ヒグのサッカー分析ブログ

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ザックジャパンの終焉 W杯 グループC第3節 日本vsコロンビア

 勝ちが絶対条件となり、勝ったとしてもギリシャvsコートジボワールの結果次第でないと決勝トーナメントへ進めなくなった日本代表。最後の相手はすでに次のラウンドへ進むことが決まっているコロンビアだった。

 しかし、結果は14の惨敗。8年前のドイツ大会を思い出させる内容でブラジルを去ることになった。今回はこの試合の感想と、ザックとともに歩んだ4年間について自分なりに書きたいと思う。

 

コロンビア戦

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 日本はスタートから青山と大久保のワントップを採用。一方のコロンビアは決勝トーナメント進出を決めたこともあり、8人のメンバーを変えてこの試合へ挑んだ。

 前半早々からエンジン全開で攻める日本だった。ここ2試合とは違うパワーを感じた。一方のコロンビアは冷静にカウンターを狙う形となった。日本は幾度となく攻めるが、相手も日本が使いたいスペースを消しながら上手に守り、シンプルにカウンターでチャンスを作っていた。そして18分にコロンビアがPKで先制する。その後も展開としては変わらないものの日本は、岡崎や大久保が果敢に裏を狙うことでチャンスが増えてった。そして終了間際の45+2分に内田が長い距離をドリブルし、右サイドの本田にパス、そして本田のクロスから岡崎がらしいヘディングシュートを決め、同点にする。ちょうど、前半終了してギリシャコートジボワールギリシャリードで折り返していたので、日本がもう1点決めれば次へ進める展開となり、希望が持てる展開となっていた。

 後半、コロンビアはスタートから今大会絶好調のハメス・ロドリゲスを投入する。ぺケルマンは前半に追いつかれたものの彼を投入すれば問題なく点が取れると思ったのだろう。現に日本は攻めに出ていたので、後ろは無防備で中盤はスカスカだった。そして、しっかりと結果になる。55分にロドリゲスがPA内に侵入すると日本のマークがズレ、最後はマルティネスを決め勝ち越す。その後日本は果敢に攻めるが得点に結びつくことはなかった。そして攻め疲れした日本はコロンビアのカウンターを浴び、マルティネス、ロドリゲスが追加点を決め14というスコアで終了した。

 ゲームを通じてやはりコロンビアが1枚も2枚も上手だと痛感した内容だった。選手層もそうだがゲームコントロールを含め、本気で上を目指すチームとの差は明らかだった。日本も最後まで自分たちのサッカーをしようと頑張ったが点に結びつくことはなかった。非常に悔しいが日本のブラジルでの冒険はここで終わることとなった。

 

ザックと歩んだ4年

 今朝、ザッケローニ氏が今大会限りでの辞任を表明した。まずは日本代表が強くなるために尽力し、未曾有の震災があったにも関わらず最後まで指揮を執ったザッケローニ氏に感謝と敬意を表したい。

 この4年間の集大成であるワールドカップがこのような結果になり、非常に悔しかった。特に今大会のメンバーは史上最強であったのだし。ただ、個人的にはこの4年間でやってきたアプローチの仕方が決して間違ってはいないと思う。攻撃的なサッカーを展開し、守備になったら素早い切替えで高い位置でボールを奪い、多くの選手が絡んでゴールを目指すというサッカーは非常にワクワクしたし面白かった。確かに日本らしいサッカーであるといえると思う。

 ただし、誤算があるとしたならばこのサッカーを世界の舞台で展開できるほどの能力にまでレベルアップできなかったことだ。世界が相手になるとどうしても自分たちが主導権を握ってサッカーをすることができなかった。かと言って、プランB,Cを持っているわけでもなかった。ひたすら自分たちのサッカーをやろうと固執してしまった結果が今大会の予選敗退の一番の原因であると思う。

 自分たちがやりたいサッカーを持つことはとても大事だが、勝負に勝つためにはそれだけではいけないのだ。特に日本のようなまだまだ伸びしろがあるチームには勝つための「知恵」が必要だった。特に守備面にもう少し手間をかけてもよかった気がする。

 コートジボワール戦のようになかなかボールが持てない時間帯に我慢してブロックを組んで守ったりすることができれば、どの試合でも十分に勝つチャンスがあったと思う。サッカーは必ず自分たちの時間帯があれば相手の時間帯もある。相手の時間帯になったときいかに我慢できるかが勝負の分かれ目である。サッカーは我慢のスポーツである。

 また、試合の中で流れを読める選手はどれくらいいただろうか?どの選手もボールを持ったらとにかく前に前にで簡単なボールロストが目立った。遠藤がピッチにいたらもう少し冷静にゲームを運べたが、遠藤がいない時間が今大会は多かったため、全体的に前に前にとなってしまった。試合の流れを読みながらプレーすることは大事で相手の流れなのに無理に攻めようとしたらどうしてもバランスを崩してしまう。そうならないようにまず奪ったら確実に自分たちのボールにし、相手の流れを断ち切ることが大事である。遠藤がいない時に本田や長谷部、香川あたりにやってもらいたかったのだが・・・。

 個人的には今述べたことを実践できる監督に就任してもらいたい。ここまでザックが積み上げた攻撃のクオリティを確実にそして最大限発揮できる守備が必要である。この4年間でやってきたことは無駄ではない、むしろプラスの要素のほうが大きい。方向性は間違っていないのである。あとはそれを最大限世界で発揮するための「知恵」が欲しいのだ。

 とにかく、日本に世界の列強から点が取れるほどの攻撃力を身につけさせてもらったザッケローニ氏に本当の心から感謝したい。次なるザッケローニ氏の活躍を願っています。