ヒグのサッカー分析ブログ

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マリノスの術中にはまった仙台~J1 2ndステージ第11節 ベガルタ仙台vs横浜Fマリノス~

 代表ウィークで2週間ぶりのリーグ戦。その間の天皇杯で盛岡に惨敗した仙台。自らのプライドを掛けて残り7戦を戦う。今節の相手は横浜Fマリノスf:id:khigu:20191230151609p:plain

 仙台のスタメンは、天皇杯・盛岡戦と変わらず。ケガ人を考えるとこのメンバーしか組めないのが現状なのか。盛岡戦に敗れたことである意味、起爆剤になれば幸いである。それがどうだったかはこの試合が示してくれるはず。

 マリノスは、週末にルヴァンカップのベスト8、ミッドウィークに天皇杯を戦う連戦。天皇杯では120分を戦い、コンディションでは不利。スタメンもターンオーバーみたいな形を取ったマリノスである。前田直輝の生存が確認できました。

 

■前半~ボールは握れども~

 ミッドウィークの天皇杯で120分を戦ったマリノス疲労を考慮したメンバーを選んだが、試合の内容自体も疲労を考慮したゲームプランだった。

 前半のマリノスは主に4-1-4-1でセットする。仙台のビルドアップ時には、仙台のビルドアップ隊3枚に対して、伊藤とセントラルハーフの兵藤か中町が出ていき、4-4-2になるような姿を見せる。

 自陣に撤退すると4-1-4-1に変化し、全体的に低いポジションに設定していた。マリノスは前への前進が出来ない分、しっかり後方で構えて守備をすることを狙いとしてやっていた。

 

 そんな試合の入りを見せるマリノスに対して自然とボールを握ることができた仙台。前半は人数をかけて相手を押し込むことに成功する。奪われても素早い切り替えでボールを奪い返し、再度自分たちのボール出来ることも多かった。これは前節の反省が生かされている場面だった。

 しかし問題は、シュートまで持っていけないことだった。マリノスは全体的に低いラインで守っているため、裏のスペースがない。また、両サイドバック(小林と新井)も裏へのケアをしっかり行い、流れてくるウイルソンやハモンをきっちり抑えられてしまったので、いつものようにサイドの裏への突破からクロスというシーンを作り出すことが出来なかった。

 ボールは握れる、それに素早い切り替えですぐにマイボールにできると、決して悪くないのだが、フィニッシュまでの形を作れない仙台。トランジションの形で惜しいシーンを作れるのだが、やはり立ちはだかるのは中澤と栗原。低いマリノスのディフェンスラインに手ごたえを得る攻撃は出来なかった。

 

 マリノスの堅い守備の前に決定機を作れずに前半を折り返す。

 

■後半~離れていくFWと中盤~

 後半に入るとマリノスの立振る舞いが変わる。前半は、自陣で引いてブロックを作ることが多かったが、後半に入ると、仙台のディフェンスラインとGKにプレスを掛け始める。

 そうすることで仙台は、ロングボールを蹴らざるを得なくなる。そうすると競り合うのは仙台の2トップとマリノスの中澤と栗原。もちろん分があるのは、マリノスセンターバックコンビである。このようにして、マリノスは前プレと自陣の競り合いが計算できることで、仙台ペースだったものを奪い返した。

 それに加え、右サイドからの攻撃が活性化、前田と小林が起点になることで、決定機を演出するようになっていく。

 

 そんなペースを奪われた仙台は、どうしても自陣にいる時間が長くなり、前半のマリノスがそうだったように押上げの位置が低いため、前線までボールを運べるシーンが格段に減っていった。

 また2トップにボールを預けても後方からの押上げ遅いために、攻撃が単発に終わってしまうことが増えていった。

 仙台はこの状況を打破するために、両サイドハーフを交代。茂木と菅井を投入し、再度全体の押上げを狙った。茂木は最近の好調ぶりもあり、チャンスメイクをしたが、菅井はまったく仕事ができなかった。

 

 次第にバランスを崩し、マリノスにカウンターを食らう仙台。そんなアンバランスな状況は、やはり失点に繋がる。83分。平岡のロングパスをカットされ、それが齋藤学へ。齋藤学は仙台敵陣深くまで行くと、クロス。それが平岡に当たり、そのこぼれ球を兵藤が押し込んで、ついに先制。

 

 仙台も西村を投入して、スクランブルで攻めるが、最後の最後まで中澤と栗原の壁を越えられず、タイムアップ。仙台は3連敗を喫してしまった。

 

■最後に・・・

 マリノスのゲームプランの前にしてやられたという内容だった。前半は出来ていたようには見えるが、フィニッシュまで持っていくことはなかなかできなかったし、後半はマリノスが前から掛けてきたときにうまく対応できなかった。

 マリノスは仙台の2トップがサイドの裏に流れていくことをしっかりスカウティングしていたと思う。そこのケアだけは90分怠っていなかった。仙台もそこが使えない時にどうしていくかという手がなかったのは痛かったし、中央に立ちはだかる中澤と栗原に真っ向勝負を挑んでしまったのも反省点。もう一回、今シーズン出来ていることを洗いなおして、次節に臨んでほしい。

 次は、甲府戦。三田と大岩がいないという厳しい状況の中で、もう一回自分たちが積み上げてきたものを表現し、結果としてつなげることができるか。次節こそいいゲームを期待したい!