ヒグのサッカー分析ブログ

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諦めなかった川崎フロンターレ J1第29節 川崎フロンターレvsベガルタ仙台

 さて、川崎三連戦の最後である29節・川崎フロンターレ戦を取り上げます。f:id:khigu:20171113113154p:plain

 ルヴァンカップ準決勝で戦った両者。奇しくも同じ場所、同じ時間でのキックオフとなった。

 仙台は準決勝2ndレグで石原と野津田を起用できなかったが、今回はようやく起用できる。2人とも先発に名を連ねた。前回書いたルヴァンカップ準決勝の振り返りでは、十分勝機があると書いた。その答え合わせとなる今回の一戦。

 一方、ルヴァンカップ決勝へと駒を進めた川崎。代表から帰ってきた車屋が先発に復帰した。代わりに登里が負傷離脱。それ以外のメンバーは、スタメンとベンチ含めて変更はなし。

 

■前半

試合は仙台がエンドを変えてキックオフとなった。

(1)外外中循環とフリーマン・野津田

 前半は仙台がしっかりとした立ち位置を取って攻撃することで、川崎よりもボールを保持する展開へと持ち込んだ。

 ルヴァンカップ準決勝、特に2ndレグでは、川崎が前半からエンジン全開で前プレを掛けることで仙台のビルドアップを破壊&自分たちが主導権を握る展開へと持ち込んだ。なのでそのイメージがある川崎は、2ndレグに続いてホームであるので、前からプレスを掛けに来ることは想定できることだった。

 仙台としてその前プレをうまく剥がしながら、前進できるかが試合のポイントとも言えた。そしてそのポイントをクリアすることで仙台は試合の主導権を握ることに成功する。

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 川崎の前プレは、前線4枚(小林、憲剛、家長、三好)によって行われる。憲剛の位置によるが442のときもあれば4231のときもあった。

 仙台はこの川崎の前プレに対して、最終ライン3枚とウイングバックボランチと人数を掛けて剥がすことを行っていた。時と場合にはよるが、一番多かったのは左右のセンターバックからウイングバックへ、そこからボランチにパスを出すという外外中循環だった。左右のセンターバックからウイングバックへと出すことで、川崎の守備の横幅を広げさせ、広がったことで得られる中央のスペースでボランチが受けることで川崎の前プレを剥がした。

 2ndレグよりもビルドアップの形を整理できたことで、川崎の前からの圧力にも屈しずに守備を前後に分断させ、そこから西村や石原がチャンスを作り出すことに成功した。

 川崎が横幅を4枚で守るのに対して、仙台は5枚で横幅を取るため、配置的優位性でボールを循環させることができた。

 

 また、もう1つポイントだったのは、野津田のフリーマンとしての役割だった。野津田はハーフスペースで待つ西村に対して、自由に動くことで、ボランチやビルドアップ隊を助け、局地的に数的優位を作り出すことで川崎の守備を剥がすことに非常に重要な役割を担っていた。

 特に三田と奥埜と距離感近くでパスを回すことで、前プレを剥がすことと時間を作り全体を押し上げる役割をこなしていた。

 

 42分の家長の退場により、川崎が前からプレスを掛けなくなったことで、より仙台は前へと押し込むこととなっていく。

 45+4分の野津田のゴールは、右から中央の三田へ渡して、ファーの中野へアーリークロスを上げ、中野が折り返したところに野津田がプッシュするというお手本のようなゴールだった。

 相手が10人になり、前回対戦と同じようなシチュエーションの中で、前半終了間際にゴールを奪えたことは非常に良かった。

 

(2)仙台の守備をどう評価するか

 前半はボールを効果的に持つことができていた仙台だった。しかし、川崎がボールを保持したときの守備をどう評価するかは難しいところであった。

 仙台が川崎にボールを奪われたときにボランチ2枚がしっかりと守備の立ち位置を取り攻撃を遅らせることで、川崎にカウンターの機会を与えることはなかった。

 しかしブロックを組んだときに、人に食いつきすぎて、541という陣形で守っていないことが多々あった。時折中央のエリア(特にバイタルエリア)を開けてしまった場面もあり少し心配だった。

 2ndレグで憲剛と三好にやられたように、人の間間に入り込まれて失点されたので、この試合ではスペースよりも人をより意識した守備だったのかもしれない。

 ただ、それでも3ラインが揃っていないと気持ちが悪いというか、何か怖い感じがあった守備だった。

 

 前半は川崎が退場者を出した後に仙台が先制に成功し、10で折り返す。

 

■後半

(1)横幅を有効活用する仙台f:id:khigu:20171113113354p:plain

 後半開始から川崎はエドゥアルドネットに代えて長谷川を投入する。憲剛をアンカーに置き、432のシステムにする。その理由や狙いは後述するが、鬼木監督は決して諦めていなかったことの宣言みたいなシステム変更だった。

 

 仙台としては、川崎がこのシステムにしたことに関わらず前回対戦の反省を踏まえても、丁寧に攻めたいというのがあった。川崎が中盤を3枚にしたことで、より横幅を使えるようになった仙台は、中央でボランチと野津田が時間を作り、川崎の守備を中央に集めて、サイドへ展開するというパターンを後半開始から幾度となく作るようになります。

 60分の追加点では、自陣で西村がルーズボールを拾うと右サイドの蜂須賀へ展開。蜂須賀のアーリークロスを石原が合わせ、理想的な形で追加点を奪う。これで石原は9点目。久しぶりの2桁まであと1点となった。

 

(2)少しずつズレていく仙台、諦めない川崎

 その後も仙台はボールを保持し、相手を押し込む。多くの人数が絡み左右に揺さぶりをかけ、ゲームをうまくコントロールしようという気概を見せる。

 しかし、これは結果論ではあるが石原の得点後から同点にされるまでシュートを1本も打っていない。みんなが慎重にゲームを進め、ボールを大切にしようとするあまり、ボールを繋ぐことに終始し、シュートまで持って行けなかった。正確には消極的なプレーでシュートを打つ選手が出てこなかった。もちろんボールを失わなければいいが、仙台はパスミスでボールを失い、川崎にカウンターのチャンスを与えてしまう。

 また仙台が攻撃のポジションを取っているため、ボランチ付近にスペースを与え、長谷川や小林に前を向かせてしまう。

 

 川崎の狙いはそこにあったのではないか。憲剛をアンカーに置いたのもトランジション(切り替え)が発生したときの起点になるため。また長谷川を起用したのは守備時は仙台のボランチに厳しくプレスに行かせ、攻撃では相手の空けた中央のスペースを利用させるために起用したのではないか。

 次第にパスがズレていく仙台に対して、川崎は森谷に代えてハイネル、三好の代えて知念を投入する。特に効いていたのはハイネルで森谷のポジションに入ると、馬力のあるドリブルとプレッシングで仙台の中盤に圧力を掛け、川崎にペースを持っていくことに成功する。

 おそらく、時間の経過とともに疲弊していく仙台に対して、長谷川やハイネル、知念といった機動力のある選手を使うことで1人少ない状況でも1人1人の運動量でそれをカバーさせるというのが鬼木監督の考えだったのではないか。

 

 それに対して仙台は1人多いことや2点リードから守備でも少しずつズレていく。そしてそれは次第に大きくなっていく。特にシャドーは541で守るのか、523で前から行くのかがハッキリされなかったことで、ボランチの両脇を使われ、エウシーニョの得点に繋がってしまった。

 あとは等々力劇場。小林の同点ゴールは、慌てた仙台が与えたバイタルエリアからの失点。逆転ゴールは大岩のパスを引っ掛けられてからの小林のゴール。大岩のミスを誘発した小林のプレスが効いた得点だった。

 そしてタイムアップ。1人多く、しかも2点リードまでした仙台だったが、まさかの23で逆転負けとなった。

 

■最後に・・・

 仙台にとってはまさかの敗戦なのかもしれないが、冷静に見ると死なばもろともではあるが運動量と機動力のある選手を上手に起用した鬼木監督の勝利だと思う。

 仙台は1人少ないことや2点リードで余裕を持ってしまったのか、反対に慎重になりすぎたのか、徐々にプレーの積極性を失っていった。もちろん全体の運動量が落ちたことで、逆に運動量を上げていった川崎に飲み込まれた形にはなってしまったこともある。それに1人少なくてどうコントロールすべきなのか慣れていなかったのかもしれない。。原因は多々ある。

 やはり悔やまれるのは2点目を取った後のゲーム運び。あそこでボールを持つことができていたのに、シュートを打てなかったのは非常に残念だし、反省すべき点だった。

 

 だいぶショックの大きい敗戦となってしまった。しかしこれを払しょくするには次のゲームで勝つ以外にない。次節はホームで清水との対戦。残り5試合ひとつずつ仙台らしく戦ってほしい!

ルヴァン準決勝の振り返りと次節・川崎戦に向けて ルヴァンカップ準決勝 ベガルタ仙台vs川崎フロンターレ

 ルヴァンカップ準決勝・川崎フロンターレ戦、合計スコアは4-5。非常に悔しい敗戦でした。それでも悔しいという感情と同時に、このチームにはまだまだ大きな可能性が秘めていることを感じた試合でもありました。

 今回は、そんな川崎戦の180分間をざっくりと振り返るとともに、ルヴァンカップを踏まえた今週末の川崎戦第3ラウンドの展望、そして今後残り6試合への期待を書いていきたいなと思います。

 

■1stレグ・仙台3-2川崎

  ファーストレグは、ミッドウィークのユアスタでの開催。

 仙台は野津田が出られない。加えてリャンが直近の浦和戦で負傷し欠場。ワントップ2シャドーはクリスラン、西村、石原の組み合わせとなった。また過密日程を考慮し、増嶋と蜂須賀がスタメンに名を連ねた。

 川崎はいつもの4231ではなく、3421を採用。鬼木監督によれば、3バック相手に3バックで挑んだときの成績は悪くないと。そして板倉の起用(21歳以下をスタメン起用しなければいけないルール)を考慮し3バックを採用したとのことだった。代表選出された車屋の位置には長谷川が左ウイングバックで起用された。

 

 前半のスコアは仙台が30でリードする。自チームではあるが少し驚きのスコアとなった。

 このスコアを生んだのは、システムの習熟度の差だった。仙台は日ごろからこのシステムを採用しているので、もちろん習熟度は高い。しかし川崎は仙台に比べたら、習熟度はかなり低かった。

 その差が如実に表れていたのが守備面だった。川崎は守備の距離感が悪く、プレスが連動しない状態。また3バックが仙台のワントップ2シャドーを捕まえきれずに自由にプレーさせていた。左シャドーである西村が右に流れてきたのに対して板倉がそのまま付いていったシーンはそれを象徴する場面だった。シーズン序盤の仙台でも同じような光景が見られたが、それを反対に相手にさせているのだがらすごく成長を実感する。

 またミラーゲームの状況をうまく生かしていたのも仙台だった。システムが同じなので守備時に誰が誰を見るかがハッキリする。仙台は自陣に引くときはブロックを敷いて守っていたが、前から行くときはハメやすいこともあって、積極的に前からプレスを掛けに行くことができていた。

 そのことでボールを奪い、ショートカウンターに繋げられるシーンを増やしていった。先制点のシーンも、ショートカウンターではないが奪われたボールを素早く奪い返したことで得点を生み出すことができた。

 

 前半のもう1つのポイントは仙台の右サイド・蜂須賀と川崎の左サイド・長谷川のサイドの駆け引きで蜂須賀が勝っていたことである。長谷川は不慣れなポジションで、守備時に蜂須賀を捕まえられないことが多かった。本来であれば仙台のビルドアップをサイドに追い込み、ウイングバックの位置でボールを奪いたかったが、長谷川が蜂須賀に強く奪いに行けなかったので、仙台は右サイドから簡単にプレスを回避することに成功する。また長谷川の影響で、奈良も引っ張り出されることになり、川崎に左サイドは狙い目となった。仙台の2点目も川崎の左サイドで奈良と長谷川を奥埜と蜂須賀の関係で崩して奪った得点だった。

 

 本来であれば川崎がミラーゲームにすることで個の優位性で上回りたかったはずだが、蓋を開けてみれば仙台がシステムの習熟度と局面の球際バトルで優ったことで川崎を圧倒することができた45分だった。

 

 後半の川崎は板倉から登里に代えて、いつもの4231の布陣にする。仙台は前半で負傷した椎橋に代わって平岡が投入されている。

 

 後半、仙台が苦しむこととなるが、それには2つのポイントがあった。

 1つはクリスランの交代。クリスランは、直近の浦和戦でゴールを決めたことで、この試合でも非常に好調だった。前半は2点決める活躍、そして攻撃のポイントとして決して得意ではないポストプレーと泥臭い守備で、非常にチームに貢献していた。

 しかし、クリスランが右脚を負傷しジャーメインが投入される。こうなると高さがなくなり、なかなか前線でボールが収まらなくなった。エアバトルでも谷口と奈良に簡単にはじき返されるので、前半よりも押し込まれる展開となってしまう。

 そのような状況のときに失点。またもコーナーキックからの失点となってしまった。このところセットプレーでの失点が多いが、ここ最近の失点を見るとニアサイド、細かく言えば平岡の周辺で合わせられることが多い。これは平岡の問題というよりは、ゾーンのニアは相手が自分の背後から走ってくるので、わかりずらいというのがあるのだと思う。

 真ん中やファーでやられることは少なったので、ニアサイドのゾーンの修正をすればもう少しセットプレーの守りは改善されるのではないか。

 

 そしてもう1つが、失点直後の石原の退場。プレー自体は微妙な判定にも見えたが、岡部主審のジェスチャーを見ると膝を高く上げたことがカードの対象になった原因だった。

 1失点を食らった後に1人少なくなり、状況はさらに苦しくなった。仙台はミドルサードでは441のような形を、ディフェンシブサードでは531のような形を敷いて守っていた。実際に中盤の3枚はスライドがきつかったし、川崎もそこを動かすことでチャンスを窺っていたので、非常に厄介だった。

 もう1失点食らったのが、アディショナルタイムに入ってからというのが、非常に悔しい。180分を振り返ったときに、ここはやはりポイントになったところかなと思う。

 

 後半、川崎にアウェイゴールを2つ許し、32で最初の90分を終えることとなる。

 

■2ndレグ川崎3-1仙台

 2ndレグの川崎は4231の布陣に戻した。21歳枠は三好康児。左サイドバックには登里が入った。

 1stレグで退場となった石原が出場停止。また椎橋もケガとジャーメインを入れて18人がようやく揃うという満身創痍な仙台。シャドーの位置に中野を、左のウイングバックには蜂須賀を起用した。

 

前半は開始から、川崎は前からプレスを掛けることで仙台のビルドアップの破壊と自分たちが主導権を握ることを行っていった。

 仙台はこの川崎のプレスに対して臆病になってしまった。後方からボールを繋いでいく意思は見せるものの、プレスを掻い潜ることができずに、最終的には前線のクリスラン目掛けてロングボールを送ることが多かった。結局、川崎にボールを渡すことが続いてしまった。

 この試合を改めて見てみると、開始からの川崎の前プレに対して仙台がいい立ち位置(相手のプレスを無効化するポジショニング)とボールを繋ぐ勇気さえあれば、しっかりとプレスを剥がすことができたシーンはいくつもあった。

 それができなかったのは、相手の勢いに飲まれてしまったことや、1点リードしていることで慎重に戦おうとするメンタルのところが影響したのではないかと思っている。

 というのも、29分に先制を許してからの仙台は、やることがハッキリしたことで前へのエネルギーを持って戦えていたからである。ぎりぎりのところでもパスを通すことをチャレンジしていたし、ボランチもギアを上げて前への推進力を持ってプレーできていた。もちろん川崎がリードしたことでプレスを緩めたことも考慮しなければいけないが、開始からこのプレーができていれば前半の戦いはもっと違ったものだったように思える。

 

 ボールを保持したときの川崎の攻撃は局地的に数的優位または同数を作って攻撃していた。2列目である3枚(家長、憲剛、三好)はときに同サイドでプレーし、そこにサイドバックボランチが絡むことで、仙台にマークをハッキリさせなかった。29分の三好のゴールはまさに狙い通りで、局地的に数的優位を作り出し、最終的には三好がフリーで憲剛のおしゃれフリックに反応することができていた。

 前半は序盤から前プレで主導権を奪った川崎が先制に成功するという理想的な戦いができた45分間だった。

 

 前半に川崎がリードしたことで、今度は川崎に選択肢が生まれたと思った。このままでも決勝に行ける川崎はもう一度前から仙台のビルドアップを破壊することもできるし、引いて守ることも選択肢の一つであった。

 もちろん川崎なので、攻撃的に行くことは確かだろうが、このままスコアが推移したときに川崎がどういう選択をするか。そしてその選択に迷っているときが仙台のチャンスだと個人的には考えていた。だからなるべくこのままのスコアで推移すればなと。

 しかし、そんな個人の願望とは裏腹にスコアはすぐに動いた。川崎が再度仙台の左サイドを崩して三好が追加点を奪う。これで仙台は最低でも2点必要になった。

 

 それでもすぐに中野が奈良に倒され、奈良は2枚目のイエローで退場になる。これが53分の出来事だったので、まだわからない。一列目のプレスがなくなった川崎に対して仙台は配置的優位で川崎を押し込んでいく。特にサイドからの攻撃で川崎ゴールに迫っていくと、59分にショートコーナーの流れから中野が決めて1点差とする。本当に分からない。

 

 このあとの仙台もサイドを起点に攻撃していく。特に川崎の左サイド・登里のところは狙い目で、そこを崩してチャンスを作っていく。しかし、焦っているのか最後のクロスの精度を欠いてしまった。冷静になれないというか、会場の雰囲気も相まって、落ち着くがなかったのは本音だろう。

 

 仙台は野沢を投入し、中野を左に蜂須賀を右ウイングバックにする。その後平岡→藤村で右サイドの攻撃の活性化を図る。最後のカードは奥埜→ジャーメイン。三田をアンカーに置き、その近くに野沢をフォローさせる。クリスランとジャーメインの2トップのような形で、さらに攻撃のカードを投入する。しかしどんどん丁寧さを欠き、アバウトな攻撃に終始してしまった。監督コメントにもあったようにそこは本当に反省点だった。

 川崎は長谷川、ハイネルを投入し、守備をしながら、前に出た仙台に対してカウンターもできるようにした。これでカウンターができるようになった川崎が90分に長谷川のゴールで追加点を決める。

 

 もう1点とれば延長に持ち込める仙台だったが、パワープレーで雑さが目立ち、川崎ゴールを奪うことができなかった。

 合計スコア4-5。川崎が決勝進出を決めた。

 

■最後に・・・

 ざっくりとではあるが川崎を振り返った。1stレグ、アディショナルタイムに許したアウェイゴール。2ndレグの序盤の戦い方、そして終盤に失ってしまった攻撃の丁寧さ。いろんなところに勝負の分かれ目はあった。やはり川崎とのこういったトーナメント戦での経験値が差として出てしまったかなと。ただ、これを経験してもっと上へ目指せばいいだけの話。クラブの歴史をまたここから積み上げればいいと思う。

 

 すぐにまたリベンジマッチが行われる。次はリーグ戦。同じチームと3試合連続で戦うと、相手の手の内が分かってしまってゲームとしては面白くないと思っていたが、今回に限ってはそうでもないと思う。

 仙台はこの2試合で川崎の手の内を知ることができたし、相手の選択肢をなくしている。まず川崎があの状態の5バックを使ってくるとは思わない。また相手が前から来たときに、どこにスペースがあるかを肌感覚で分かった。そして相手が引いたときにしっかりと攻撃できていた。

 そしてなによりも次は石原も野津田も使える。前線の駒が増えることで反対に仙台はこの2試合よりも選択肢を増やすことができる。川崎に対して勝機が十分にあると思う。

 あとはカップ戦が終わったことによるメンタルの部分。モチベーションをしっかり上げて挑むことができれば、今週の等々力でも十分に戦えると思う。

 

 カップ戦での悔しさをエネルギーに変えてぶつけるためにも、残りの6試合は大事な6試合になってくる。まだまだ今の順位よりも上へ行けるチャンスはあるので、最終節まで今シーズンの戦いを貫いてほしい!