ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

厚いオレンジの壁に阻まれた仙台J1 2ndステージ第9節 大宮アルディージャvsベガルタ仙台

 前節、柏レイソル相手に42で完勝した仙台。これで引き分け挟んで4連勝。今節の相手は大宮アルディージャ。年間勝ち点が同じ相手、上位に食い込んでいくためには負けられない一戦となった。

 大宮は前節のマリノス戦。先制しその後相手が10人という状況でアディショナルタイムで追いつかれドロー。ここ最近いまいち波に乗り切れていない大宮だが家長が帰ってきたことは朗報である。

 一方の仙台。調子はいいもののケガ人が続出という状況は未だに変わらない。今節は左サイドバックに藤村。右サイドハーフにパブロ・ジオゴが加入後初スタメンとなった。大宮とは相性のいいイメージだが、家長が来てからの大宮には実は勝てていない。そんな結果を覆すことが出来るかどうか。

■前半似たもの同士の戦い

 大宮と仙台は非常にやろうとしているサッカーが似ていると個人的には思っている。大宮にしろ仙台にしろ、まず根本にあるのは守備であり、そこからボールを奪って、素早く攻めるだけではなく、ボールを保持しながら、相手を押し込んでいこうというスタイルである。

 

 そんな中で大宮の中心となるのは、やはり家長である。大宮の攻撃時における中心は家長。ボールを保持しているときは、家長が降りてきて、両サイドハーフ(泉澤と江坂)が中に入ってきて、サイドバックが高い位置を取ることがデザインされていた。家長というリンクマンがいることで大宮はピッチの各所で数的優位を作ることに成功していた。常に家長が+1の役割を行うことで、相手の守備のポジションをずらしたり、バランスを崩すことを狙いとしている。

 そんな家長のプレーエリアはボランチからトップ下(相手ボランチ付近)から左サイドに掛けて位置取りすることが多かった。だから基本的に左で作って右で完結するようなシーンが主な攻撃であった。右サイドであれば江坂や渡部が裏に抜け出すことが多かった。

 

 仙台の守備は試合開始から高い位置でボールを奪おうという狙いを見せる。もちろんそれがハマる場面があったりしたが、うまくハマらないと反対に大宮に広いスペースを与えてしまう結果になってしまった。

 また仙台はいつもであれば、富田、三田の位置で激しくボールを奪いに行き、それが成功するのだが、そこで家長がボールキープをするので、なかなかボールが奪えない。家長のボールキープの能力は異常。というか体幹が本当に強いんだと思う。

 仙台は次第に押し込まれることが多くなる。そういうときは中央をしっかり固めて、中を割らせないような守備をすることで大宮の攻撃を抑えていった。

 しかし先制点は大宮。37分。右サイドで江坂が突破し、ムルジャへクロス。ムルジャは反転してシュートを打とうとするが、大岩が前を向かれたところで後ろから引っ掛けてしまい、PK。これを家長が決めて先制。

 仙台の対応が甘かったとするならば、江坂が突破された場面。藤村が前にチャレンジした裏のスペースを埋めきれていなかったことだろう。場面的には、博文がスライドするか三田がカバーに入るかのどちらかだと思うのだが、隙を作ってしまった。

 仙台の攻撃はシュートまで持っていけたシーンが多かった。その一方でハモンやウイルソンにボールが入ったときの押し上げがすこし遅くなっていたシーンが散見されたのは気になった。またこの試合ではシュートで終わっている反面、2次攻撃に繋げることが出来ていなかったし、コーナーを前半は1本も獲得することが出来なかった。

 また、相手を押し込んだ時に左右に揺さぶる場面も全体的に少なかったのは少し気になった。左でダメなら、右に展開するみたいに、相手を揺さぶってクロスを上げる場面をほとんどなかったと思う。もちろん悪いシーンばっかりではなかったが、大宮の守備が混乱する場面は少なかったかなと感じる。そういう意味では少し攻撃のバリエーションに足りなさを感じた前半だった。

 大宮リードで前半を折り返す。

■後半大宮の勇敢さと最後まで苦しんだ仙台

 家長のシュートで始まった後半。序盤から大宮が波状攻撃で仙台を押し込むところから始まった。

 前節、先制しながらも追いつかれた反省だろう。後ろに重心を置くことなく、前でプレーすることで、大宮は追加点を狙いに行く姿勢をしっかり持っていた。

 そんな姿勢は守備でも現れるようになる。前半は仙台がボールを持ったときに、前から掛けることなく、2トップがハーフウェーラインあたりを基準にポジショニングしていたが、後半は、2トップが仙台のセンターバックにプレスを掛けるようになる。また仙台の落ちてくるボランチに対してはサイドハーフが付いていき、サイドバックにはサイドバック。中に入ってくるサイドハーフに対してはボランチが見ているような形を取っていた。

 大宮が前から来たことで仙台のポゼッションはますます苦しくなってくる。いつもであれば、こうなったらリャンが降りてきて数的優位を作ったり、3枚のビルドアップに対して3枚で来たら、サイドバックが高い位置を取らずに4枚そのままビルドアップするのだが、やはりリャンが不在であったり、左サイドバックで頭角を現している藤村であるが、その辺はまだ気の利くプレーが出来ておらず、高い位置を取りっぱなしになっていた。大宮が前から来たことで、仙台は同点に奪いに行かなければならない状況にも関わらず、前にボールをなかなか運べない展開が続いた。

 そんな流れを打破するためにパブロ→茂木を投入。この交代で茂木がいろんなところから顔を出すことで少しずつボールを前に運べるようになっていった。特にサイドでボールを受けて、流れてくるウイルソンを使うプレーや大外からの突撃は効果的だった。

 次第に糸口が見えてきた仙台。同点ゴールは76分。右サイドで得たコーナーキック。茂木が蹴ったボールは塩田に弾かれるが、そのこぼれを三田が左足で豪快なミドルシュートを突き刺し同点。このシュートが実は後半のファーストシュート。なかなかシュートまでの形を作れなかった仙台だが、セットプレーで決めることに成功した。

 その直後には家長が茂木へのラフプレーで一発退場。判定自体は厳しいものだったが、仙台が一気に有利な立場へと立つ。

 大宮はすかさずムルジャ→清水、泉澤→マテウスを投入。ラスト10分、仙台は相手陣内に押し込んでの時間帯が続くが、どうしても細かいところでミスが出たり、最後は菊地や河本に跳ね返される展開が続く。

 そして89分。投入された2人が結果を出す。マテウスが左サイドで突破を図るも菅井の足に引っかかる。そのボールが清水に渡ると、清水はファーサイドの江坂へアーリークロス。これを江坂が流し込んで10人の大宮が勝ち越し。

 アディショナルタイム5分、仙台は最後の猛攻を仕掛けるも三田のシュートは渡部に弾かれてタイムアップ。同点後数的優位になった仙台であったが、大宮に勝ち越されて6試合ぶりの敗戦となった。

■最後に・・・

 大宮が清水を投入したときは守りを固めてきたのかなと思ったが、マテウスと清水を入れることで、スペースの空いた仙台に対して攻撃の手をしっかり残していた渋谷監督の采配はお見事。自分の手持ちのカードをうまく使った結果だった。

 一方の仙台は、茂木しかカードを切ることが出来なかった。同点にできたことは良かったが、交代カードを含めて采配に幅を持たせることが出来なかったのは、今のケガ人の多い現状を物語っていると思う。

 ゲーム全体でも大宮のゲームだったかなと。仙台は大宮の河本、菊地のところを最後まで崩しきれなかった。この2人はリーグ屈指のセンターバックコンビだと思っているし、その2人をうまく引っ張り出す仕組みが出来ていたら、もう少しチャンスを作れたのかもしれない。

 また攻撃では少し攻め急ぐ場面が多かった印象。野沢やリャンがいないこともあるかもしれないが、1stステージで出来たみたいに左右に揺さぶってクロスを上げたり、高い位置でボールを握る時間を多くしたかったところだった。

 

 次はホームで広島戦。これが終わればリーグは一時お休み。ケガ人が多い中ではあるが、広島相手に今節の敗戦を糧にしてしっかり闘ってもらいたい!

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