ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

アクシデントを乗り越えて~J1 2ndステージ第7節 鹿島アントラーズvsベガルタ仙台~

 昨日に引き続き、今日は鹿島戦を。

 新潟、湘南、福岡との3試合を2勝1分で乗り切ることが出来た仙台。ここから先は中位・上位陣との試合が続く。8月初戦は1stステージチャンピオンの鹿島となった。f:id:khigu:20191230150526p:plain

 鹿島は2ndステージに入っていまいち結果が付いてこない。失点数も1stステージの失点数を超えている。守備の立て直しを図るとともに、カイオを失った攻撃陣はどう奮起していくかは鹿島にとってはキーになってくるのではないか。この試合では久しぶりに小笠原がスタメンになった。

 仙台は相変わらずスタメンに変更なし。苦手な夏場ではあるが、今シーズンはボールを握ることで、この時期でも成績が着実に付いてきている。14年勝てていないカシマスタジアムで勝てるかどうか。

 

■前半~守備の基準点をハッキリできた仙台~

 前半、蒸し暑い中でのゲームは、お互いに集中力の高いゲームを行っていた。

 

 仙台は開始から鹿島陣内でプレッシングをスタートする。鹿島は、ビルドアップ時もシステムや人をあまり動かさない。例えば、仙台であればビルドアップ時は三田や富田が最終ラインに下がって、3枚でビルドアップを行い、サイドバックは高い位置を取らせる。

 しかし鹿島は、基本的に4-4-2の姿を変えない。後方のビルドアップはセンターバックが行い、時折遠藤や土居が仙台のブロックの間でボールを受けるぐらいで、列の移動やポジションチェンジはあまり行わないのが特徴的である。

 何を言いたいかというと、鹿島も仙台の同様に4-4-2のシステムであるがゆえに、鹿島がビルドアップ時に形を変えないことで、仙台の選手は、各々が守備の基準点をハッキリできるというわけである。だから序盤に前から掛けることが出来た。特に三田と富田が鹿島の小笠原、柴崎にしっかり付いていったことで、序盤に鹿島にペースを握られることなくゲームを進めることが出来た。

 

 仙台の鹿島戦における攻撃のポイントは左サイドだった。福岡戦であったように、後方のビルドアップからサイドを経由して相手を押し込んで攻める攻撃ではなく、シンプルに左サイドの裏のスペースにウイルソンやハモンを走らせることが多かった。ウイルソンとハモンが同サイドに流れることで相手のセンターバックを動かして、右サイドから奥埜が出てくるシーンを作っていく。23分にハモンの左からのアーリークロスを奥埜がダイレクトで落として、ウイルソンが突破しかけたシーンはその典型である。

 先制点は意外な形で生まれる。35分。仙台のゴールキックのセカンドボールを拾うと、ハモンとウイルソンがワンツーを仕掛けようとするも、つながらず。しかしハモンはそのまま西へプレスを掛けると、たまらず西はバックパス。それを狙っていた奥埜がかっさらって、そのままゴールを決める。一見西のミスに見えるが、ボールをロストした後も切り替えを早くして、すぐにプレスを掛けたことで西のミスを誘うことが出来た。試合開始から続けてきたことが実となった瞬間だった。

 

 その後も状況に応じて、自陣で4-4-2のブロックを組み、鹿島の攻撃を集中して跳ね返す。鹿島の攻撃も距離感が遠く、またカイオのような個で打開できる選手がいなかったので、全体の距離をコンパクトにして最後のところで丁寧に跳ね返すことで、鹿島の攻撃を抑えていた。

 終了間際に、仙台は平岡、鹿島は遠藤がアクシデントで交代となった。前半は1-0で仙台リードで折り返す。

 

■後半~耐えて、耐えて、また耐えて~f:id:khigu:20191230150554p:plain

 前半終了間際に、仙台は平岡→菅井で、大岩がセンターバックへ。鹿島は遠藤→鈴木と、ハーフタイムに杉本→中村を投入している。

 

 後半に入って、鹿島は中村と鈴木を両サイドハーフに置いたことで役割が整理された。まず、中村を入れたことで、中村が仙台のブロックの間に登場するようになる。おそらく杉本にも同様に役割を期待していたのだろうが、うまくいかなかった。中村が間に登場することで左サイドバックの山本はスムーズにオーバーラップを行うことが出来ていた。

 右サイドの鈴木は、大外からの高さ勝負のために使われた。よって後半開始から、鹿島の攻撃は左サイドを中心に、最後はファーにクロスを上げて、金崎ないし鈴木を狙うような形へと変化していった。前線にポイントが出来たことで攻撃も機能し始め、次第に仙台を押し込むことに成功していった鹿島である。

 

 一方の仙台は、前半同様に丁寧に跳ね返すシーンが多い。センターバックに入った大岩は時折ミスでピンチを招いていたが、集中した守備を見せてくれた。

 しかし60分に今度は石川直樹がアクシデント。サブにサイドバックのできる選手がいなかったため、藤村を急きょ、左サイドバックに起用した。左サイドバックとして緊急起用された藤村であったが、しっかりと役割をこなせていたと思う。もちろんサイドハーフのリャン(途中から奥埜)の援護を受けながら、対峙する鈴木や土居、西としっかりやりあえていたと思う。

 後半はどうしても押し込まれてしまい、状況によっては6バックのような形で守ることもあった仙台。よって攻撃に出ていくパワーがどうしても足りずに自陣での時間が多くなってしまった。

 終盤にはリャンにアクシデントがあり、茂木を今シーズン初めて起用する。茂木は、後ろに重たくなったチームを引っ張る動きをしてくれた。右サイドから切り込んだシュートは非常に惜しかった。

 耐えて、耐えまくる仙台。最後は関の連続ビッグセーブもあって、なんとか鹿島の攻勢を逃げ切った。

 

 1-0での勝利。14年ぶりのカシマスタジアムでの勝利でもあり、史上初めて鹿島にシーズンダブルを達成することが出来た試合となった。

 

■最後に・・・

 アクシデントを乗り越え、なんとかアウェイで勝ち点3をゲットすることが出来た。この夏場ですでに勝ち点10を稼げているのは立派な成績である。また前半の守備は非常に安定し、2ndステージ始まったころよりも、自信をだいぶ取り戻してきてるなというのが目に見えて分かる試合ぶりだった。

 シーズンを追うごとに自分たちがどう振る舞うべきかを、試合の中で11人がしっかり意思統一出来ているのがこの成績につながっているのかなと思う。

 

 ここから柏、大宮と順位が近いチームとの対戦が続く。ここで勝てるかどうかで終盤に向けた自分たちの立ち位置は決まってきそう。ということでシーズンの1つのポイントになりそうな試合かなと思う。

 鹿島戦ではまたケガ人が出て、非常に台所事情が厳しい中ではあるが、次節の柏戦、チームの真価が問われる中でいいゲームを期待したい!