ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

勝つことの大事さ~J1 1stステージ第14節 ヴィッセル神戸vsベガルタ仙台~

 新潟に勝利したものの、前節のホーム・甲府戦で敗戦を喫してしまった仙台。仕切り直しの今節はアウェイでの神戸戦。

スタメン

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 神戸は前節、山形に勝利。メンバーはフェフージンに代わってペドロ・ジュニオール。また岩波ではなく、高橋祥平。一方の仙台、CBコンビが渡部と石川、左SBに二見。ミッドウィークの山形戦で負傷した奥埜に代わり野沢で、出場停止明けのリャンが先発復帰となった。

 

前半~ボランチ誰が見るの問題~

 スタートからイケイケなのは神戸。ミッドウィークにナビスコで清水に負け、相当ネルシーニョに喝を入れられた模様。相手にセカンドボールを与えず、5分には渡邉千真が1対1を作るところまで行った。

 スタート時から、神戸の勢いに飲みこまれ、浮足立ってしまった仙台。さっそく問題が発生する。「ボランチ誰が見るの問題」である。f:id:khigu:20191217213805p:plain

 仙台はおなじみ4-4のブロックで神戸の攻撃に対応。この時に問題になるのは1列目と2列目の間は誰が見るの?ということ。神戸のシステムが3-4-2-1なので、この間に位置するのはボランチ森岡チョン・ウヨン。この2人が神戸のさばき役なのだが、仙台はこの2人をどう見るのかが曖昧だった。時には金園が下がって対応したり、時にはボランチが出てきて対応するなど、その場しのぎの対応がけっこう見られた。おかげで、マークが曖昧になるとリャンまでもが絞って対応して、その空いたスペースに出されて、奥井と菅井の1対1が繰り広げられる場面があった。仙台は「ボランチ誰が見るの問題」で手を焼き、神戸に主導権を握られることになってしまった。

 もう1つは神戸の前プレ。f:id:khigu:20191217213843p:plain

 図通りになる場面は少なかったが、神戸は前節対戦した甲府とは打って変わって、前からボールを奪いに来た。その象徴に小川とペドロ・ジュニオールがCBとSBの間に牽制をかけて、ボランチも富田、ミンテに対して激しくいくシーンが何度も見られた。これが神戸の狙いだと思う。実際に奪ってからのショートカウンターから何回かチャンスを作っていた。流れは神戸。

 しかし先制は仙台。34分にウイルソンが右サイドからアーリークロスをあげると金園が収めて、ブエノのマークをかわし、ニアを突き破った。事はうまく運べていなかったが、少ない好機で先制した。

 その後、FWまで下がって、全員守備。頑張りすぎたウイルソンが左のハムストリング?を痛めアウト。変わってハモンを投入という痛手もあったが、何とか凌いで折り返す。

 

後半~2つの顔~

 まずは前半の守備を修正したい仙台は、後半に守備に2つの顔を見せた。f:id:khigu:20191217213925p:plain

 まず1つは前半にも見えた形だったが、神戸が後ろからビルドアップする際、2トップはボランチへのパスコースを切り、ブエノか高橋祥平にボールが渡るとSHがプレスを駆けに行く。こうすることで、やられていたサイドへのパスコースを消すとともに、あまりビルドアップに自信のない神戸の3バックに圧を掛けながら前へ運ばせないことに成功した。

 

 また仙台はもう1つの守備のやり方も見せている。f:id:khigu:20191217213951p:plain

 もし、前に運ばれた場合はまずは自陣撤退。2トップはボランチの位置まで下がるようにし、神戸のボールの経由点へのプレッシャーの掛け方をハッキリさせた。

 前半よりもサイドで1対1を作られる場面も少なくなり、より上手に守れるようになった。

 しかし、それでも神戸はペナに侵入し、危ない場面を迎えることとなる。仙台はもともとの強さである、粘り強さで対抗。少ないチャンスを生かそうという狙いへ完全にシフトチェンジした。

 神戸は石津、フェフージンを投入し、システムも4-3-3へ変更。仙台の守備をこじ開けようとするも石津のシュートもチョン・ウヨンのFKもバーに直撃。

 仙台は金園が負傷で藤村を投入する展開になるも、残りの時間も11人が集中した守りを披露し、虎の子の1点を守り切り1-0で勝利し、順位も11位に浮上した。

 

最後に・・・

 内容は決していいものではなかったが、ハーフタイムでの修正が功を奏し、守り切ることができた。柏戦、マリノス戦と終了間際に失点し、悔しいドローがあったので、チームは今回の勝利で1つまたハードルを越えた気がする。

 それにこの試合の最も大きな収穫は二見、藤村といったここまでなかなか出場に恵まれず、もがいていた若手がこうやって無失点で逃げ切ることに貢献したことではないだろうか。特に二見は、守備の粗さが目立ち、なかなか出番が回ってこなかったが、水曜の山形戦、今回の神戸戦と粘り強い守備ができ、我慢できるようになってきた。藤村も金園の負傷による緊急出場だったが、懸命に前線から追い、時には全力でプレスバックしカウンターの芽を摘み取りチームに貢献できた。

 チームとしては満足いくものではなかったかもしれないが、こうやって若手が勝利に貢献することで成功体験を得ることが出来て、今回の勝利の意味は十分にあったと個人的には思う。

 

 次は鳥栖。1stステージも残り3試合となったが、次勝てばまた1桁順位も見えてくる。1stステージを上位で終われるか下位で終わってしまうのかの分水嶺となるゲームであると個人的には思う。この試合が1stステージにおいて1番重要なゲームになるだろう。そんなゲームで勝つことができるのか、チームの力が試される試合になりそうだ。