ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

歩みを止めることなかれ~J1 1stステージ第7節 浦和レッズvsベガルタ仙台~

 広島、ガンバと強豪との試合が続いた仙台。今節はそんな強豪との3連戦のラストである浦和戦。

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 浦和は、ほぼお馴染みのメンバー。前節はマリノスとドロー。ここから続くACLシドニー戦)とリーグ戦(川崎F戦)に弾みをつけるためにも、ここは勝っておきたい試合。

 仙台は、ケガ人が絶賛続出中。ゴールキーパーに続き、前節から菅井、水野、金園、ウイルソンがケガで欠場。選手総動員状態の今節は、なんだかナビスコみたいなスタメンになった。ミンテ、野沢、ハモンがスタメン

 

■前半~人海戦術で守る仙台~

 前半はエンドを変えてキックオフ。

 試合は、早々からその構造が表れる。

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 仙台は4-5-1で守備をセット。中盤の5枚は並列で守備ブロックを組んでいた。

 主に、1列目(FW)のハモンは相手の3列目(DF)を放置。無理な深追いはしなかった。2列目(MF)の中でも中央の3人(ミンテ、富田、三田)は、相手の縦パスに対しての対応がメイン。また、ミンテ、三田は、出てきた槙野と森脇に対してプレスを掛けていく場面があった。

 野沢は基本的には、関根と森脇がサイドに来た時の対応。奥埜は、主に宇賀神への対応が多かった。浦和は基本的に5枚前線に張るので、大岩が武藤を見なければならない場面があり、そのため奥埜が宇賀神への対応をしていた。

 おそらくこのような守り方にしたのは、浦和の柏木や後方からのサイドチェンジに対して、スライドを素早く行わせるためだと考えられる。列に人を増やすことで、一人が移動する距離を短くするというものである。

 けど、浦和は裏への抜け出しや、3人目の動きなどで仙台のペナルティエリアに何回も侵入することに成功していた。仙台の守備の特性上、柏木や阿部、3バックが自由にボールを持ててしまうので、簡単に縦パスを入れられてしまう場面が多かった。

 

 しかし、次第に仙台も対応できてくるようになると、攻めに出始める。基本的には、ハモンの単騎特攻がメインであったが、それに加え、仙台はボールを保持できるようになるとミンテをFWに上げて、4-4-2で攻めるようになる。

 ミンテをこういう擬似FWで使ったのは、ミンテの推進力と、高さの面を使いたかったのだと思う。この起用法はすこし面白かった。チャンス自体はそれほど多くなかったものの、惜しい場面を作り出すことに仙台は成功していった。

 

 前半は危ない場面、体を張ってしのぐような場面の連続であった。確かに人を掛けて守備を構築しているのだが、人に付ききれずに、簡単にはがされたり、人と人の間に入られたりして崩される場面もあった。少し即席感が否めない戦い方であったが、前半はスコアレスで何とか折り返す。

 

■後半~エンドレスリピート~

 後半も、前半同様なスタンスでゲームに入った仙台。変化があったとすれば浦和が後方でボールを持った時に、ハモンとミンテが阿部と遠藤を見る形に変化したことぐらいだろうか。この形も途中で消えたので何とも言えないが・・・。

 ということで、前半のエンドレスリピートな後半であった。

 

 けど、52分に均衡が破れる。浦和が先制。左サイドで受けた槙野がえぐってクロスを上げると、最後は李忠成。前半と比べて、後半の浦和は槙野が、宇賀神を追い越すような動きや、宇賀神が中に入っていくことで、槙野が1対1で仕掛けるチャンスを作る場面が増えた。おそらく前半に起きていた仙台の守備(奥埜がDFラインに吸収されること)の問題を考慮しての対策だったのだろう。

 ついでに後半も右サイドは関根が石川直樹と1対1を繰り広げていた。

 

 しかし、すぐに追いつく仙台。スローインを奪取を起点に富田、野沢、ハモン、三田とつないで、三田が左サイドからカットインし、右足でシュートし決める。今シーズンの2点は利き足ではない右足である。高い位置でボールを取れたこと、またスローインからの奪取だったので、人数を掛けて、また手数をかけずにゴールまで運ぶことが出来た。

 

 その後は、また仙台が自陣に撤退し、4-5-1で守る時間帯が続く。浦和はとにかく繰り返すことで、仙台のゴールを襲っていく。サイド、中央、そして数多くのコーナーと様々なバリエーションの攻撃を見せていく。

 仙台は、我慢に我慢を重ねる時間が続く。守備の時間が長かったことで、前半のようなミンテの飛び出しが少なくなり、ハモンの単騎特攻にすべてを掛けるような展開になってしまった。

 

 そして勝ち越しは74分。自陣でミンテがルーレットを失敗すると、奪ったボールを阿部が素早く興梠にスルーパス。興梠は冷静にキーパーをかわしてゴール。ミンテのミスは痛かったが、前節、前々節にも書いたように、そういうミスは強いチームは見逃してくれない。抜け目がないのである。

 追加点は2分後。ここまで粘って守れていたサイドチェンジからの攻撃でやられる。右サイドから柏木が途中投入された梅崎へ出す。梅崎は右足でクロスを上げると、最後は武藤が決めて3-1。あれだけ粘れていたが、最後の最後で決壊してしまった。中の人数は問題なかったので、マークのところで問題が生じてしまった。

 

 ということで、1-3で負けた仙台。これでリーグ戦4連敗となってしまった。

 

■最後に・・・

 この戦い方を選択した理由は、もちろん前述したとおり、スライドの問題を解決するためであるだろが、もう1つ挙げるとしたら、やはりケガ人が多く、このメンバーで戦うとしたら、ある程度このような割り切った戦い方しかなかったというのが、監督の解答だったのだと思う。そうでなければ、広島戦のような4-4-2の中央圧縮のやり方を採用していたと思う。

 如何せん、主力のケガ人が多すぎるので、ああだこうだとは言えない。ケガ人が多い中でよく戦ったと個人的には思う。

 

 とりあえず、広島、ガンバ、浦和と昨年の1,2,3位のチームとの連戦が終わったわけであるが、もちろん3試合で毎回3失点している守備に課題があることは山々だが、この3チーム相手にも、自分たちがやりたい攻撃の表現は出来たのではないかなと感じる。特にガンバ戦は。

 あとは、これをどう結果に結びつけることが出来るかが重要であり、問題。希望は間違えなく見えているので、継続してやるしかないと思っている。結果が出ない苦しさはあると思うけど、自信はなくさずにやっていくしか道はない。

 次からは、自分たちと同じ立ち位置、もしくは少し上や下とのチームとの対戦が多い。ここで攻撃が開花してくれれば十分だと思うので、歩みを止めずに、自信を持って闘ってもらいたい!