった。特にチアゴガリャルドは、中盤での競り合いやセカンドボールの奪い合いでボールを奪うと、そのままカウンターの起点となることが多かった。

 

 なので、先制点が新潟に入ったのはゲーム展開的に当然のことだった。新潟は前半、ほぼ自分たちがしたいことをピッチで表現できていたのではないか。それに加え先制点も奪えたので上々の出来だったはずだ。

 

(2)勢いに飲み込まれた仙台

 (1)の通り、前半は新潟に完全に主導権を与えてしまった仙台だった。仙台としてはエンドを変えたことやここ最近の戦いぶりを見ると、やはり前半は慎重に0点で折り返すことを優先したはず。しかしどう守備のバランスを取るかで迷ってしまい、重心が後ろに下がりすぎてしまった。

 新潟に対して、どこを守備の基準点とするのか、プレスを掛ける場所はどこから行うかというのが非常に曖昧になってしまい、結果的にプレスが掛からず押し込まれる展開を強いられてしまった。

 また相手のプレスも早いので、ボールを持ったとしてもプレスを剥がして攻められない。苦し紛れのクリアが多くなり石原が収められないと、とにかく悪循環が続いてしまった。

 

 しかし結果的にではあるが、前半を1失点で済ませたことは後半に向けて唯一のポジティブな要素だった。PKでもおかしくないシーンもあり、危ないシーンはいくつもあった。またこれだけ悪いと修正しやすいというのもあった。悪いなりに1点で抑えたことは、90分通して見ると大きかった。

 

 前半は24分のドウグラスタンキの得点で先制した新潟がリードして折り返す。

 

■後半

(1)逆襲開始の仙台

 後半は一転して仙台が主導権を握る展開となった。f:id:khigu:20171113145305p:plain

 仙台は、前半よりも両ウイングバックを高い位置に配置し、後方からパスをつないでいくことでペースを取り戻す。

 新潟が前半と変わらずタンキとチアゴを中心に前プレを行うが、仙台はキーパー、3バック、ボランチの6人で丁寧に新潟の前プレを剥がすことで、新潟の守備を前後に分断させ、縦パスを通しやすくした。おかげで西村や奥埜がハーフスペースでボールを受けられるようになり、新潟の守備を次第に下げさせることに成功する。

 後半、新潟の守備がズルズルと下がっていったのは、仙台が後方から丁寧にビルドアップを行うことで、新潟の前プレを無効化させたことにある。ゲームを通してこれができたのが非常に大きかったと思う。

 

 また仙台は前半よりも前から追い込むことで新潟のボール回しにミスを生じさせていた。ハーフタイムの渡邉監督のコメントで「守備のギアを上げる」とあったが、その「ギア」とは前線からしっかり追うことを意味していた。新潟の後方は、仙台のプレスが来るとうまくボールが回せなくなっていく。このことも仙台がペースを奪えたことのもう1つの理由である。

 

 押し込むことが徐々にできてきた仙台。蜂須賀と野津田を投入し、攻撃へさらに勢いを増していく。両ウイングバックを高い位置に取ったことで、厚みのある攻撃を生み出し、ファーへのクロスを逆サイドのウイングバックが折り返すようなこともできるようになる。

 ときどき、新潟のチャンスを迎えることもあったが、ダンを中心に慌てずに対応できるようになっていった。

 

(2)ラスト10分での逆転劇

 押し込むことができていても1点が遠い仙台。最後のカードはケガをしてしまった晋伍に代えてクリスラン。

 同点ゴールは、クリスラン投入後の3分後だった。82分。三田の裏へのロングボールに反応したクリスラン。左サイドで抜け出すと強引にクロス。大谷が弾いたこぼれを石原が押し込み同点となる。大谷弾いた方向が悪いのか、石原をマークしていたソンジュフンが悪いのかはわからないが、クリスランが強引でかつ強烈なクロスを入れたことがこのゴールを呼び込んだことには変わりない。ハモンを思い出させるクリスランのプレーだった。

 逆転ゴールはその4分後。86分。右サイドのスローインから、仙台が突破を試みるも失敗。しかしセカンドボールを拾い、中央の石原へ。石原は丁寧に三田へ落とし、ワンタッチでいいところへボールを持っていくとミドルシュート。新潟の選手2人に当たりながらゴールへ吸い込まれ逆転に成功する。まさにシュートを打ったからこその得点だった。

 

 最後の時間はコーナーフラッグでボールキープをしながら、うまく時間稼ぎをし、アディショナルタイム5分をやり切ってタイムアップ。仙台が2-1で勝利し、久々の連勝となった。

 

■最後に・・・

 前半は散々な内容だったが、後半はしっかり修正し勝ち点3を獲得できた。

 後半の2点は崩したものというよりもアバウトな攻めでの得点ではあったが、それは後半にしっかりと修正して新潟を押し込むことができたことによる成果だと思っている。交代カードをうまく使いながら逆転できたことは、素直に喜ばしいことだった。

 

 野津田は加入後初出場であったが、今後に期待できるパフォーマンスだった。やはりボールを受ける技術や裏へ飛び出すセンスは広島のシャドーだったこともあり、かなり質が違う。これからチームの戦術に合わせながら自らの特徴を出せるようになると欠かせない選手の1人になるかもしれない。

 そして椎橋も非常に良かった。後半は椎橋のところからの攻めが多く、効果的な縦パスや運ぶドリブルでチャンスを作り出していた。守備ではまだまだ課題が残っているが、攻撃でのセンスはほかの守備陣よりも群を抜いていると思う。ルヴァンカップからの台頭でここまで成長していることは本当にうれしい。

 

 次節はアウェイでコンサドーレ札幌石川直樹との再会戦である。鬼門厚別であるが、3連勝を目指していいゲームを期待したい!