ヒグのサッカー分析ブログ

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誇り~J1第33節ベガルタ仙台vs徳島ヴォルティス~

 いよいよラスト2試合になったJ1。優勝争いも残留争いも大詰めのなか、仙台は今節での残留を懸け、ホームに徳島を迎え撃つこととなった。仙台が今節での残留を決めるには仙台の勝利または引き分けと大宮の負けという条件が必要だった。

 結果、仙台は2-1で勝利しホーム最終戦を飾ると共に、大宮が名古屋に敗れたため、今節での残留が決定。とりあえず、ホッとしたというのが個人的な率直な感情である。

 

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 仙台のスタメンはCBを上本から角田に変更、また今週中のトレーニングで負傷したウイルソンに代わり武藤が起用された。一方の徳島は前節からアレックスに代え那須川を左WBで起用した。

 

 今節もアウェイである徳島がコイントスでエンドを変え、試合が始まった。ゲームは前節同様すぐに動いた。徳島がプレスを駆けきれていない状況を見逃さず、リャンからバイタルの武藤へ、武藤は左にいた野沢へ出すと、野沢は左サイドをえぐり低いクロスを上げる。一旦ははじかれるものの再度、武藤が低いボールを入れると、最後は太田がニアでプッシュし先制する。前節同様、サポーター側に攻める仙台が先制する。

 仙台はその後、前節のように奪ったら勢いよく攻めるのではなく、しっかり守りながらシンプルな攻撃を徹底していた。前節は前半からエンジン全開でプレーしていて後半に疲弊し押し込まれるシーンが連続したのをしっかり反省していた。少ない人数ながら確実にシュートまで持っていく場面が増え、自分たちでしっかりゲームをコントロールしていた。また徳島は低い位置でブロックを形成するため、あまり無理に奪いに来ないので仙台もリャンや野沢は経由しながら落ち着いた時間も過ごすことができた。前半は徳島に危ない場面を何度か作られるものの関や鎌田、角田を中心に最後のところはしっかり締めていた。前半は早々にゲームが動くも仙台が確実にゲームを運び、10で折り返す。

 

 後半も前半同様に仙台が確実にゲームコントロールしていた印象だった。徳島はボールを持ち攻め込む時間が増えたが仙台は落ち着て守りを固め、奪ったらカウンターで持っていくという展開が続く。そんな中、58分、仙台がボールを持つと右サイドでゆっくり繋ぎ、菅井が中央の富田にパス、富田が中央に顔を出した野沢に縦パスを送り、野沢がヒールで流すとその間に上がってきた菅井が再度DFの裏で受け、最後はキーパーをかわしてゴールに流し込み点差を2点に広げた。まさに菅井の必殺技がさく裂した菅井らしいゴールだったし、それにしっかり気づいた野沢も素晴らしいプレーだった。その後、徳島も高崎を投入し攻勢を強めると、77分に右サイドで得たFKを左利きの那須川が蹴るとニアで橋内が合わせ1点差に詰め寄る。徳島はアドリアーノも投入しFWを3枚にしパワープレーに出る。仙台も上本を投入し高さ対策をし、対抗する。最後はハラハラ、ドキドキな展開で仙台が徳島のパワープレーをなんとか跳ね返す時間が続いた。そしてアディショナルタイム3分も無事にしのぎ切り勝ち点3を獲得。大宮が敗れたため仙台の残留が決定した。

 

 ゲーム内容はここ近年の仙台を象徴するかのような展開だった。途中までのゲームコントロールはいいものの1点余計に失点し、最後は相手の攻勢を何とか跳ね返す心臓に悪い展開にしてしまった。まぁ、それも仙台らしいといえばそれまでだが・・・(笑)

 とりあえず残留したことを素直に喜びたい。リーグ序盤、アーノルド氏のやり方がハマらず、まさに絶望的だった状況だったことを考えれば1試合残しての残留はよくやったと思う。この状況で責任をもってこの仙台史上最も最難関なタスクを果たしてくれた渡邉監督は新米監督ながらよく頑張った。素晴らしいの一言に尽きる。そして選手たちも、スタメンで出ている選手の多くが全盛期を過ぎ、30代に突入し選手として円熟期に入りつつある中で、最後まで泥臭くチームのために闘ってくれた。そんな監督、選手、スタッフを誇りに思う。今シーズンは決して目指していた結果ではなかったものの、それでも今シーズンはJ1に上がって1番プロとしての姿が見れた気がする。それは逆に30代の選手が多くいたからかもしれない。さまざまな経験をし、自分が何をしなければならないのかよくわかっている人間が多くいたからこそのここまで復活なのかもしれない。本当に素晴らしい選手と監督、スタッフがこのチームにいるものだと改めて幸せに思う。

 そんなこんなで残りは1試合、アウェイ・広島戦。残留も決まり、こういうときは一昨年の最終節のようにモチベーションが低下し、緊張感が緩むことで大敗を喫してしまうこともあるが、「プロ」として今シーズンの最後まで走り抜いてもらいたい!!