ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

目指しているものが見えたか!?~J1 1stステージ第11節 ベガルタ仙台vsアビスパ福岡~

 前節は、敵地・等々力で川崎フロンターレと引き分けた仙台。今節はホームに戻って18位・アビスパ福岡との対戦となった。17位と18位の対戦、いわゆる裏天王山。f:id:khigu:20191230141758p:plain

 仙台のスタメンは、出場停止明けの石川直樹が左サイドバックがスタメンに復帰。それ以外は変更点なしとなった。

 一方の福岡は、初勝利を挙げたFC東京戦から4-4-2を採用。前節の大宮戦から右サイドバックを實藤に変更。やっぱりキーマンはウェリントンな福岡である。

 

■前半~数的優位を作ることでボールを保持する仙台~

 この試合、両チームのシステムは4-4-2。いわゆるミラーゲーム。だから本来の考えであれば誰が誰を見るかというのがハッキリするはずである。

 けど、一方がボールを保持したときにオリジナルポジションを動かすこと(相手とのズレを生むこと)で、自分の付いているマークを動かしたり曖昧にさせ、ボールをよりスムーズに前進させることはサッカーでは当たり前になっていることの1つである。

 仙台も例外なくポジションを動かす。川崎戦の復習。

 

 仙台は、センターバックボランチの4枚が状況に応じて形を変えながら、福岡の1列目(2トップ)を突破しようとしていた。実際に福岡の1列目を簡単に突破することに成功する。

 その要因として挙げられるのは、前線のポジション。仙台で言えば、1,2列目。福岡で言えば2,3列目のポジションである。仙台は後ろでボールを持っているときに、中央にリャン、野沢、金久保が福岡のダブルボランチ付近にポジショニングすることが多く、また、サイドハーフが空けたスペースにサイドバックが高い位置にポジショニングをするような仕組みになっていた。

 こうすることで福岡のダブルボランチのエリアでは仙台の数的優位が発生し、本来であれば仙台のダブルボランチを見たいのだが、ピン止め状態になり、なかなか1列目の守備のフォローに行けなかった。またサイドバックが高い位置を取ることで、相手のサイドハーフを押し下げることも出来た。

 よって福岡の前線のプレッシングは、1列目の単発で終わり、ビルドアップ隊で数的優位を作ることに成功した仙台は易々と1列目を突破していった。

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 仙台のポゼッションはピッチを広く使うこと、もしくは同サイドでの数的優位からの崩しがメインだった。サイドチェンジも使いながら仙台は福岡陣内へと攻め入った。

 福岡は仙台の選手が流動的に動くのでマークがハッキリできず、44のブロックもうまく機能していなかった。それに加えて、前線ではハモンと堤のエリアでハモンの質的優位が出来ており、それもあってか福岡の4バックはラインが次第に低くなり、2列目(中盤)との距離がどんどん遠くなってしまった。もちろんそれを見逃すわけがない野沢が、ボランチと4バックのライン間でボールを受けることで攻撃のスイッチが入っていった。

 2トップの一角を任された野沢だが、今シーズンは守備の負担が軽くなったことで攻撃へのウェイトを掛けれるようになり、数多くのシーンで顔を出すシーンが増えている。この試合では周りにリャン、金久保、三田がいたことでテンポよくボールを回すことが出来ていた。

 

 先制点は33分。右サイドのボール回しから野沢のアーリークロスがコーナーになったところから。福岡がセットプレーがウィークポイントだとスカウティングしていた仙台。野沢のキックにニアで合わせたのは汚名返上の石川直樹。おそらくニアがウィークだというのがスカウティングだったのだと思う。後半の追加点もニアに蹴っていたし、前半のキックは3本ともニアだった。

 

 前半は、自分たちがボールを保持するための仕組みをしっかりと表現できた仙台のリードで折り返す。

 

■後半~ゲームのまとめ方~

 後半の仙台は、ハモンが左サイドに流れることが多く、そこを起点に攻撃を作っていった。

 前半同様に、堤とのマッチアップで質的優位を作ることはなく、ハモンは左サイドにいるシーンがほとんどだった。

 理由としては単純に、仙台として左から攻めたほうが攻めやすかったのだろう。それはハモンが流れることや、それにリャン、野沢、三田が絡むことで攻撃のバリエーションを増すことに繋がると考えたのかもしれない。もしかしたら選手の判断だったのかもしれない。

 

 追加点は53分。左のコーナーから。野沢がニアに蹴って大岩がフリック、蜂須賀がファーで合わせてイボムヨンに防がれるも、こぼれを博文が押し込んでゴール。今回もニアだった。というかニアフリックからのファーでフィニッシュという形を久々に見た気がする。ニアのフリックといえば千葉直樹

 

 これでだいぶゲームを優位に進めることが出来た仙台。福岡はウェリントンを下げて平井を投入。この日もウェリントンを目がけて蹴るシーンが多かった福岡だが、博文を中心とした仙台守備陣が完封した。なんだかウェリントンは福岡の攻撃のすべてを背負っている感じがしてきつそうだった。

 平井が入ったことで、少し攻撃に流動性が生まれる福岡。仙台は自陣で守備をする時間が少しだけ増えた。けど、福岡の淡泊な攻撃に助けられる。

 反対にボールを奪えば、福岡が前掛かりになったことで後ろにスペースが生まれ、カウンターが発動できる展開に持っていくことが出来た。本当であればカウンターでダメ押しを決めてもらいたかったが・・・。

 

 残りの時間は仙台がうまくゲームをまとめる展開だった。福岡の攻撃をうまく抑えながら、全体的にバランスを崩さないことを意識していたように思う。ここ最近ずっと失点が続いていたので、それも影響したのかもしれない。前への意識を忘れず、しかしリスクマネジメントを忘れないことで、福岡に対して隙を与えなかった。

 試合は2-0で終了。仙台が7戦ぶりに勝利した。

 

■最後に・・・

 久々に勝った。複数得点に無失点の内容も上々だったのではないだろうか。もちろんさらに得点する機会があったし、流れの中からの得点が欲しかったけど、欲を言うべきではないと思う。セットプレーが得られたのも、自分たちが主体的にゲームを進めた中で得たものであるし、そういった自分たちの時間帯できっちり決めれたことはいいこと。

 加えて攻撃では野沢が絶好調。仙台に来てから一番コンディションがいいんじゃないかと思っている。野沢を使い続ける理由はコンディションの良さが最もな理由だと思う。健全な競争の中で野沢がいいんだと。そして野沢の相棒はと考えた時にウイルソンではなく、前線で体を張れるハモンがベストパートナーだと監督は考えた様子。これは鳥栖戦の反省からだと思う。

 ウイルソンは調子が悪いんだかよくわからない。けど、もう少し貪欲でもいいかなと、福岡戦の途中出場では思った。

 

 ようやく結果が出た仙台であるが、次のステップはこれを継続できるかどうか。ここがすごく大事。ということで次は大宮。いつもの大宮ならいけるかなとか思っちゃいそうだけど、今シーズン調子がいいので、もちろんうまくはいかないだろう。福岡と違って攻撃は多彩だし。けどこの川崎、福岡との対戦で出来たことを自信にして、次の大宮戦も闘ってもらいたい!