ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

あと2,3歩~J1 1stステージ 第8節 ベガルタ仙台vs鹿島アントラーズ~

 前節、松本に敗れ、連敗を喫してしまった仙台。GW連戦となる今節は、同じく前節敗れた鹿島をホームに迎えての試合となった。

スタメン

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 仙台は前節太もも裏に違和感があったウイルソンが先発復帰。残りは変わらず。

 一方鹿島は、金崎が出場停止で代わりに高崎。小笠原もケガから復帰しスタメンに入った。

 

前半~奇襲~

 仙台は今回、スタートから守備時のシステムを4141にして挑んだ。f:id:khigu:20190813205827p:plain

 というのも鹿島の中盤は三角形なのと、ボランチが柴崎、小笠原のコンビであることが4141にした理由だろう。間を埋めてブロックを敷くより、マークを明確にし人に強く行くことのほうが鹿島をハメるにはいいという狙いだったのだろう。

 このやり方が前半は見事に決まった。高い位置からプレスをかけ、奪ったら多くの人数をかけて仕掛けていくことが出来ていた。また人を意識させたことで出足が早くなりチェックが前節よりも早くなっていった。

 また仙台がペースを握れたのは鹿島があまり準備をしていなかったことも影響しているのかもしれない。鹿島はCBがボールを持った時に預け場所のボランチに人が付いていたのでかなり迷っている様子だった。鹿島のCBはあまりビルドアップを得意としていないので相当混乱していた。工夫といえばせいぜい柴崎が下りてくるくらいで特別な工夫がなかった。

 ペースは仙台。幾多となくチャンスを作るが、決めきることが出来なかった。それでも仙台は野沢と茂木が外から内に絞ることで外を空けてそこにSBが押し込んでくるといった開幕戦当初の形が見えていた。シュートまで持っていくことは出来なかったが、徐々に形を作っていくことに成功していた。

 

 しかし、徐々に鹿島も仙台の守備を把握し始める。行動を起こしたのは土居と柴崎。土居が外に富田を引っ張るとそこに柴崎が入ってくる形が何回か出来てきた。柴崎もマークについている奥埜が深追いしてこないことに気付いたのだろう。徐々にアンカー脇、もしくは土居が明けたスペースに顔を出してくる回数が多くなってくる。

 というのも前の川崎戦の時に書いたが、仙台は各々のポジションを守りすぎて全くアンカーの富田を助けていないである。

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 通常であれば前の2人のどちらかが斜め落ちしバイタルをケアするのだが、仙台はそれが出来ていない。仙台は4141の時、人に対して強くなるもののスペースに対しての注意がその分失われる。よって川崎戦のような失点を食らうのである。ただ今回は失点つながるようなことはなかったので、ぼやけてはいたが・・・。

 ボールを握れていた仙台であったが、自分たちの時間帯で決めきれないと相手にもチャンスが来る。43分に鹿島がコーナーを獲得すると昌子に合わせられ、先制点を与えてしまった。今シーズン初のコーナーからの失点。決してあたりは強くなかったがコースがよかった。

 ということで鹿島リードで折り返す。

 

後半~落ち着きと焦り~

 前半に悪い流れの中でも先制点を取れた鹿島は、ハーフタイムに修正。守備のポジショニング、攻撃時の狙いどころを改めて確認して後半に挑んでいた。よって前半は落ち着きがなかったが、落ち着きを取り戻し、守備でも空いていたサイドのスペースが埋まるようになっていった。

 一方の仙台は、前半良かったので変えずに挑んだが、修正してきた鹿島相手に、うまく抑えられ、前半のようにはうまくいかなくなった。早めの時間帯に菅井を入れ、攻撃を活性化させようという狙いがあったが、あまり効果はなかった。

 鹿島は68分に富田のパスミスをかっさらったカイオが鎌田を振り切り2点目を決める。

 より落ち着いてゲームを進めれることができた鹿島に対して、仙台は金園を投入して、攻勢を強めようとする。しかし攻撃はちぐはぐなまま。全体的に焦りが見えてきたのか、無理な単騎プレスに終始してしまう場面やGKに向かって蹴ってしまうような可能性のないロングボールで自らの攻撃のターンを削っていってしまった。

 ロスタイムにセカンドボールを拾った金園が反転シュートを決め1点差に詰め寄るも万事休す。気づけば後半は鹿島ペースでゲームが進み、12で敗れ、3連敗となってしまった。

 

最後に・・・

 前節に比べれば、だいぶ良くはなった印象。ただ相手に読まれ始めると次の手がない。また前半あれだけ押し込んでもゴールまでの明確な形が見えてこない。もうあた2,3歩の成長が仙台には必要である。

 今の仙台に関していえば、自陣に撤退し、ロングカウンターで勝ち点を取っていくことなぞ簡単できる。だけどそれをあえてやっていないというのがここまでの仙台に対する印象。2節の柏戦と今節を比べれば、たぶん全体が前にポジショニングされている。堅守速攻からの脱皮を目指し、はや3年の月日が流れているが、まだまだ脱皮出来ていない。ただ、一昨年や去年よりかはまだマシ。狙いが明確な分、ゴールへ形が出来てくれば脱皮までの時間は早くなるはずだ。

 そんな壁にぶち当たっている仙台だが、そんな脱皮への道を進みつつも、再度仙台らしい我慢強い闘いを思い出してもらいたい。またすぐ土曜日に広島戦がある。我慢強く闘うこと、そしてチャレンジし続けることを忘れず次節も闘ってもらいたい。