ヒグのサッカー分析ブログ

ベガルタ仙台の試合分析が中心です。

Don't stop me now~明治安田生命J1第11節 ベガルタ仙台vsサンフレッチェ広島~

  さて、今回はサンフレッチェ広島戦を振り返ります。関のためにも勝利したい一戦。

↓前節のレビューはこちら

khigu-soccer.hatenablog.com

 

スタメン

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 ベガルタ仙台は、前節・川崎フロンターレ戦から富田に代わって椎橋が起用された。それ以外は変更点なし。水曜日のルヴァンカップFC東京戦での疲労を考慮してかベンチメンバーは多少入れ替えた。

 一方のサンフレッチェ広島も、前節・横浜Fマリノス戦から野津田に代わってドウグラスヴィエイラが起用された。それ以外は変更点なし。

 なかなか勝点を積み上げられない仙台と3連敗中の広島。両チームともに浮上のきっかけを掴みたい試合となった。

 

前半

(1)仙台が狙いとしていたこと

 試合は開始早々に動く。最初のチャンスを活かすことができた広島。柏のアーリークロスからドウグラスヴィエイラで先制点を奪う。

 開始2分という早い時間帯だったが、仙台は広島の蹴り合いに付き合ってしまった形となった。それ故に秩序のないところからチャンスが生まれた。

 

 開始早々に余計な失点を喫した仙台だったが、その後は気を取り直して、この試合で狙いとしていることを実行し始める。

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 今シーズンの広島は、ボール非保持の局面に力を入れている。今シーズンはシステムを3-4-2-1にし、堅固なブロックと昨シーズンまで軸となっていた前からのプレッシングをうまく織り交ぜたチームを目指している。

 イメージとしては城福監督がヴァンフォーレ甲府時代に築き上げた堅い守備と去年までの前プレをミックスさせたチームというところだろうか。

 仙台としては、この広島の守備をどう攻略するかがテーマの試合となる。

 

 広島は先制点を奪ったことで、無理に前から出ずに後ろで構えながら、機を見れば前プレを発動させていた。

 そんな広島に対して仙台は、広島のボランチ脇にサイドハーフ(崇兆と海夏)をポジショニングさせ、そこにボールを通すことでブロック内(バイタルエリア)へ侵入し、2トップとのコンビネーションからの崩しを目指した。

 またポジティブトランジション(守備から攻撃への切り替え)時にも、サイドハーフは意識的にこのボランチ脇にポジショニングし、ボール受けることでカウンターの起点ともなっていた。

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 また、それに加えて右サイドでは、海夏がサイドへ流れて中央へのパスコースを確保し、蜂須賀がジャーメインへ縦パスを通すようなコンビネーションも見られた。

 しかし、広島の堅固な3バックをなかなか崩せないし、広島の守備も慌てない。バイタルエリアに侵入できても、最後の牙城を崩しきれなかった前半の仙台であった。

 

 攻撃では広島の牙城を崩しきれない仙台だったが、この立ち位置での攻撃ができていたことで、もう1つの恩恵を受けることができていた。それはネガティブトランジション(攻撃から守備への切り替え)だった。

 ボールをバイタルエリアに入れるメリットは、相手にとって嫌なところへ侵入できることだけではなく、狭いエリアにボールが入ることで、奪われてもすぐに切り替えてボールを奪い返せることがある。

 この試合の仙台は中央にボールが入るので、牙城は崩せなくても、その後に素早い切り替えからボールを奪い返し、二次攻撃、三次攻撃へと繋げられることができていた。

 10分に蜂須賀が高い位置でボールを奪い返してジャーメインとのパス交換から惜しいシュートを放っているが、まさにあれが象徴的で、この試合ではネガティブトランジション時にボールを奪い返すことができていたのは非常に良かった。

 

(2)ボール保持の時間を長くしたい広島

 試合早々に得点が動いた後はボールを持つ仙台、ブロックを組む広島の時間が長く続いた。

 しかし、広島もボールを持たれてばっかりでは疲弊してしまう。ということで、ボールを保持できる時間があれば、保持してそこから攻撃へと繋げていきたい姿勢を見せる。

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 広島のボール保持は3-4-3。システムを可変させずにボールを持つ姿勢を見せる。

 一方、広島のボール保持に対して仙台は、人を基準として守備を行う。広島のビルドアップ隊3枚に対しては2トップと海夏が縦スライドで同数に。サロモンソンに対しては崇兆が付いていくことが多かった。

 上図のようなきれいな形ではないが、疑似5バックっぽい振る舞いを見せていた仙台。誰が誰を見るかをハッキリすることで、システムのズレをなくすことに成功した。

 

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 そんな仙台に対して広島が変化を加えてくる。まさかのミシャ式だ。広島がミシャ式をやるというのはなんだか感慨深いものだ。

 広島の狙いは中央の吉野、稲垣、川辺の3人と2トップで3対2の局面を作り、仙台の前プレを抑制させ、かつ押し込んでボールを保持したかったからだと考えている。

 押し込むことに成功した広島だったが、可変を行ったことで仙台としては噛み合わせが良くなり、結果的に守備がしやすくなった。前プレの勢いはなくなったものの、海夏も崇兆も無駄に走ることがなくなり、後方が落ち着いて広島の攻撃に対応したことで危ない場面を招くことはなかった。

 

 前半は開始早々の余計な失点はあったものの、準備してきたものを表現できた前半だったと思う。後半はそれをどう結果へと結びつけるかというテーマになる仙台だった。0-1で後半へと向かう。

 

後半

(1)追加点を奪いたい広島

 後半は、前半とは打って変わって広島が攻勢に出る展開から始まった。

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 追加点を奪って、試合も自分たちも楽にしたい広島。前半のミシャ式はやめて再び3-4-3のボール保持からの攻撃、そして得点を目指す。

 後半は3バックが早いタイミングでウイングバックに配給し、サイドからウイングバックボランチ、シャドー、状況に応じてドウグラスヴィエイラも加わり、ユニットで仙台の守備を崩しに掛かっていった。特に右サイドからの攻撃は迫力があり、見事なペナ角攻略からサロモンソンの決定機を作っていたりした。

 決定機を数多く作り出した広島だったが、仙台もジョンヤや常田を中心に体を張ってゴールを割らせない。52分のドウグラスヴィエイラの千載一遇のチャンスは、残念そこはシュミットダニエルで防いだ。

 

(2)カウンターからの好機とボール保持の修正

 後半の仙台は守備の時間が長くなっていったが、カウンターから好機を見出すことができた。

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 広島のウイングバックが攻め上がった裏のスペースを有効利用することができた。特に左サイドでは、ハモンが1対1の状況で相手を抜いて決定機を作り出すことができていた。

 守備だけになってしまっていたら厳しい状況になっていたが、幸いカウンターからチャンスを作ることができていたので、守備で耐えることもできていた。

 

 そして時間の経過とともに、再び仙台がボールを持つ時間が増えていく。

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 後半の仙台のボール保持時は、上図のようにビルドアップ隊がひし形になっていた。前半では、ひし形になっていたり、正方形になっていたりとさまざまな形をしていたが、後半はより相手を押し込むためにひし形の形に固定されていた。

 またアンカー的な位置になる椎橋は、中盤の中央で軸になるというよりも、フリーマンとしてあらゆるところに顔を出して、ボールを受けていた印象だった。広島の守備の形と相まって自由に動くことができた椎橋だった。

 

(3)現れた微小なズレ、それを見逃さなかった渡邉監督

 再び仙台がボールを握る時間が長くなった後半。城福監督としては、このまま耐えきれるかどうか悩んでいたはずだ。

 そして城福監督の出した答えは、もう一度前から行くことで全体を押し上げ、仙台に自由にボールを握らせないということだった。

 ということで、前線の選手を交代し守備の強度を上げる。ドウグラスヴィエイラから野津田、足の攣った柴崎に代えてパトリックを投入する。

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 しかし、結果的にこれが悪手となってしまった。野津田投入後は前プレを行う広島だったが、野津田が守備のスイッチを入れても、後方がプレスに行く距離が長く、ボールホルダーに対して遅れていくこととなり、それがプレスの連動性を欠くこととなった。

 そして最終的にウイングバックの裏のスペースが空き、そこに仙台のサイドハーフフォワードの選手が潜り込むことができるようになった。

 

 これを見逃さなかった渡邉監督。ここぞのところで兵藤を海夏に代えて投入し、勝負に出る。

 そして、それが結果としてつながる。86分。

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 この場面は、広島がブロックを組んでいるシーンだったが、蜂須賀にボールが渡ったときに、柏がプレスに行っている。前半ではあり得なかったシーンだ。前半であれば、シャドーがスライドして蜂須賀へ対応しているシーンだった。

 広島は前プレをすることを選択したことで、少しずつ選手の判断がズレていったのではないかと考えている。

 

 そして、蜂須賀のスルーパスウイングバックの裏に走り込んだ兵藤がマイナスの折り返し。これをハモンが決めて仙台が追いつく。

 

 こうなると活気づくユアテックスタジアム仙台。スタジアムの熱気とサポーターの後押し、関のためのというモチベーションが、試合終盤の疲れ切った選手たちのギアを上げた。

 パトリックに負けない常田。粘り強く突破する永戸。ハモンのプレスバック。崇兆の針の穴を通すようなパス。そして最後にみんなの思いが乗った松下の左足のシュートが、大迫の守るゴール右隅へと決まり、逆転。

 最後の最後に全員の力でユアスタの魔物を呼び出せた。最終盤の劇的な2ゴールで勝った仙台は3勝目を手にし、降格圏を脱した。

 

最後に・・・

 冷静に振り返れば、城福監督が決断した手が少しずつ悪手となり、それがこの劇的な勝利に繋がったのかなと思う。もし最後まで自陣で守られていたら、このような結果にはならなかったかもしれない。

 ただ、そんな広島にできた隙を見逃さなかった渡邉監督はお見事だったし、それにしっかり結果で答える兵藤も素晴らしい活躍だった。やはりあの交代が、このゲームを決めるポイントだったと思う。

 

 このまま波に乗りたい仙台。目指すは今シーズン初の連勝だ。次節と次々節は静岡連戦。ジュビロ磐田戦と清水エスパルス戦が待っている。順位の近い相手だけあって、より負けられない試合となる。

 この勝利で得た自信を確実なものとするために、連勝を期待したい!!

トライ&エラーを繰り返しながら~明治安田生命J1第10節 川崎フロンターレvsベガルタ仙台~

 さて、今回は川崎フロンターレ戦を振り返ります。令和最初の試合。

↓前節のレビューはこちら

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スタメン

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 前節・ガンバ大阪戦で勝利したベガルタ仙台は、メンバーとシステムともに変更なし。ガンバ大阪戦で得られた自信を王者にぶつける。

 一方の川崎フロンターレは、ケガ人が多く台所事情が厳しい。前節・ヴィッセル神戸戦からは3人の変更。センターバックのジェジエウ、トップ下の脇坂はリーグ戦初スタメンとなった。

 

前半

(1)守備基準点を狂わせる川崎のボール保持攻撃

 前半は、川崎が13分に小林のゴールで先制したこともあり、川崎がボールと主導権を握る展開が長く続いた内容だった。

 まずは、そんな川崎のボール保持について見ていくこととしたい。

 

 川崎のボール保持、特に後方からビルドアップしていく場面では各選手が臨機応変な立ち位置を取ることで、仙台の守備基準点を狂わせることに成功した。

 渡邉監督が試合後の会見で、前半から前線からもっとプレスに行きたかったが、それができなかったと語っていたが、それは仙台自身の問題も去ることながら、やはり川崎のボール保持の完成度が高いことにあったと思う。

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 主に上図の3パターンが多かったのだが、これ以外の変化もあり、一概には言えない。

 ただ共通して言えることは、川崎のセンターバックに対して仙台の2トップがプレスを掛けづらい、センターバックがよりフリーでボールを持てるように工夫されていたところだった。

 前節・ガンバ大阪戦での仙台もそうだが、ボール保持を安定させるためには、まず後方のセンターバックに時間とスペースがある状態にさせることが重要で、そこからボールを保持して相手を押し込めることができる。

 それをセンターバックだけではなくて、全体で行うことがとても重要だと考えている。そういう意味では、さまざまな形でボール保持を安定させる川崎はさすがの一言であった。

 

(2)「プラス1」を作り出す脇坂の動き

 仙台の守備が上手くハマらないもう1つの理由は、この試合がリーグ初スタメンだった脇坂の存在だった。

 (1)での後方からのビルドアップ時でもそうなのだが、脇坂は常にボールのあるエリアで頻繁に顔を出し、そのエリアで相手よりも1人多い状態を作り、数的優位から仙台の守備を崩していった。

 (1)での最たる例はパターン1のような、ボランチの位置まで降りてボールを受けるような動きだっただろう。

 

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 また川崎は、敵陣に侵入した際にペナルティエリアの角(ペナ角)から仙台のサイドバックセンターバックの間を突くことで、ペナルティエリアへと侵入していくシーンを幾多となく作っていったが、常にペナ角、ないしはボールサイドには脇坂がおり、その数的優位を活かして崩していくシーンが数多く見られた。

 初スタメンながら2アシストの活躍の脇坂。台所事情が苦しい川崎のなかで、台頭していく存在になるだろう。

 

(3)川崎の前プレに苦しみ続けた仙台

 一方の仙台。前半は川崎の攻撃にも苦しみ、川崎の前プレにも苦しんだ。

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 仙台のビルドアップは、前節同様にセンターバックボランチの4人を軸としたボックスビルドアップからの前進を試みた。

 対する川崎は、小林と脇坂が横並びになり、その後ろはダブルボランチが仙台のボックスビルドアップへとプレッシングしていく姿勢を見せた。

 特にボランチの田中碧は、仙台のダブルボランチの片方がセンターバック間に落ちても付いていくシーンがあり、川崎は前から行く姿勢を貫くことで、仙台のボール保持からの攻撃を阻害していった。

 

 仙台としては、その前プレを剥がして前進したかった。具体的に言えば、前プレを行う相手ボランチの脇や後ろのスペースを有効利用したかった。サイドハーフの2人にはボランチ脇でボールを受けることで、ビルドアップ隊を助けて欲しかったが、前半はその立ち位置を取ることができなかった。

 特に海夏は、サイドでボールを受けることが多くて、ブロック内で勇気を持って受けることが少なかったように思える。

 

 前半は、13分に小林のゴールを許すと、37分には長谷川に追加点を決められ0-2で折り返す。双方ともにショートカウンターからの得点だった。

 

後半

(1)勇気を持って前へ出る仙台

  前半は攻守ともに川崎にペースを握られた内容だったが、ハーフタイムを経た仙台は、勇気を持って前へ出ていくようになる。

 

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 前半は、後方で耐える時間が長かった守備だったが、後半は後方を同数にし、前線の選手を前へ押し出すことで、前半に比べて前からプレッシングに行けるシーンが増えた。特にジョンヤが落ちる選手に付いていき、その後ろを3人が中央に絞ってカバーするようなシーンが増える。

 もちろん、川崎のパスワークに崩されてしまうシーンもあったが、2失点している事実からもチャレンジして然るべきものだったと思う。

 

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 また攻撃では、前半でも書いたがサイドハーフボランチ脇に立ち位置を取ることで、中央を経由して攻撃を展開するシーンが作られるようになった。

 これはボール保持した場面だけではなく、ポジティブトランジション(守備から攻撃への切り替え)時にも、奪ったボールを縦へ通せるようになることで、川崎の素早い中盤の守備を掻い潜れるようになった。

 

 しかし53分に永戸がペナルティエリア内で長谷川を倒してPKを献上。これを小林が決めて3点目を許し、ゲームを決定づけらてしまう。

 

(2)交代選手3人で奪った意地の一発

 3失点目を喫した仙台は、56分にジャーメインと海夏に代えて長沢と関口を投入。64分には蜂須賀に代えて大岩を投入する。

 川崎も3点目を奪ったことで、ここまで行っていた前プレを行わずに、ブロックを構えるようになる。このことで仙台が少しずつボール保持から押し込んでいくシーンが増えていく。

 

 そして68分に仙台が1点返す。常田の大岩へのロングフィードから川崎の守備を広げて関口へ。サイドバックセンターバックの間にうまく走り込めた関口は長沢へアーリークロス。長沢が丁寧に落とすと、全速力で上がっていた大岩がゴールへ突き刺して1点を返すことに成功した。

 交代選手3人で取った得点。3人からは意地を感じる得点だった。流れも素晴らしいものだった。

 

 その後は、川崎が大島、山村、レアンドロ・ダミアンというカードを切り、ボール保持の強度を保ちながらゲームを上手に進めていった。

 1点返した仙台も、さらに加勢していきたいところだったが、前半から追われていた守備で疲弊し、徐々に攻撃の勢いが落ちていった。

 それでも関口を中心に押し込もうとする姿勢を見せるも、最後は川崎の守備に跳ね返されて、ゲームは1-3で終了した。

 

最後に・・・

 前半は完敗の内容だったが、後半は修正し、王者に対して勇気を持って戦えたかなと思う。座して死を待つのではなく、チャレンジャーとして今の自分たちの力をトライ&エラーを繰り返しながら出すことができたと思うし、それが大岩の得点に繋がったはずだ。

 

 もしこの試合を勝点1でもいいというのであれば、もっと守備に重心を置いて戦っていたと思うし、なんなら5バックの方が手としては良かった。

 しかしそのような戦い方ではなく、あくまでこのシステム変更した新しいやり方で攻守ともにチャレンジしたという意味が大きい。このチャレンジからは渡邉監督のまだまだ成長したいという意思を感じるし、このチャレンジが明るい未来へと繋がると思っている。

 

 11位のセレッソ大阪との勝ち点差は4。まだまだリーグの立ち位置でも悲観する必要はない。

 次節はホームでサンフレッチェ広島を迎え撃つ。野津田との再会だ。トライ&エラーをしながらもチームが成長していくことを信じてやまない。