ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

あゝ、無情~J1 2ndステージ第5節 FC東京vsベガルタ仙台~

 今年もまた勝てない夏がやってきた。2ndステージ始まっていまだに勝ち星なく最下位にいる仙台は、FC東京との対戦となった。

スタメン

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 仙台は、ハモン、菅井に加え、金久保が今季初スタメン。夏場の連戦ということもあり、3人入れ替えてきた。一方の東京は、高橋秀人が出場停止、梶山がケガで離脱、ダブルボランチの一角に野澤を起用。左SBには太田が帰ってきた。

 エンドを変えてのキックオフとなった。

 

前半~FWの立ち位置~

 前半の開始5分は、両者落ち着かない展開だったが、東京のサンダサ、前田の2トップがボールを収め始めると、次第に東京がペースを握り、9分にサンダサが倒れて得た、右サイドのFKを太田から森重であっさり先制。前節もセットプレーで知ってしているだけにいただけない失点だった。

 

 ゲームが次第に落ち着き始めると、ゲームの様相がハッキリとしてくる。両者とも一方がボールを持てば4-4のブロックを形成し、もう一方がボールを握る展開が続いていくが、ここで差が出たのが両チームのFWの守備の立ち位置だった。

 

FC東京の場合f:id:khigu:20191217220110p:plain

仙台の場合f:id:khigu:20191217220142p:plain

 東京の場合は、FWは相手がCBに持っているときは、CBに対して常にプレスを行ける距離を保って立ち位置を取っていた。一方の仙台は夏場対策なのかもしれないが、全体が後ろに下がっているためFWも下がらざるを得なくなり、FWはボランチのパスコースを遮断する立ち位置だった。

 ここで違いが出てくるのが、そのあとのプレー、東京はCBにも圧力をかけることで、CBからSBにボールが出た時に素早く羽生と三田がチェイシングを掛けれていたが、仙台はCBをフリーにさせているので好き勝手にボールを前進させてしまうことになった。このCB放置は戦術上の問題であったかはわからないが、CBが森重と丸山というボールを持てる2人だったので、正直厳しかった。2失点目もフリーで森重にロングフィードを蹴らせているところから始まっていた。

 

 その後は東京が2点リードしたことで、無理に前から行くことも減り、仙台が縦パスをようやく通せるようになっていく時間帯がやってくる。ただ、東京も森重、丸山、野澤、米本の中央のブロックが堅いのでなかなか崩せない。

 仙台は前半のスタートから2トップがサイドに流れて受けてしまう傾向にあったため、クロスに持ち込んだり、クロスを上げれるといった状況でもポイントがいない状態が続いていた。この時間あたりからようやくFWが中央に位置し始めたことでだいぶ攻撃が整理されてきた。しかしその矢先に鎌田がセカンドボールをミスして前田の餌食になり3失点目。

 前半だけで3失点するという辛い内容で前半を折り返した。

 

後半~自分たちとの戦い~

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 前半に3失点してしまった仙台。ここからは自分たちとの戦いでもある。自分たちのプライド、応援してくれるサポーターのために後半45分を戦う。

 後半スタート時にケガの渡部に代わって二見、ハモンに代わって奥埜の2枚代えを行った。

 後半の入りから捨て身の攻撃で東京ゴールへ迫る。奥埜が入ったことで前線に流動性が生まれ、また奥埜が守備でも走ってくれるので前半よりもセカンドボールを奪える回数であったり、敵陣で奪える回数は増えていった。

 しかし崩せない。東京も3点取っていることで、うまくゲームをセーブしながら、あとはカウンターでもう1点決めれればという狙いだった。後半の早い段階で石川直宏を投入し、カウンターの鋭さアップ+前線でのチェイシングの役目をこなしていた。

 

 仙台は、自分たちによってボールを簡単に失うことが目立っていった。そうなると東京が後ろを使いながらゆっくりボールを運ぶ。東京が後ろでボールを回しているのに対し、プレスを掛けないと取りに行けないので、プレスに行く、そしてはがされるみたいな流れがずっと続いていた。ボールを動かすことで相手の体力を削ぎ落すという方法。

 それでも68分に富田の縦パスにボランチの間で受けた金久保がターンして、エリア外から決め1点を返す。野沢投入からまた少しずつボールを回せるようになっていた時間帯での得点だった。

 しかし早い段階で3枚のカードを切った仙台、75分以降は完全に足が止まり、攻撃にも厚みがなくなっていった。

 

 東京は反対に橋本、松田陸を投入し、しっかりクローズ。集中力が高く、メリハリの効いた守備で仙台をしっかり抑えた。

 1-3で敗れ、未だ勝ち星から遠い仙台であった。

 

最後に・・・

 勝てない夏である。あゝ、無情。。前半3失点は苦しい。1失点目は太田のキックが素晴らしかったが、2,3点目は鎌田のミスであり、とくに3点目は攻撃に流れが傾きかけたところで水を差すようなミスだった。

 うまくいかない時なぞこんなもんで、我慢しなければならない。ここで中断期間に入るのはとてもラッキーとだと思う。もう一回原点に立ち返って、やるべきことを明確にすることが大事になってくる。

 ただ、今節も相手が自陣にブロックを形成された時の崩しに課題を残した感はある。仙台のボール回しにおける横のボール回しにリズムがなく単調。あくまでも縦パスを入れるための横パスなので、もっと工夫が必要である。ただ、ボールを大きく動かしてブロックを揺さぶろうという狙いは見えてきているので、そこは継続したいところである。

 

 次はホームで松本山雅。東京よりもっと癖のある相手で、今節同様、ボールを持つ時間が長くなりそうなので、いかに賢く崩していくか、焦れずにやれるかがポイントになりそう。次こそ勝てるように粘り強いサッカーを見せてもらいたい。