ヒグのサッカー分析ブログ

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勝つことによる自信と証明J1 1stステージ第14節 ベガルタ仙台vsアルビレックス新潟

 前節、敵地・平塚で湘南に勝利した仙台。今季初の連勝を狙う今節は、アルビレックス新潟との対戦となった。f:id:khigu:20191230142934p:plain

 仙台のスタメンは前節と変更なし。ベンチには西村が入った。

 一方の新潟。ガンバ、浦和、川崎と強豪相手に3試合連続でスコアレスドロー。それが新潟にとって良かったかどうかは内容を見てないのでいまいちわからん。

 スタメンでは負傷の守田に代わって川浪。それ以外にもコルテース、指宿が先発に名を連ねた。

 

■前半~中か外か、それが問題だ~

 新潟のビルドアップは、小林がセンターバックの間に下りて3枚になるところからスタートする。

 新潟は主に2つの状況が見られた。f:id:khigu:20191230143041p:plain

 1つはシンプルに小林が下りて3-1-4-2のような形になること。両サイドバックが横幅隊で、加藤と小塚がセントラルハーフとして振る舞う。f:id:khigu:20191230143059p:plain

 もう1つは、サイドバックの小泉がレオシルバの隣に位置し、加藤がその代わり横幅隊になるやり方である。このやり方はあまり頻度が高くなかったので、小泉のオリジナルかもしれない。

 どちらにしても新潟のビルドアップは主に右サイドに展開してからスタートする。ビルドアップ隊を3枚にし、仙台の2トップと数的優位を作るところからスタート。そこから右に展開し、ボールを前進させる。ボールを前進させることで、仙台の2トップはブロックに入って来なくなるので、その時間を利用して小林が2トップと2列目の間に顔を出し受けて、前を向くシーンが非常に多かった。

 仙台も開始の15分くらいは、この小林の動きに対して捕まえることが出来ずに、前を向いてボールを持たせてしまっていたため、新潟がボールを持つ時間が長かった。

 新潟の攻撃はとにかく中央突破がメイン。アタッキングサードに入っていくと、指宿、山崎、加藤、小塚が仙台のブロックのライン間に位置し、ボールを受けようとする狙いがあった。間でのパス交換をしつつ、チャンスと見るや裏を取る。全部オフサイドだったけど。

 時にはコルテースや小泉もサイドから中央に入っていくシーンが見られた。視野外からの突撃。

 

 一方の仙台。前半の開始15分は押し込まれるシーンも多々見られたが、次第に仙台もボールを握る時間を増やしていく。仙台は新潟とは反対にサイドバックが高い位置を取り、横幅をうまく使いながらボールを回していくことを繰り返していた。外に展開し、中にもボールを入れ、ダメだったらサイドを変えるといったことを繰り返し行い、そしてシンプルにクロスを上げることを心がけていた。

 また新潟は奪われた後の切り替えが遅く、特に攻撃には多くの人数を割き、システムを変わるため、後方に危険なスペースを生む状況だった。そこを見逃さない仙台。奪った後に簡単にサイドバックの裏にボールを送ってハモンがサイドの裏で起点を作るシーンも同時に増やしていく。特に左サイドバックコルテースは戻りが遅いため、仙台の右サイドは1つのポイントとして攻撃を行っていた。

 

 先制点は36分。レオシルバの直接フリーキックをセーブした六反。六反がキャッチしたことで全力疾走する金久保。六反のフィードが金久保にドンぴしゃり。金久保は並走してきた相手二人を抜き去り、カットインから左足一閃で先制。スーパーゴール。

 2点目は新潟が前に出てきたところから。六反から大岩へ。大岩は右サイドの裏にスペースがあると見るやハモンへロングボールを送る。走るハモン、追いついて、クロス。中にいた野沢がうまく抑えたボレーシュートで追加点。スーパーゴール。

 2点ともスーパーゴールであったが、仙台の切り替えの早さ、そして相手の隙を見逃さないシンプルな攻撃と、しっかりと得点に結びつけることが出来た。前半2-0で折り返す。

 

■後半~横幅を使いだす新潟~

 後半スタートから、新潟は加藤に代えて伊藤優汰を投入。

 伊藤というウインガータイプの選手を投入してきた新潟は、前半よりもサイドを起点に攻めることが増えた。正確に言えば、前半全くと言っていいほど利用してこなかったサイドを使いだす。

 伊藤が入ったことで右サイドの攻撃が活性化する。また横幅を使うことで、左サイドでもコルテースが高い位置でボールを受けるシーンが増える。

 けど、ミスで攻撃を台無しにする場面の連続で、攻撃にテンポが生まれない新潟。

 

 仙台は前半同様に、サイドを起点に攻撃を仕掛ける。前半はコルテースサイドを攻めていたが、後半は相変わらずハモンが左サイドに流れてきたので、左からの展開が多かった。

 奪われても素早い切り替えで、すぐにボールを奪取し、攻撃を繰り返すことに成功する。

 

 3点目は59分。右のコーナーから。野沢のキックに合わせたのは渡部博文。ゾーンで守る新潟であるが、良質なキッカーがいるチームにはゾーンは関係ないよという得点だった。野沢のキックで勝負アリという得点シーンだった。

 

 その後、新潟は4-1-4-1に変更。小塚→松原。f:id:khigu:20191230143200p:plain

 新潟は山崎をワントップにする。何かが生まれそうな伊藤を中心に攻める新潟。4141にしたことで守備のバランスを悪くしても得点を取に行く新潟。気合いの山崎作戦だった。とにかく食らいつく山崎。決定機を作る山崎。

 そして75分あたりになると新潟ペースになる。右から左の展開で仙台の守備を揺さぶるとコーナーをゲット。そのコーナーをコルテースが合わせて1点返す。

 

 けど守備のバランスが悪い新潟。というか全体的にバランスが悪かった。81分は仙台の前プレに引っかかり、金久保が奪うとそのボールがゴール前のウイルソンに渡り、冷静なループシュートでダメ押し。久々のウイルソンのゴール。

 

 ロスタイムに大岩がハンドでPK。これをレオシルバが決める。

 これでタイムアップ。4-2で仙台が勝利。今シーズン初の連勝となった。

 

■最後に・・・

 今シーズン初の連勝となった。2失点に関しては課題は残るが、4点取れたことは素直に喜ばしいこと。

 得点自体は、主体的に崩しての得点ではなかった。それでも前半の2点は相手が守備をセットする前に素早く攻めれたからこその得点だし、3点目はセットプレー、4点目は前プレからのトランジションと、様々な形での得点が出来ている。相手の状況によって様々な攻撃が出来ることは素敵なことだと思っている。だからこれでよいのではないだろうか。

 

 「5月攻勢」と名を打った今月であったが、結果的に3勝1分1敗と、いい成績を収めることが出来た。4月のケガ人が多かった時期を考えればしっかり巻き返せているのかなと思う。それに勝利したのが福岡、湘南、新潟と、こういう順位が近い相手に勝てたことは大きいし、なにより自分たちのサッカーを表現出来ての結果であることは自信になる。

 

 気が付けば中位争いも狙えそうな立ち位置まで来た仙台。1stステージは残り3試合。相手は柏、甲府、磐田と今の状態を保てればしっかりやれる相手だと思う。自信を持って残りの3試合を闘ってもらいたい!!