ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

J1第19節 ヴァンフォーレ甲府vsベガルタ仙台

 中断明け、互いに3分1敗と負けてはいないが、勝つことが出来ずも下位でがき苦しんでいる両者の対戦。城福監督の言うとおり、自分たちの今後の立ち位置を決めるであろう重要な一戦となった。が、互いにリーグでもゴール数が少ないチームだけあって、決定機はあったものの決めることが出来ずスコアレスドローなり、両者勝ち点1を分け合う結果となった。

 

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  甲府は前節からケガのマルキーニョス・パラナに代わり出場停止明けの石原を起用し、新井と稲垣のダブルボランチにした。一方の仙台はケガのウイルソンに代わり武藤が先発。それ以外は変更なしだが、ベンチにはこの夏に補強した村上、ハモン、野沢がベンチ入りした。

 

 試合の入りは甲府がボールを握る展開が5分だけ続くが6分の仙台のセットプレーで惜しい場面を作ると仙台が徐々にボールを持ち始めるようになる。甲府甲府であせらず、まずはブロックを作って前線のクリスティアーノジウシーニョに収めさせようとするが仙台がセカンドボールを拾い続け、なかなか甲府はカウンターが発動できない状況が続く。

 ということで仙台はボールを保持し続けるのだが、今節の仙台の攻撃の意図はというと・・・

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 まず、甲府は541で守備ブロックを形成する。2シャドウがサイドに広がり、SBのケアに行く。この守備ブロックのやり方は浦和、広島、W杯で言えばコスタリカやオランダがやっていたが、甲府も昨シーズンからこの方法を採用している。今回の仙台のような442でやってくるチームには後ろは5枚だし、中盤も数的同数なので守備がしやすいのだが、仙台はポゼッション時にリャンが相手ボランチの間にポジショニングをすることで甲府ボランチが仙台のボランチに対してアプローチをかけることを牽制させた。おかげで仙台のボランチは多くの時間をプレッシャーを感じずにボールを持てたし、縦パスを入れることが出来た。甲府クリスティアーノと後ろが間延びをしてしまい、どうしてもセカンドボールを拾えづらい状況になってしまった。

 しかし、仙台は相変わらず、シュートへは持っていけず、甲府もしっかり守れば問題にないと感じ始め、仙台のやり方に慣れていく。甲府はカウンターが徐々に発動し始め、決定機を作るものの関の好セーブもあり、0-0のまま折り返す。

 

 後半は、甲府がケガで阿部拓馬から盛田へ変更。これで不幸中の幸いか甲府が攻めれるようになる。盛田が1トップになり前線にポイントが出来たこととクリスティアーノが1枚下り、前を向いてプレーできることで甲府の攻撃は活性化した。仙台も集中力の高い守備で対抗し、セットプレーやカウンターからチャンスを作り出す。しかし、徐々に2トップに収まりが効かなくなり、我慢の時間帯が続く。そして、柳沢、野沢、ハモンを投入して流れを呼び込もうとした。実際、何個か決定機が出来てくる。野沢のミドル、コーナーから角田のヘディング、野沢から柳沢のヘディングと、チャンスはあるもの決め切れなかった。それ同様に甲府も決定機はあったが、ネットを揺らすことなく、試合はスコアレスで終えた。

 

 90分通して、甲府も仙台も守備面ではやりたいことは出来ていたように思える。全員が共通の意識を持ってプレーしたのを感じた。特に仙台はここ最近失点が多く、守備の改善は急務だったので一定の収穫は得られたと思う。しかし、甲府はそこまで攻撃のクオリティが高いチームではないのでさらにクオリティが高いチームとやったときに同じようなことを継続してやれるか大事になってくるだろう。

 一方の攻撃面では互いに課題を残すこととなった。甲府も仙台もチャンスがあっただけに決め切れなかった。やはり最後の希薄だったり、勇気を出してチャレンジしていくことが重要なのかなと思う。甲府に関してはクリスティアーノは1トップよりもシャドウのポジションのほうが力を発揮すると思う。おそらく守備のことを考えての1トップの起用だと思うが、点を取りたいのならばクリスティアーノは前を向けるポジションで使うべきだろう。仙台は野沢とハモンがデビューし、いくらかいい場面はあった。特に野沢に関しては早い段階でフィットできそうな感じであった。彼らがうまくハマり始めれば攻撃のバリエーションも増え、ゴールも決めていけるだろう。

 守備では一定の収穫が得られたが攻撃ではまだまだ課題が残る両者。今後、上の順位を目指すためにさらなる進化が必要である。