ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

ながい1年を振り返って・・・

 気が付けば、また2週間ほどサボっていたこのブログ。。今日は前回の記事の最後に書いたように今シーズンのベガルタ仙台を振り返ろうと思います。ブログをさぼっていた間に移籍市場も動き出し、仙台からも出ていく選手、復帰する選手、新しく加入する選手の情報がちらほらリリースされるようになってきた今日この頃ですが、それは今回は1回置いといて純粋に2014年シーズンを振り返ってみようと思います。

シーズンのおさらい

 まずは今シーズンを3月からダラダラ振り返ることにしたい。仙台は、昨年まで6シーズン率いた手倉森誠前監督が五輪代表監督に就任することに伴い、新たにオーストラリア人監督である、グラハム・アーノルド氏(以下アーニー)を招へいした。オーストラリアでは実績十分の監督であり、代表監督も短期間であるが務め、決して悪くない人選であったと思う。しかし彼自身が初めて、海外での指揮を執るということ、仙台というクラブが長い間監督が変わってないことでうまく新しい指揮官になじめるかは不安要素はあった。今シーズンは残留争いをしてもまずはアーニーのスタイルに代えていくことが最もこの1年で大切なことになると思っていた。けど、やっぱり不安は的中する。開幕から6戦勝ちなしの状態が続き、勝ち点も思うように稼げず、順位も17位に低迷していた。アーニーは、堅守速攻という部分で言えば今までの仙台のサッカーのベースは変わってないが、中身はアーニー流になっていた。守備はコンパクトにラインは高め、前から行くときは行くがそうじゃない時は自陣に撤退。奪ったらカウンター狙いではあるが、ポゼッションも状況に応じで使い分けるといったことが簡単に言えば狙いだったと思う。しかし、これは聞こえはいいが、実際のところかなり選手は戸惑いながらやっていた。奪いに行っていいのか、自陣に撤退するのか、どこでハメて奪えばいいのかが曖昧で「組織ディフェンスもどき」になっていた。また攻撃もカウンターを第一に狙いたいが相手の寄せに負け、結局は繋ぐシーンが多かった。しかし、シュートまでのモデルケースがないのと、もともと技術がJ1でもないチームが繋ぐとどうもうまくボールが回らないのである。で、奪われ、カウンターのシーンが増えていった。最終的に連動性に欠け、バラバラな状態が開幕から6試合続いていった。しかし、これは監督の責任ではなく、監督といままでいた仙台の選手、スタッフ、フロントが一枚岩になれないことが一番の原因であることは間違えない。

 ということでフロントも苦渋の決断に出る。アーニーを事実上の解任にし、渡邉晋ヘッドコーチを監督に昇格させた。選手時代から長い間仙台に携わってきた渡邉氏こそ、この仙台史上最悪の状況下での適任だと個人的には思った。しかし、渡邉氏もS級を取ったばかりの新米監督なので不安は確かにあったのは本音である。しかし、就任初戦のマリノス戦で見事に20で勝利。手倉森時代からのサッカーに舵を戻し、選手も迷いが消え、ハッキリとしたサッカーが出来た。その後3戦勝ちなしだったがGW連戦の初戦の徳島に勝利すると神戸、C大阪、広島を撃破し4連勝を飾り、降格圏から脱出しW杯の中断期間に突入することになる。

 中断が明け、苦手な夏場に突入する。中断期間で渡邉氏のエッセンスも加え、次のステップへ進みたかったが思うように結果が出てこなかった。苦しい中でハモン、野沢、村上を補強(実際にはハモンは中断期間の間に補強)。ようやく20節の清水戦で勝利、この試合で上本が1年半ぶりに復帰した。しかしそのあとが続かなかった。21節の神戸戦から25節の鹿島戦まで5連敗を喫すことになる。このあたりから残留争いに巻き込まれていく。仙台は上本の復帰によりラインを高く保てるようになったが、それが裏目に出てしまい、高いラインの裏を突かれ全体がバランスを崩してしまうことになってしまったのが原因だと個人的には思う。暑い夏場でラインを高くし狭いエリアでサッカー出来ればいいが、裏を突かれることもデメリットとしてある。それに30前後の選手が多い仙台にとって、裏を突かれ戻らされることは非常につらいものがあった。

 そして26節の川崎戦で渡邉氏はラインを下げ、全員が自陣に引き、素早いカウンターというまさに仙台の原点に戻る決断に出る。この試合では11で引き分けたものの、この試合から仙台は上向きになる。次のF東京戦で勝利すると首位・浦和も撃破した。その後ウイルソンがいなくなったり、勝てなかったりでひやひやしたが、33節の徳島戦に勝ち無事に1試合残して残留を達成した。

 以前にも書いたが渡邉氏は仙台史上最も過酷なミッションをやり遂げた。シーズン途中で5連敗とつまづいたが、賢明な決断と、中盤ではリャンと野沢を併用することで中盤の保持力と判断力が上げた。守備面では不安もあったが野沢が想像以上に守備に力を注いでくれたことと富田の成長によってなんとかすることができた。何はともあれ来季も日本のトップリーグで闘えることを幸せに思う。

来季に思うこと

 ということで来季の話。仙台も高齢化が進み、世代交代が謳われているが、それと同時に主力もいくらか抜け、来季は今シーズン以上の苦難が待っていると思う。とにかく来年も渡邉監督のもと仙台は闘うことになるが、最終戦のセレモニーで社長も監督も上位を狙いたいといっていたが、実際は来季も下手をすると今シーズンみたいに残留争いに巻き込まれる可能性が十分にある。まぁ当の本人たちも赤字が出たわけだし、それはわかっているのかもしれないが・・・。とにかくクラブには再度中長期的なビジョンを打ち出してほしい。何年でACL、そして優勝争いにもう1回絡めるチームに作り上げるのか、それは3年なのか、5年なのか、ユースの強化はどうするか、観客増員するためにどうするかなどなど。クラブはビジョンをハッキリしそれをサポーター、スポンサーに提示していくべきだと思う。来季はまずはチームが強くなるための一歩目のシーズンだと信じ応援したい。

 そしてもう一つ、サッカー的なことを言えば、今シーズンのような90分以降の失点で勝ち点を失うゲームをまずはなくし、着実にポイントを稼ぐことが大事になっていく。まずは今シーズンの90分以降の失点(勝ち点を失ったもの)を見ていく。

第1節 新潟(12 90分:ホージェル

第16節 名古屋(33 90+2:レドミ)

第22節 横浜FM(12 90+3:下平)

第26節 川崎F(11 90:森島)

第30節 柏(12 90+2:レアンドロ

第32節 C大阪(33 90+3:カカウ

 とまぁ、これだけあるのである。ついでにタラレバだが、もしこのすべての試合で90分以降に失点しなかった場合の仙台の勝ち点は「47」。これは今シーズンの順位で言うと11位の成績になる(名古屋が48で10位、神戸が45で11位)。こんなことを言っても後の祭りではあるが実はしっかり稼げば残留争いなんぞに巻き込まれなかったのである。仙台はまだまだポテンシャルのあるチームだと思う。来季はまずこういう悔しい思いを絶対にしないことが重要になってくる。全体的な改革も重要だが、現実的にできることもやっていく必要がある。もう1回仙台が上位に食い込めるようになるには、あの我慢強く、しぶとい守備と多くの選手のが絡んでいく迫力満点のカウンターがまずは必要になってくると個人的には思う、それにポゼッションも加えられればなおよろしいが。とにかく来季の焦点は若返りと今シーズンの反省点をしっかり生かして闘うということになってくると思う。来季も思うようなシーズンにならないかもしれないが、渡邉監督筆頭に頑張って闘っているチームを応援していきたい!!