ヒグのサッカー分析ブログ

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自信が深まる勝利 J1第9節 清水エスパルスvsベガルタ仙台

 まさかの3週連続更新です。今回は清水エスパルス戦を取り上げます。

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  水曜日のルヴァンカップと同じカードになった今節、仙台が勝利してこの試合を迎えることができた。仙台のスタメンは前節・広島戦から、匠に代わってリャン。それ以外は変更なし。ベンチにはルヴァンカップで結果を出した椎橋が入った。

 一方、水曜日の試合を敗れて迎えた清水。ホームでは未だ勝ててないらしい。スタメンは前節・川崎戦から変更なし。策士・小林伸二は、水曜日にヒントを見つけることができただろうか。

 

■前半水曜日から得たこと

 水曜日の試合が、このゲームに及ぼした影響は大きいと予想していた。要は、水曜日から得たヒントはあるかということである。

 前半は清水のペースで試合が行われていた。清水がどんな狙いを持っていたか見ていくことにしたい。f:id:khigu:20171115122503p:plain

 清水のキーマンはダブルボランチの野津田と六平だった。相手の状況に応じて、図にあるように一枚降りて非対称の形を取ったり、そのままの形を維持することで、最終ラインからボールを引き出すことに成功していた。また、仙台のボランチ(特に三田)は相手ボランチに食いつくことが多い。よって、その背中に白崎が登場することで、縦パスを入れやすくした。

 清水はもう1つ攻撃のポイントとして、右サイドがあった。清水のサイドハーフである白崎と枝村は、お互いに役割が異なっていた。前述したように白崎は中に入ってボールを引き出していたが、枝村はオリジナルポジションを保ち、基本的には外にいることが多かった。おそらく枝村で永戸をピン留めし、鎌田が高い位置を取れるようにしたのではないだろうか。実際に鎌田が高い位置でボールを受けて、2対1の状況を作り出し、フリーでクロスを上げるシーンを作り出していた。もし、石原の守備意識を見抜いて、この仕組みを作ったのならば小林監督はさすがの一言だろう。

 右サイドで優位性を作る仕組みはわからないが、三田が食らいつく特性は水曜日から見つけたものではないだろうか。

 

 我慢の展開が続く仙台だったが、前半を過ごしていきながら、次第に清水の狙いを潰せるようになっていった。

 白崎の動きに対しては大岩が飛び出して対応できていた。また左サイドの守備に関しては、石原とリャンのポジションを入れ替えることで、永戸の援護を行っていた。

 苦しい時間を過ごすことが多かったが、縦パスに対する厳しさや最後のところの粘り強さで我慢して凌いでいった。

 30分過ぎからは少しずつボールも握ることができるようになり、1トップ2シャドーの関係からシュートまで運べるシーンを作っていった。

 

 前半は清水の精度にも助けられ、スコアレスで折り返す。

 

■後半広島戦の再現

後半は前半とは打って変わって仙台がペースを握る展開となる。

 その要因となったのは、全体が高いポジションを取れたことだろう。後半開始から高い位置からのプレッシングとボール保持で、清水のラインを下げることに成功する。特にボールを奪われてから素早い切り替えを行うことで、セカンドボールが取れたり、清水のクリアを最終ラインで回収し、二次三次攻撃へと繋げることができた。その中でもダブルボランチが前半よりも高い位置を取れたことで、中盤のエリアを自由に使わせなかった。

 

 先制点のPKを得たシーンでは、左サイドの競り合いから三田が右サイドへ展開し、リャンがアーリークロスを上げ、そのまま飛び込んできた三田が倒されて得たPKだった。これをクリスランが落ち着いて決めて、58分に先制する。

 その後は押されるシーンもあったが、前から行く守備と後ろで待ち構える守備をうまく使い分けながら清水の攻撃を抑えていた。また攻から守へ切り替わったときに早めにカウンターの起点を潰しているシーンも見られ、しっかり対応でき始めていることも垣間見れた。

 2点目は67分だった。ダンのパントキックをリャンが収めて、晋伍へ。晋伍は左の永戸に展開すると仕掛けてグランダーのクロスを上げて、クリスランが押し込み追加点。左右に揺さぶる理想的な形で追加点を奪った。永戸は初アシスト。

 

 清水はチアゴ・アウヴェスやデゥークを投入する。チアゴは持ち前のドリブルからチャンスを作るが枝村は決めきれなかった。

 仙台は足をつったクリスランに代えて奥埜。石原を頂点に上げる。

 3点目はその直後だった。中央で晋伍がチョンテセからボールを奪うと奥埜へパス。奥埜は左の永戸に展開し、そのまま左サイドの裏のスペースに走り、ボールを呼び込む。奥埜は犬飼に体を当てながらうまく前を向くと石原へマイナスのクロス。石原のシュートはうまくヒットしなかったが、右に流れたボールを菅井が押し込んで3点目。

 中盤奪ってからの一連の流れはこれも理想的だった。菅井のゴールは実に3年ぶりである。菅井らしいゴールだった。

 

 その後は、清水の攻撃を受けながらも時計の針を進めていく仙台。清水は村田を投入し、右サイドからのクロス爆撃を行う。しかし中をしっかり固める仙台にはじき返されるシーンが続いていった。

 仙台は増嶋に代えて石川直樹。リャンに代えて西村を投入し、守備の強度を保つ。

 

 最後まで清水はゴール前に放り込んだが、ネットを揺らすことはできずにタイムアップ。仙台が3-0で完勝。4試合ぶりの勝利となった。

 

■最後に・・・

 4試合ぶりの勝利となった。それに加えてクリーンシートでの勝利。自信を深めることができる内容だった。

 広島戦で3点取れたことが攻撃の自信に繋がった。より多くの人数で厚い攻撃ができてきている。特に右サイドは、リャンがシャドーのポジションのコツを掴んだことで、大岩、菅井、リャンの関係で攻撃できているシーンが多かった。

 また守備でも高い位置からボールを奪いに行く守備、後ろで待ち構える守備の使い分けが徐々にできてきたかなと思っている。前からプレッシングするときに最終ラインが怖がらずに高い位置を取れていることが今はいい方向に向いている。もちろん、まだまだクリアすべき課題が守備にはあるが、久々の無失点は自信をもっていい。

 

 ミッドウィークにルヴァンカップがある厳しい日程だが、ターンオーバーを使いながら、多くの選手が戦術理解度を高められる時期にしたい。

 次節はFC東京。ルヴァンカップの借りを返すという意味でも負けられない一戦。ホームで熱い試合を期待したい!